3話 最強ママは無双する

そんなママだが、一旦戦闘モードに入ると、その姿は一変する。


街道を歩いていると、突如現れたモンスターの群れ。


「そこのモンスターさん、悪いけどうちの息子に指一本触れさせないわよ」


ママはニコやかな笑みを浮かべながら、スリムな腕で剣を一閃させる。


『ギャオオオン!』


モンスターの断末魔の悲鳴が森に木霊する。数十匹の群れが、一瞬にして消し飛んだ。


「ふん!ケンタは私が守るんだから」


そう呟くママの姿は、まさに女神。美しい外見と強さのギャップに、俺は震えが止まらない。


「ママ、かっこいい…!」


俺は興奮して、ママに抱きつく。ママの体は汗ばんでいる、いい匂いがする。


「ふふ、ケンタの為なら当然よ。あなたは私の大切な息子なんだから」


リエは優しく俺の頭を撫でてくれた。まるで子供の頃のように。


最強無敵のママ。それが、異世界でのリエだった。


俺達親子の噂は、あっという間に国中に広まっていった。異世界からの美しき転生者と、そのマザコン息子。人々からは『聖母』と呼ばれ、尊敬の眼差しを向けられるようになった。


「聞いたか?リエ様が、一人で魔獣の巣を壊滅させたらしい!」


街を歩ているだけでも、ママの武勇伝が飛び交う。


「美しくて最強とか、反則的だろ。俺もリエ様の息子に生まれたかった…」


「いや、息子はヤバいって。完全なマザコンらしいぞ」


「はは、それも息子の悩みってもんだ。あれだけ美人なお母さんなら、マザコンにもなるわな!」


無礼な会話の数々。でも俺は気にしない。母さんは俺だけのママだ。誰にも渡さない。


そう、争いのない日々が続くと思っていた。


しかし、ある日を境に全てが変わった。


―――

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