第5話

「あ〜!カタクリ強いよ〜」

花札をし始めて今のとこ全敗。カタクリ、強い。

ハハハと笑いながら言う全勝者。「まぁまぁ遊びなんだし、そんな真剣にならなくても」その言葉は余裕そうだった。

「何時か、絶対に勝つから!!」そう宣戦布告を告げるとカタクリは微笑んで言った。「楽しみにしとくな」


しとねの中でモゾモゾと動いていたら、隣で寝ていたカタクリに声をかけられた。

「寝れないのか?」

「う〜ん、、、、ちょっと寝付けなくて」

小さい頃、寝れない時は押し入れの中に布団をしいて一緒に寝ていたけど、今となってはもう出来ない。

「なぁアンズ」

「どうしたの?」

私の額を撫でながらカタクリは呟く。「置いて逝く側と置いて逝かれる側、どっちが辛いんだろうな、、、、」

それは今まで聞いたことのない程、低い声でまた、泣き出しそうな声だった。

「カタクリ、、、、?」

置いて逝く側、置いて逝かれる側。どっちが辛いのか、、、、計り知れないのかもしれない。

ただ、言えることは 、ひとつだけ。

「、、、、どっちも辛いよ、、、、」

もし私がカタクリを残して逝くなら?もしカタクリが私を残して逝くなら?

「私には、、、、どっちも耐えられないよ、、、、」

カタクリは一瞬、ハッとしたがすぐ何時もの笑みに戻る。

「そっか、、、、ありがとうな」

その言葉を最後にして、私は夢の中へ旅立った。

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