第四章 中級配信者審査
第十三話 セイレーンの悪夢
武蔵がヒメと出会い一ヶ月過ぎ正規初級冒険配信者の申請が受理されてから、半年が経っていた。
つまり昇級かアカウント強制削除からの作り直しか
「もっと早くセツナと会ってたら
「現在の登録者数は九万九千八百五十、なるほど確かにヒメの
「エルフ、不安なのか?
正規配信者になってから半年以内に十万人のチャンネル登録者数を集めた者は、実力が認められ
多くの冒険配信者は、
たった
「確かに! ヒメ達三人の
「百人と言わず
「いいねぇ、侍。お前のそういうとこ、好きだぜ?」
会場に
ただ、それだけである。
それだけであっても、百人という壁はあまりに高い。
そして、達成出来なかった者は配信チャンネルを削除され活動をやり直すのである。
*
「ヒメも着てみたいなぁ、配信学園の制服ー」
「中々に、上質な布を使っておるな」
「あんなガキ共なんか気にすんなよ、俺らには奴らにない〝冒険力〟がある」
中級試験におけるたった一つの規則、
金髪の少年と黒髪の少年が殴り合う場へ割って入り、
穏やかそうな黒髪短髪の少年二人に挟まれ、ガラの悪い茶髪ロングの少年が周囲を
大人しそうな黒髪少女と金髪少年に指示を出しながら、
全て、
ふとセツナが
「見てみろよエルフ、ガキばっかじゃねえぞ」
「わ、すご! 三人とも顔が良い!」
「あの者らの
セツナのように白衣を着用する、日に焼けた医者のような色黒の男性。
白衣の者と同じく黒髪で眼鏡をかけ、サラリーマン
黒い学ランを着こなし、切れ長の目と銀髪が特徴的な長身の男性。
「まあでも、会場で一番目立ってんのは俺ら三人だろうよ」
「ね! なんたって
「あながち、そうとも言えぬようだぞ。おぬしの
武蔵が視線を向けた電光掲示板の真下にいるのは、三人と似たような、異色の組み合わせ。
その陰に隠れ佇む、ヒメの似ように
三人目の女性。
ヒメやセツナや小柄な
そんな
三人目たる紫色の長髪に少し背が低く地味さを残しながらもふくよかな体型をした女魔術師は、やはり彼女の隣に立つ
会場内で
*
当然ながら武蔵達三人の全員が初めて
ここにきて、セツナの中で〝世界への疑念〟が更に強まった。
何故なら
どこから電気を引いているのか、あるいは
そもそも
内部の
ドーム球場の遺跡? あるいはドーム球場の形に似せて作った? 何の資料から? 誰がどういった目的で?
大体からして、
疑問は尽きないが、武蔵とヒメが高めた
「やべえぞ侍、お前は今すぐ
「わ、早い、武蔵とセツナ大丈夫!?」
「すまぬ……拙者は後手に回り不覚をとった!」
「始まっちまったもんはしょうがねえ、くそ、何か考えるッ!」
「あ、やっぱヒメにはあんま効かないねぇ……」
「
凶悪な冒険配信者集団、初心者狩りの
女性三人組からなる
船乗りを海に引き
「クソが、俺まで頭が回らねえ!」
「しっかりして、二人とも!」
「体は動くようになったが、
当然ながら耳栓や
が、過去十年の
セツナやヒメが予習したデータにない、奇襲である。
歌唱の魔力に当てられ続行意欲を喪失し、自ら配信チャンネル削除を開始する冒険者。
どのようにして作り出したのか、
電光掲示板すらも
復讐の亡霊と化し
そこに
「始まったな、今回も。
観客席にて、
「へへっ……まぁ、あの
「
「あっしにとっての〝合格〟ですかい、
あっしが見た限りの現時点では、ね。と
既に
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