月の影

「あ〜!カタクリ強いよ〜」

花札をし始めて今のとこ全敗。カタクリ、強い。

ハハハと笑いながら言う全勝者。「まぁまぁ遊びなんだし、そんな真剣にならなくても」余裕そうに笑う。

「何時か、絶対に勝つから!!」そう宣戦布告を告げるとカタクリは微笑んで言った。

「楽しみにしとくな」


しとねの中でモゾモゾと動いていたら、隣で寝ていたカタクリに声をかけられた。

「寝れないのか?」

「う〜ん、、、、ちょっと寝付けなくて」

小さい頃、寝れない時は同じ布団で寝ていたけれど、今となってはもう出来ない。

「なぁアンズ」

「どうしたの?」

私の額を撫でながらカタクリは呟く。「置いて逝く側と置いて逝かれる側、どっちが辛いんだろうな、、、、」

それは今まで聞いたことのない程、低い声でまた、泣き出しそうな声だった。

「カタクリ、、、、?」

置いて逝く側、置いて逝かれる側。私には分からない。どっちも体験したことがないから、、、。でも、どっちが辛いのか計り知れないのかもしれない。

ただ、言えることは 、ひとつだけ。

「、、、、どっちも辛いよ、、、、」

もし私がカタクリを残して逝くなら?もしカタクリが私を残して逝くなら?

「私には、、、、どっちも耐えられないよ、、、、」

カタクリは何時もの笑みに戻った。

「そっか、、、、ありがとな」

その言葉を最後にして、私は夢の中へ旅立った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る