第十八話 奥義、観客席強制支配配信
正確には、一度
「
「ヒメも途中から一緒に戦っても大丈夫ぅ?」
『さすがにあの部屋はダメなのだ。無理なのだ。ヒメお姉ちゃんのために、いつものを用意したのだ』
生配信中に自身や友人知人、あるいはコラボ相手の
これもまた平成や令和の日本における配信で多発した光景であり、数々の悲劇を生んだ。
そして男はうっかり〝豆餅〟を本名のセツナと呼びそうになり、女から尻を
蹴り上げた女は
何故なら、尻を蹴られた男は宮本武蔵であり、蹴りを入れた女は沙倉妃芽だからである。
「この部屋の
「ヒメで〜す! 武蔵この後どうするのかなぁ、こんなに
『この部屋は出現上限が決まってないから、誰も入らなかったら
セツナはヒメの身分パネルと武蔵の身分パネルを接続し
画面全体に武蔵が爽快に無双し敵を
*
「…………っしゃあ、きたきたきたぜ! なあ、聞けエルフ! 七分も
「セツナのバカ! ヒメが気付いて
息を切らせ
「え? 何? さっきのヒメの右手ぇ? あのね、豆餅がヒメにちょっかいかけてきてて」
『そうなのだ。ヒメお姉ちゃん、ごめんなさいなのだ』
小さな画面
また、ヒメと〝豆餅〟が絡む謎の関係性に一部の
「あー、ヒメお腹すいてきちゃったなぁ」
『ヒメお姉ちゃん我慢するのだ、あと七分なのだ』
「そんなにあったんだ、もう残り三分くらいだと思ってたぁ」
『ごめんなさい嘘ついちゃったのだ、
暗号である。
宮本武蔵に対する、指令が下った。
それは〝今から三分後に開始〟と〝つまり七分、確保〟を意味する。
宮本武蔵は全力で整える、三分でどうにか、整える。
「斬れば
セツナが
飽きられるか無双で
「くッ、さすがに数が多すぎる……拙者一人では限界であったか」
演技である。
清々しい程の大根役者、白々しいカス演技のはずが「でも絶対これ、宮本武蔵がまた何かする前フリだよね」と
そして、全てが
「くッ、拙者の
宮本武蔵の
電 光 掲 示 板 。
セツナが準備し、駆け回り、
そこから彼女達の全楽曲名と
つまり、アリーナを埋め観客席から立ち上がり帰ろうとしていた聴衆の全員を、強制的にムサシチャンネル
「拙者には助けが
次の瞬間、武蔵の隣にヒメが現れた!
「速いな、さすがだ!」
「ヒメが手伝ってあげないとダメぇ? しょうがないな〜」
『ボクは画面には映れないけど、近くから魔法を撃って一緒に戦うのだ』
さすがだ、どころの騒ぎではない。
実の所、指令発動と合わせてヒメとセツナも
しかし、
「拙者が先陣を切る! 三人で参ろうぞ!」
「みんな見ててね、ヒメの風林火山……その
『武蔵お兄ちゃん、ヒメお姉ちゃん、
チャンネル登録者数爆増の秘策は、まだ残っていた。
最後の最後の総仕上げ、それはチャンネル
これもまた実際に、令和の日本における配信でよく目撃されてきた光景である。
早い話が「その配信者のチャンネル登録を済ませなけれぱ、
迷惑ユーザー対策に使う配信者もいれば、時には自身のチャンネル登録
しかし、ムサシチャンネルには明確な目的がある。
「聞け、客席アリーナから電光掲示板を見守る初見
「ヒメもチャンネル登録して欲しいなぁ、でも、あと六分で何が起こるんだろ〜?」
『ボクも気になるのだ。でも、今すぐにチャンネル登録しないと六分後に
チャンネル登録から五分後の視聴者、限定仕様。
つまり、登録を済ませてから五分経過した視聴者にしか
地上にいた観客席の聴衆全員が、慌てて座り直しムサシチャンネルのチャンネル登録者になったことなど最早、言うまでもない。
「続きの二つも
「ヒメの風林火山、
『こ、これは、風林火山の
令和日本においても、風林火山という言葉があることや戦国時代に武田信玄が
もう少し詳しい者なら、その
五輪書にも書き残され令和まで受け継がれる内容だがヒメは
とにもかくにも、ムサシチャンネルは残り時間が一分を切るまでの数分間も
「ヒメ、豆餅、そして全ての
「え、待って!? そんな構え、ヒメ知らない!」
『なんなのだ、ボクが知ってる風林火山の完全詠唱は風林火山陰雷までで終わりなのだ?』
武蔵の右手には
「高く舞い上がること、
ヒメもセツナも
高く、あまりにも高く
本来なら特別な
当然、まだ大量に残っていた
何故なら、その男は宮本武蔵だからである。
武蔵は着地、セツナに教え込まれたイケてる姿勢、キメ顔、カメラ目線、最高の
「
功労者セツナによる身分パネルを用いた
最終奥義、
何故なら、三人はムサシチャンネル
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