ユニークスキル『めがね』で異世界無双!

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

第1話

「念願の異世界転移が叶ったのはいいけどさぁ……。ユニークスキル『めがね』って。なにこれ?」


 俺は自分のステータス欄に視線を落とす。

 するとそこには、俺の所持しているユニークスキルが表示されていた。


「でもまぁ……なんとなく察しはつくんだけど……」


 俺は『めがね』のスキル詳細を見てみた。


レベル1:虫眼鏡

レベル2:双眼鏡

レベル3:未開放


「まずは人里を探さないと。ならば……【双眼鏡】!」


 俺は『めがね』のスキルを発動する。

 すると俺の手に双眼鏡が握られていた。


「これで少しは周囲の状況が分か――……」


 俺は双眼鏡を覗いた瞬間、言葉が出なくなってしまった。

 なぜならそこでは……。

 美少女が水浴びをしていたからだ。

 しかも彼女のおっぱいは……大きい……!

 軽くFカップはあるぞ!?


「ふんふふーん」


 美少女は呑気に鼻歌を歌っているように見える。

 どうやらこちらには気づいていないらしい。

 よし!

 覗きがバレていないうちに逃げよう!

 そう思って後ずさりした瞬間――。


「グルルオオオォォッ!」


「きゃああああああっ!?」


 美少女の近くに、巨大なクマのモンスターが現れていたのだ。

 彼女は悲鳴を上げている。


「くっ……! 見て見ぬ振りなんてできるか!!」


 俺は双眼鏡を解除して、クマに向かって走り出す。

 そして走りながら叫んだ。


「俺自身の戦闘能力は皆無……! なら、この能力に賭けるしかない! 来い、【虫眼鏡】っ!!」


 すると俺の手には、虫眼鏡が握られていた。

 これでどうにかしないと……!


「グオオォォッ!」


 クマは叫びながら美少女に襲いかかる。

 まずい!

 間に合え!!

 俺は虫眼鏡越しに、スキルを発動した。


「【太陽光・収束】!!」


「グオオォォッ!?」


 俺が虫眼鏡を発動すると、太陽光が虫眼鏡によって収束され、強烈な光を放った。

 その光はクマの弱点――目を襲う。


「今だ!」


 俺はクマに駆け寄ると、虫眼鏡を大きく振りかぶった。

 そしてクマの頭に勢いよく振り降ろす。


「おりゃぁぁっ!!」


「グオォォッ!?」


 虫眼鏡は見事にクマの頭部にヒットし、クマを一撃で気絶させた。

 よし!

 成功だ!!


「大丈夫かい?」


 俺は倒れている美少女に手を差し伸べる。

 彼女は俺の手を取ると立ち上がった。


「……はい……。助かりました……」


 美少女はお礼を言うと、その場にぺたりと座り込んでしまった。


「怖かったんだね。でももう安心だよ」


 俺は優しく彼女の頭を撫でた。

 美少女は安心したのか、俺に抱きついてくる。


「ううっ……ぐすっ……」


 彼女は泣いているようだ。

 よほど怖かったんだな……可哀想に……。

 俺は彼女を優しく抱きしめた。

 しばらくそうしていると、俺は自分のステータス欄に変化が生じていることに気付いた。


レベル1:虫眼鏡

レベル2:双眼鏡

レベル3:サングラス

レベル4:未開放


 どうやら、新たな力を得たらしい。

 これを使えば、また何かの困難に立ち向かえるだろう。

 俺はそう確信していた。


「あの……もう大丈夫です」


「本当に大丈夫か? 無理はするな」


「いえ、本当にもう大丈夫です。助けていただきありがとうございました」


 美少女は立ち上がって頭を下げる。

 よかった。

 無事みたいだな。


「助けていただいたお礼をしたいです。村まで来ていただけますか?」


「そうだな……。お言葉に甘えるとしよう」


 美少女に手を引かれるまま、俺は歩き出す。

 こうして、俺の異世界ライフは幕を開けたのであった。

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