3-8、

 同時刻、都内某所。――


「バーボイっ! カマエルっ! や~ぱコレじゃないの!? ワルプルギス様が仰っていたのは、コレの事だよ」

「そうでまんねん。間違いおまへん」


 幽霊屋敷の如き、怪しげなビルの四階で、三人がゴソゴソと密談を交わす。


「えっと……天丼学に駅弁学に……それから、何だって? 美形学にキショい学? なんだい、そりゃ? それでどうやって、世界を支配出来るんだい?」

「ぶははははー。オシャンティ様、なんでっかそれ」

「よくわかんないけど、まあ、何でもいいわよ! とにかくカマエルっ、ワルプルギス様の言う通り。こいつを奪うんだよ。ちゃんと作戦は用意出来てるかい?」

「う~ん……。オシャンティ様、こいつらが解析を終えてから奪った方が、い~んじゃないですかねえ」


 絵に描いたような八頭身ボンキュッボン美女が、痩身、出っ歯の男に怒鳴りつけた。


「そんな呑気な事、言ってる場合じゃないわよ! いいかい? 壷とその中身を奪え、というのがワルプルギス様の御指示なんだからね! 文書の解析だとかは、アタシ達が気にすることじゃないわよ」

「あ、そういえばそうですねえ~」

「わかったかい? さっさとアレを奪う、作戦を考えるんだよ!」

「「ガッテンだ~っ!!」」


 仄暗い室内で少々ヒステリー気味に騒ぐ美女の顔を、モニターの明かりがアヤシく照らす。


「それじゃあ、あの作戦でいきましょ~」

「どんな作戦だい?」

「こういう発見があったら、フツーは担当の調査機関が動くんですよ~。自治体の埋蔵文化財センターなんかが」

「ああ、なるほど……。お前さん、アタマいいねえ、冴えてるねえ♪ んじゃ、そいつらをまず動かして、それをアタシ達が横から掠める、ってぇ算段かい?」

「さすがはオシャンティ様、話が早~いですねえ」

「よし、それでいくわよ! 力仕事になりそうだから、バーボイも気合を入れるんだよ!」

「「アイアイサーっ!!」」

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