第7話 対策会議

 明けて月曜日、俺は何時より20分早く家を出て学校へ向かった。最寄駅の電車は朝の通勤時間帯は20分サイクルで電車が来るので学校へもちょうど20分早く着いた。さすがにこれだけ早いと登校している生徒は少なく、殆んど誰にも逢わずに教室へ入ると先に秋絵と雪子が待っていた。


 俺が二人に「おはよう」と声を掛けると雪子から「翼君、おはよう。早くからごめんなさいね」と言って来た。


「早速なんだが雪子、昨日の話は間違いないのか?」

「うん、確度99%で事実だと思う。女子の情報網ネットワークって凄いもの」

「話を整理すると、3年の神田が秋絵を陸上部へ勧誘するって事を口実に嘘告を仕掛けて来るって事だな?」

「そう。それに春休み前の立川さんの件も有ったから…」

「その噂は俺も耳にしたよ。俺はどう考えても噂と立川さんが結びつかないから信じなかったけどな。で、秋絵はどうなんだ?」

「あたしはあんなチャラチャラしている人は論外よ」

「解った。取り敢えず、俺も何かしら対策法を考えてみる。昨日から幾つか対策は考えたんだけど…晃一に話しても構わないか?」

「晃一君に?」

「ああ。どの対処法にしても晃一の協力が必要なんだ」

「協力してくれるかな…」

「あいつは俺の親友だぞ。喜んで、とは言わないかもだが協力を断る男じゃない!」

「ごめんなさい。じゃあ翼君からお願いしてみて」

「すまん、俺も言い方がキツかった。じゃあ先ずは秋絵、なるべく一人で居るな。向こうも周りに誰か居る時に仕掛けては来ないだろう。雪子はなるべく秋絵と一緒に居てくれ。それと神田に関してもう少し情報が欲しい。立川さんの件とか、神田本人の事とかだな」

「「わかった」」

「じゃあ俺は昼休みにでも晃一と話し合うわ」


 そう言って朝の相談は終わった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その日の昼休み、俺は晃一と中庭で弁当を食べながら此処までの経緯と情報を話し、協力を求めた。

「って事なんだ。申し訳ないが協力してもらえないだろうか?」

「……翼、僕は悲しいよ」

「えっ?」

「何でそんなに遠慮するんだ?僕と翼は親友だろう!」

「いや、あの…秋絵と雪子は俺の幼馴染みだから何とかしたいけど、晃一を捲き込むのは心苦しいと言うか…」

「翼の大事な幼馴染みなら僕にとっても大事な友達だ!そんな友達が大変な事に捲き込まれそうなのに知らん顔なんか出来ない!」

「晃一…」

「ああ、喜んで協力するよ。何でも言ってくれ」

「本当にありがとう。じゃあ、俺の対処法なんだけど」


こうして俺たちは相手が動き出すのを待ち構えた。

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