W4 オイルオーシャン

モコローたちが訪れたのは、人工的に作られたオイルの海と石油コンビナート。


空が朝なのに赤く染まっている この場所は、独特の匂いが漂っていた。


「ここどこ?」

「さぁ」


サライも よく わからないまま迷い込んでしまったらしく、出口の場所知らないようだ。


「あ、なんか あそこに作業員っぽい人がいるし聞いてみようよ」



2人は建物の影にいた赤いカブトムシに話しかける。


「すみません、お尋ねしても よろしいでしょうか?」

↑モコロー


↓カブトムシ

「え誰あんたら。ワシは今 仕事中なんだが」


「いやここで ボケーっと座ってただけじゃないですか」


「いや、別に…で、何の用?」



「僕ら道に迷ってしまったんですけど、出口の場所を教えてくれませんか?」


「えぇー、口頭で説明すんの面倒なんだよなぁ」

「じゃあ地図くれ虫造(?)」

↑サライ


「はい」


カブトムシは地図をモコローに渡した。

渡された彼は疑問に思う。



↓モコロー

「静かなオイルの海に建つ平凡なコンビナート。

駅から近いわりに近隣に自然が多く、新しく建設された訳ではないが築年数は浅い。

開放的で明るい内装に社員ともども好感を持ったという。

ただひとつ、間取りに不可解な点があった」


「いきなり どうした」

↑サライ


「一階、駐車場と工場のあいだに謎の空間がある」


「道路だろ」


「うーん…一つ言えるのは、これが意図的に作られたものだということですね」

「そりゃ道路だからな」



「最初にこの間取りを見たときにね、ずいぶん変な工場だなって思ったんだよ。

あ、ちなみにワシの名はヒートル。覚えておk」

↑カブトムシ


↓サライ

「例えば?」


「ワシが変だと思ったのは二階の間取りなんだよ。

階段で二階に来てに入るには、かなり遠回りしないといけn」


「待て待て待て待て!薬品製造部屋ってなんだよッ」


「実はこのコンビナート。ただのコンビナートじゃないんだ」

「は?」




ヒートルは他人に聞かれないよう、辺りを見回してモコローとサライに耳打ちした。


「ここオイルオーシャンは、石油からヤバい薬を作って犯罪組織に売り、富を得ているんだ。

ワシはこの企業に潜入しているスパイなんだよ」


「「マジか」」





「何を話しているんですか」


突然ヒートルは背後から、声をかけられた。


「⁉︎…あいや すみません!すぐ仕事に戻rって、なんだガソタコか…」


彼はほっとして、工場の間取りについて同僚のガソタコに相談し始めた。


「へぇ、言われてみれば確かに薬品製造部屋って入りにくい構造してますよね」


「それにこの部屋、窓が一つもないんだよ」

「確かに〜〜」



↓モコロー

「なんか2人で勝手に盛り上がってるね」

「楽しそうだな()」

↑サライ



「すみませんモコローさん」


ガソタコがモコローにそっと耳打ちする。


「この工場…間取りを見てください。この工場はやけに窓が多いんです」

「確かに」


「トイレなんて三か所も。まるで外からと言わんばかりに。

それは決して見られてはいけない部屋を隠すためのカモフラージュだと思うんですよね」


「その部屋が薬品製造部屋じゃないの?」


「そうなんですが…それともう1つ、ここに応接室があるんですが、この部屋にも窓がありません」


「工場に応接室⁉︎…一応 必要なのかなぁ?」


「僕はこの企業に潜入しているスパイなので、詳しい事は本物の従業員より わからないんですが、おそらく工場の衛生状態などをチェックする方が来ているんでしょうね。

最近この辺は汚いですから。特にオイルの海なんて…」


「スパイだったの…」

「はい」



「で、その応接室が?」

「窓が無いから やりたい放題なんですよ…。

女性とかは特に やられ放題かも!!」


「えぇ…」

「イチャイチャされてしまうかもしれません!(?)」





「おい お前らぁ!何サボっているんじゃない!!」


向こうの方から怒鳴りながらタツノオトシゴが飛んできた。


「「⁉︎…あ、ファイアノオトシゴ上司!」」



「ヒートルとガソタコ、こんな所でサボりやがって。私の仕事が増えるだけじゃない。

必殺の仕事人フライムカデはもういないじゃない。だから仕事はお前たちがやるんじゃないッ」


彼女は怒鳴りながらモコローに目を向ける。


「誰!…出口はこっち、早く帰りなさい」


「え、こっちですか。ありがとうございます」

「その車も忘れるんじゃない。早く、帰るんじゃない!!」




「あ はい すぐ帰ります」


モコローとサライは急いで出口へ向かっていった。



↓ファイアノオトシゴ

「さぁ、必殺の仕事人フライムカデが失踪したんだから、私たちが直々に仕事しなきゃいけないじゃない?

仕事場に戻るよ、ヒートルとガソタコ!」


「はぁい」「わかりました」



「(ハァ、おそらくフライムカデはこの会社に潜入していたスパイ…私がスパイだって事を見破ってないかが心配じゃない)」

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