去り際

「またね」

君は特急列車の

改札口に消えた


来た道を戻って

バス停へ歩く

振り向いたらきっと

押しつぶされちゃうから


本当は

今すぐにでも

LINEしたい

電話したい

追いかけて引き留めたい



好きだって

素直に言いたい



けど

そしたらきっと

今の気持ちが壊れちゃう


もう少し、このまま

穏やかで不安定な

ぬくもりと寂しさの渦に

揺られていたい


夕闇に透き通った

硝子玉のチャームを

そっと撫でて


僕は

日の眠るほうへ

歩き出した


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