7話 玉座の間
魔王城内、玉座の間。
そこでママを待ち受けていたのは、この世界の全てを脅かす大魔王だった。
「よくぞ来たな、女神の加護を受けし者よ」
魔王は不敵な笑みを浮かべていた。
「あなたの野望、ここで終わりよ。私が必ず止めてみせる!」
ママは毅然とした態度で言い放つ。
「愚かな…所詮は人間、私の力に敵うはずもないわ!」
魔王が手を振ると、凄まじい魔力の奔流がママを襲う。
「きゃっ…!」
ママは必死に防御の構えを取る。
激しい魔力の応酬が、城内に轟く。
「ママ…!」
その光景を、俺は城外から見ていた。
ママは必死に戦っている。でも、徐々に追い詰められていっているのが分かる。
「もう、我慢できない…ママを助けないと…!」
怖さで震える足を必死に動かし、俺は魔王城へと突入した。
「ママ!ママ、しっかりして!」
玉座の間に辿り着いた時には、ママは既に魔王に捕らえられていた。
「ケンタ…どうして…逃げなさい…!」
ママが俺を案じる。
「おお、愚かな人間が我が元へ飛び込んで来たか。ならば道連れにしてくれる!」
魔王が放った魔力の奔流が、俺を襲う。
「ケンタ、危ない!」
ママが俺をかばう。
「ママ!!!」
直撃を受けたママの体が、ゆっくりと倒れていく。
俺は慌てて駆け寄り、ママを抱きかかえた。
「ケンタ…逃げて…ママは、大丈夫だから…」
「何たって、女神様のスキルを持ってるんだから…」
ママはそう言う。けれど、どう見たって致命傷だ。
俺の心に深い闇が広がる。
世界が色を失っていく。
俺の中の全てが、真っ暗に塗り潰されていく…。
「くくく…愛する者を失う絶望、どうだ?人間よ」
魔王の嘲笑が響く。
「殺してやる…!」
絶望の淵に立たされながら、俺は闇の中で呟いた。
「俺がママを絶対に守る!!俺は、リエの息子!!ケンタだ!!」
その瞬間、俺の体が黄金の光に包まれた。
世界最強スキル
「
「マザコンの極み」と「女神の聖加護」のスキル保有者が同時に窮地に陥った場合にのみ覚醒するスキル。
究極の強さ:世界最強クラスの肉体能力を得る。あらゆる攻撃を跳ね返し、どんな敵でも一撃で葬る力を持つ。
究極の速さ:光速を超える速度で動くことができる。誰の目にも捉えられない速さで戦う。
究極の回復力:どんなダメージも瞬時に回復する。致命傷すら意に介さない。
「すごいご都合スキルだな?でも良いぜ!」
「これで魔王を倒せって事だろ」
俺は自分の力を確かめるように、拳を握り締める。
「クソッタレな、異世界がよ!!」
「魔王!お前を殺して平和なスローライフを楽しませて貰うぜ!」
俺は雄叫びを上げると、金色の光となって魔王に襲いかかった。
「な、なんだ貴様!その力は…」
魔王が驚愕の表情を浮かべる。
覚醒した俺の力は、魔王をも上回った。ママへの愛が、俺に無限の力を与えるのだ。
「愛する者を守る為なら、俺は無敵だ!」
俺のスキルが、真の力として覚醒したのだ。
「これが俺の、本当の力だ!」
俺は剣を構え、怒濤の如く魔王に襲いかかった。
「ば、バカな…私の魔力が、跳ね返されている…!?」
魔王が恐怖に顔を歪める。
「魔王!俺は今、怒りに震えている!お前なんかに、負けるはずがないんだ!」
俺は渾身の力を込め、剣を振るう。
「ぐわああああ!!!」
魔王は断末魔の叫びを上げ、その巨躯を崩した。
俺の一撃が、魔王を両断したのだ。
「やった…ママ、やったよ…!魔王を、倒したんだ…!」
俺は喜びに胸を躍らせ、リエの元へと駆け寄る。
しかし、勝利の喜びもつかの間、俺は愕然とした。
ママが、動いていない…。
「ママ…?ママ!しっかりして!」
すぐに駆け寄って抱き起こすが、もう息はない。
―――
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