第11話 再会
あれから3週間が経った日曜日、俺は晃一と光の3人で晃一の家の最寄駅近くに在る全国チェーンのコーヒーショップに居た。
「俺はアイスコーヒーのLサイズで」
「僕はアイスティーのMで」
「あたしは…カフェオレのホット、あ、お兄ちゃんチーズケーキもいい?」
「ああ、そのくらいならいいよ」
「じゃあそれも」
各々が注文した物をトレイに載せて空いていたテーブル席に座り、飲み物を口にしながら一息付く。
「漸く鎮火してきたな、翼」
「あぁ。それでも未だ燻っている処は有るんだがな」
「だからあたしが言ったでしょ?放っておけばそのうちに鎮まるって」
「ハイ、光様の仰る通りでございます」
「えっへん」
そんなドヤ顔の光を横目に俺は晃一に向かって「でもあれは驚いたな」「うん。あれは僕もビックリした」
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時間を少し遡り、その日曜日から3日前の木曜日の昼休みだった。何時もの様に中庭で晃一と弁当を食べてのんびりしていた所へ3人の男が近付いて来た。それは…中野 真一、日野
「本当に申し訳ない!すまなかった!」
そう言うと3人は頭を深々と下げた。しかもその頭は…茶髪でチャラチャラしていた面影は無く黒く染められ、しかも五分刈りになっていた。
「あ、あの先輩方、どうしたんですか?その髪形は…」
「ああ、これは俺たちなりのケジメだよ」
「ケジメ、ですか」
「そうだ。
「そうだぜ、修は彼氏持ちの女の子に手を出そうなんてバカな事をしやがって」
俺は(ああ、此処にも未だ勘違いしている人が居たよ)と心の中で呟いた。まぁそれは放っておくと決めたので良いんだけど…
「そう言えばその神田先輩はどうしたんですか?」
「ヤツか…ヤツは学校辞めたよ」
「「えぇっ?」」
「ああ、天狗になり切っていた鼻っ柱をお前達に折られてから魂が抜けたみたいな感じになっちまって、この前の陸上競技会でも精彩を欠くどころか全くヤル気を失っていたんだ」
「………」
「それで学校も休みがちになってつい昨日、退学届を出したんだ」
「…何だか、其処まで追い込んでしまって申し訳ないです」
「いや、それはヤツの自業自得だ。お前達が気に病む事は無いぜ」
「ありがとうございます」
「じゃあ俺たちは行くぜ。お前達、仲間は大事にしろよ」
「はい。先輩達だって3人、大事な仲間達じゃあないですか」
「ははは、そうだな。じゃあな」
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さて時間を戻して日曜日のコーヒーショップ。
何故、此処に居るかと言うと先週の週末に俺が秋絵から頼まれたロマンスカーの切符を使って日帰り旅行をしてきたんだけど、その代金とお土産を渡したいとの事で、何故か光にも買って来たと一緒に待ち合わせている。そして待つ事10分くらいすると、秋絵と雪子、それにもう一人の女の子がやって来た。ははん、あの子が秋絵達と中学の頃から仲が良いって子だなと思ったのだが…
(あれ?あの子、何処かで見たかも知れないな。う~ん、何処だ?………この前、神川橋駅で見た子に良く似ているな。この前はメガネをしていなかったけど今日は赤い縁のメガネを掛けてるし、髪形もあの時はお団子ヘアだったけど今日はポニーテールだし…あ、でも髪を留めてるシュシュが同じだぞ、って事は…)
俺がそんな事を考えていたら向こうも気付いたらしく、周りに気付かれ無い様に唇に人差し指を当てた。
(なるほど、秋絵達には撮り鉄って事を内緒にしているんだな)
俺は瞬時にそう理解して、周りが判らない程度に軽く頷いた。
「つー君と晃一君お待たせ~。光ちゃんもありがとうネ」
「俺達もそんなに前じゃないからな」
「秋絵さん、あたしも来て良かったんですか?」
「もっちろん!」
そう言うと秋絵が真ん中に、晃一の前に雪子が座り俺の前にはもう一人の女の子が座る。
「こっちの男の子が秋川 晃一君と上野 翼君、それに翼君の妹さんの光ちゃん。で、この子はあたし達と中学の頃から仲良しの
その名前を聴いた瞬間に女の子と俺、光が同時に…
「うっそぉぉぉぉぉぉ!?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「ホントにぃぃぃぃぃ!?」
目の前に居る女の子は俺の初恋の相手で今でも想い人、「白河 望」本人だったのだ!
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