第十二話 星を探す旅
「ヒメにはちょっと難しいかもぉ……」
案の定セツナと武蔵から説明を受けたヒメは頭から煙を出しそうになるも、差しあたりセツナが〝女性〟として武蔵に好意を抱く可能性は低いと判断し「まあいっか」で済ませた。
なお、会話の実に七割は適当に
「侍、エルフ……ここまで聞いてくれたお前らに二つ頼みがある」
「申してみよ」
「ヒメ、力になれるかちょっと分かんないけど出来ることならするよぉ」
「やっぱいい。また
「好きにするが良い。長かろうが
「うっわぁ……
思っていても飲み込んだ部分をヒメはズバズバと言うものだ、と武蔵は
「は? ウザいってなんだよエルフお前、どういう意味だ!」
「話したいのであろう。聞いて欲しいのであろう。
「武蔵のそれ! セツナってさぁ、何それ気になる教えて〜、って言われるの待ってたんでしょ!」
無意識の行動だったとはいえ
「まず一つ目だ。
「初手から妙な話になったな。聞きたいことは
「誰かが〝何か〟をして、
彼が
前世では新婚して幸せな家庭を築き第一子が生まれたばかりの父親が、寿命間近の老婆の身体に
世を
小学生女子児童の心が中年男性の体に
セツナの経験上、生まれたての赤子に
「何かの
「おぬしの旅の話を聞くと確かに、この上なく
「つらたん。結婚したばっかのお父さん可哀想……サイアク過ぎるぅ……」
*
セツナが
それを説明する
食品や流通、衣服に教育制度、全てがまるで前世で目にしたゲームやライトノベルのごとく冒険配信者に都合良く
「お前らに分かりやすいの一つ出すとよ、
「ヒメそれ分かんない。ちっとも分かりやすくないんですけどぉ?」
「
みな、日常生活を送っている。
身近な実例として
何故なら、その男は宮本武蔵……の一言で
それ程までに、当時の武蔵の
「
「ヒメ、あんまり気にしたことなかったなぁ」
「身分パネルや
理解を得られたようで解説者は静かに
弱々しい光だった星の一つが、輝きを増した。
何度も
話が回り道になる自覚はあった。
「信じられねえだろうが、人以外に……
「えっ……」
「その者らは、どうなったのだ」
国を一人放浪した頃を、セツナは思い出す。
「中身が人間の
「ねえ、アラートってなに?」
「知らぬ言葉だが、とにかく身分パネルが『
武蔵特有の、超速理解。
「そうだ、侍のそれでいい」
「ねえ! なんで武蔵さっきので分かるの!?」
「拙者は、侍だからだ」
身分パネルの判別精度がどのくらい正確なのかはセツナも分からない。
しかし、警告メッセージが伝えてきた
セツナが
セツナが右手の親指だけを立てろと言えば、同じく返事をして手を動かす猿型の
そして、発話可能な
「身分パネルの
「あ、うん、そっか……ありがとセツナ」
「拙者は、セツナが最初に
無自覚に殺人を犯していたかも、と青ざめるヒメに気づいたセツナは
一つ目の星とは別に、セツナは
つまり二つ目の星も、
「例えば
「パネルには伝わる、何かがあるってことね」
「忘れそうになっていたが、
セツナは、身分パネルと
「分かってきただろ? 現状は冒険配信者を続けるしかねえが、身分パネルにも
「ジンイテキって何?」
「雰囲気からして何者かが、人間あるいは集団が
四つの星が強い輝きを放つ。
「まだまだ長くなるが、要するに俺は世界を知りたい。知る
「わかった、いいよ!」
「早いな、ヒメは。だが、拙者も協力したくなった」
先ほどまで怯えていたヒメは、にっこりと
仲間の本心が知れたことが嬉しかったのだ。
「エルフお前、話理解できてんのか? ほんとにいいのか?」
「ぶっちゃけ半分くらいしか分かんないけどさぁ、チャンネル登録者数増やして今まで行けなかったとこ行きたいのってヒメや武蔵と一緒じゃんね!」
「理由は違えど、目指す場所は同じということだ」
セツナは、
朝日が昇ろうとしていることに気付き、もう一つの願いは後日に回すことにして会話を打ち切る。
「ありがとな。これからもその、頼む」
「もういっこの頼みもヒメ、聞くよ? なんか寝れなくなってきたし」
「セツナの気持ちを
そう、一大イベントたる
「侍の言う通りだ。まずは
「ならヒメも風林火山の練習してから寝るね、おやすみ!」
「ヒメはもう、十分に風林火山の
武蔵の口調を
「身分パネルの
「侍よお、お前は相変わらず話早くて助かるぜ」
拙者は侍だからな、当然だと笑う武蔵。
これからも頼む、と笑い返し部屋を出るセツナ。
男性の
そして、いつしか点と点が繋がり線となるように、世界の謎を解き明かすという星座を
何故なら、その解説者は
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