第五回目の水曜日 世界線の変化
教室には、授業の準備を終えた龍二や晋也に陽菜がすでに集まっていた。
体調が悪くなり晋也に保健室に連れて行ってもらうという事にして、龍二や陽菜には教室の中に居てもらう事にした。
保健室で、晋也は直也に向かって言った。
「直也、大丈夫か?何か困ったことがあれば、いつでも話してくれよ」
直也は苦笑いしながら、
「すまない、晋也。でも、もう少し時間が欲しいんだ。」
晋也は理解を示し、
「分かった。できるだけ考えてみるんだ」
その後直也は晋也と二人で考えを巡らせた。
「どうせ水曜に戻れば今の言葉もなかった事になる」
俺はスマホを見て時間を確認した。
「そうか……お前の主観だとそうなるわけだ。それなら俺の主観だとどうなんだろうな。お前が水曜日に戻ると俺はどうなる?多世界解釈だとすると失敗した他のお前と俺が存在すんのか?」
「その結果もすぐにわかるさ……」
俺の意識は水曜日に戻る。それはこれまでのタイムリープからわかっている。ではここにある身体はどうなるのだろう?……その時々で世界が「切り替わる」世界線理論に基けば、おそらく“今“が再構成されるだろう。けれど多世界解釈なら、俺が去った後もこの世界線は何も変わらず継続するはずだ。
……以前はあれほど興味のあったループの抜け出し方に、俺はもう半ばもう興味を失せていた。
ループから抜け出せるのなら俺はどんな理不尽な解釈でも受け入れるだろう。
「……………」
ふと見やると、スマホの時計が水曜から木曜日に時を刻もうとしていた。
「どうした?直也」
「いや、何でもない。ただ考え事をしていただけだ」
俺たち幼馴染が『時の祠』から帰った瞬間に、現在の世界も変化した。そして水曜日をループしている俺以外は、世界の変化を認識していなかった。
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