8話 女神降臨
「嘘だろおおおぉっ!!!!!」
俺の絶叫が、魔王城に木霊する。
「こんな事って、あるのかよ!!!!!」
俺は地面を激しく殴りつける。
「最強スキルなんて何も役に立たねえじゃねえか!!!!!」
悔しさで拳から血が滲む。
「二度もママを失う苦しみを俺に与えるのか!!!神よ!!!」
泣き叫び、絶望する俺。
俺はママの亡骸を優しく抱き、その頬を撫でた。
魔王を倒した。世界は救われた。
だが、俺の世界は、もう終わってしまったのだ。
「ママ…ありがとう。俺、ママに守られて育った。」
「今度は俺が、ママの意思を継ぐよ…」
喜びと悲しみが交差する。
けど、俺の使命は終わっていない。
俺はママの意思を胸に抱き、人々の元へと凱旋しなければならない。
「さようなら、ママ。今まで、本当に…本当にありがとう」
涙を流しながら、俺は決意を新たにする。
ママが最期まで守り続けた、この世界を、今度は俺が守っていく。
絶望し、覚悟を決めた俺の前に、ふと一筋の光が射す。
そこには、まるで天界から舞い降りたかのような、美しい女神の姿があった。
『リエの命、まだ完全には尽きていない。彼女の魂、妾が繋ぎ止めている』
まるで光のような、優しい声だった。
『代償が…必要だ。ケンタ、お前の命と引き換えなら、リエを蘇らせることができる』
そう告げられた。
俺の命。ママを助ける為なら、喜んで差し出そう。
俺にとって、ママは全てだ。ママ以外に、生きる意味なんてない。
俺はママ一筋だ。選択の余地なんて、無いよな?
「ママを助けてくれ!俺の命なんて、全部捧げるからッ!」
『よかろう。その覚悟、嘉納しよう』
女神は俺の言葉を聞くと、表情を変えずに頷いた。
俺の体が黄金の光に包まれる。
光の中、俺は生まれて初めて感じるような安らぎを覚えた。
痛みも、苦しみも、全て消え去っていく。
そして、その光はママへと注がれ、ママの体を優しく包み込んでいった。
「ケンタ…」
ママの瞼が、かすかに動く。
命を取り戻したママが俺を抱きしめる。優しい温もりが伝わってくる。
ママが生き返ってくれて…良かった…。
俺の意識はゆっくりと闇へ落ちていく…。
………
……
……
―――
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