第4話 混乱
時の祠は二十年前に無くなってるし、みんなは時の祠に入ったという記憶もない。
一体どういう事だ?次元神「ユキ」という少女の存在も『時の祠』も俺だけが見た夢だったという事なのか?
「はぁ……なんだってんだよ」
俺は頭を抱え混乱していた。何が起きているのか理解できていなかった。
冷静になればなるほどわからない。
俺は少し参っているのだろうか?
「とりあえず学校に行くか……」
この不可解な出来事について友達と話し合えるかもしれないし、何か手がかりが得られるかもしれないと思ったからだ。
教室に着くと怪訝そうな顔で晋也が訊いてきた。
「直也。顔色悪いなどうしたんだよ?」
でもそのセリフは壊れたテープレコーダーのようにまた明日再生されるのだろう。
「おい直也聞いてんのかよ!」
何も知らない晋也の問いかけに、俺は何一つ答えられなかった。
耐えられなくなっていつのまにか俺は教室を飛び出していた。
特に行き先などなかった。
学校の校内をふらふらと歩く。時折差し込んでくる太陽の光がやけに眩しく見えた。きっと今の俺は死んだ魚のような目をしているのだろう。
そのまま校門まで出てみたが、『時の祠』の入り口がすでになくなっていて思わずぎょっとする。自分達が探検して「なかったこと」ことになった『時の祠』の入り口。
自分達がしでかした事の重大さを改めて突きつけられた気がして、俺は何かに追われるように学校の中に避難した。
俺は学校の廊下でずるずるとしゃがみこんでしまった。
スマホのアラームで初めて今日の日付に気付いた。今日もまた水曜日。これじゃあB級ホラーじゃないか。終わらない殺戮。終わらない夜。制作費はクソ。役者も下手くそ。最後は死に方までチャチなくせに笑えてくるという不思議な映画。
……でも今の俺には笑えなかった。このループしてる水曜日は現実だ。
B級ホラーの被害者の被害者の被害者のように俺と龍二と晋也と陽菜はあらゆる手段で狙われる。映画ならハッピーエンドがあるはずだが……
俺には同じ水曜日を繰り返すことしか出来ない。
スマホの時間はもう少しで日をまたぐ。
「今日もこのループを生き延びるしか俺には道はない……」
スマホが水曜日から木曜日に時を刻んだ瞬間、俺はまた激しい頭痛を起こした。
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