【KAC20248】めがねをきっかけにクラスの女子の信頼度が一気にMAXになってモテ始めた僕の話

下東 良雄

魔法のめがね

「何だろう、このめがね……」


 僕は須藤すどう彦一ひこいち神台じんだい中の二年生。

 朝、郵便受けに入っていた僕宛の封筒。

 開けたらめがねが入っていた。

 手紙も入ってる。


『私はエルフのセリシア。貴方は異世界転生の抽選には外れましたが、特別賞の「魔法のめがね」が当選しました!』


 エルフ? 異世界? ラノベでよくあるヤツ?


『この「魔法のめがね」をかけると、クラスメイトの女子限定で服が透けて見えます!』


 えぇっ!?


『他のひとには絶対に秘密で! それでは、めくるめくHな世界をお楽しみください♪』


 ちょ、ちょっと……


 ガチャリ


「ヒコ、おはようっ!」

「の、紀子のりこ!」


 幼馴染みでクラスメイトの橋爪はしづめ紀子のりこ

 いつも勝手に部屋へ入ってくる。


「あれ、めがね?」

「う、うん……」

「ちょっとかけてみてよ! 早く、早く!」


 僕だって男だ。女子の裸に興味はある。

 紀子は可愛いし、正直好意もいだいてる。


 見たい。

 紀子の裸が見たい。


 でも、そう思うほど胸が痛くなった。

 だって、それって紀子を裏切る行為だもの。

 僕を信用して部屋に来る紀子を裏切れない。


 僕はめがねをかけなかった。


 そして、めがねの秘密を話して、よこしまな思いをいだいてしまったことを詫びたところ、紀子は笑って許してくれた。




「おはよう……あれっ?」


 登校して教室に入ったら、男子全員がめがねをかけていた。フレームやデザインは全部バラバラ。うちのクラスに、めがねの男子はいないはず……あれ? 女子がいない……


 バンッ


 女子たちがぞろぞろと教室に入ってきた。

 クラス委員長の由紀を先頭に教壇に立つ女子たち。


「須藤くんだけね。信頼できる男子は」


 男子は試されていた。

 めがねは、女子たちが郵便受けに入れたものだったのだ。




「須藤くん、今日お昼一緒に食べよ♪」

「私と勉強しようよ♪」

「ヒコ! 何デレデレしてんの!」


 あの日、一気に僕の信頼度がMAXになり、女子から誘われることがすごく増えた。これが後に紀子を巻き込んだ恋愛騒動になるなんて、僕は想像もしていなかった。



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