第5話 お願い

「……んんん、今何時だぁ?」

 今日は土曜日で休みなのでアラームをセットせずに寝てしまったのだが、カーテンの隙間から入る陽射しが朝とは思えない…「うわっ!?もう11時過ぎじゃねえかっ!」


 やっちまった、今日は天気がいい予報だったので近場へ撮影に行くつもりが完全に出遅れちまった。しかも明日は雨予報で出掛けるのは難しいし…と、そこへ光が「お兄ちゃん、入るよ~」


「やっと起きたんだね、お兄ちゃん」

「あぁ、寝過ぎたわ」

「お母さんがお昼ごはん食べるのか?だって」

「あ、母さんも休みか…もう出掛けるには遅いから昼は食べるよ」

「分かった、お母さんに言っとく。で、今日は暇になったでしょ?なら買い物に付き合ってくれない?」

「…宿題を済ませてからならいいけど、金は出さないぞ?」

「大丈夫!お小遣い有るから」


 取り敢えず部屋着から私服に着替えてリビングへ行くと、母さんがキッチンで昼食を準備していた。


「母さん、おはよう」

「おはようって時間だと思う?まったくこんなところは母親似なんだから…」

「えっ?母さんは朝平気なんじゃないの?」

「ううん、母さんも朝は弱かったの。でもお父さんと一緒になってからは仕事をある程度は任されたし、一生懸命になったら慣れたの」

「意外だな、それ」


 そんな会話をしながら母さんの作ったハムエッグとトーストを食べて「ごちそうさま!じゃあ宿題済ませるね」と言って自室へ行き、国語の宿題を消化しているとスマホからピコン♪とライムの通知音。何かな?と思ってスマホを見ると秋絵からのメッセージ…これは絶対に嫌な予感しかない。


『つークンにお願いが有るんだけど(ウルウル)』


 何だよ、ウルウルってとツッコミたくなったと思ったらメッセージに既読が付いたみたいで秋絵から着信が来た。


「あ、つークン?」

「何だよ、お願いって」

「ゴールデンウィーク明けの週末、雪子達と日帰りでミニチュアランドに行こうって話が纏まったのよ」

「…先に言っとくけど、俺たちは行かんぞ

 」

「あ、それは大丈夫。今回は女子3人だけで行こうって話だから」

「ん?3人?」

「うん。私と雪、それと中学時代から仲が良い子の3人で」

「あぁ、なるほどね。それで俺に何をしろと?」

「あのね…ロマンスカーの切符を手配して欲しいかなぁと」

「お前なぁ…俺を何だと思ってる?」

「ん?歩くJ●Bかな」

「終いには手数料取るぞ!」

「お土産でどう?」

「ったく…じゃあ行きと帰り、希望の時間だけ後で教えてくれ。その前にその辺りに中間テストが在るのは忘れるなよ?」

「ラジャー!」


 こうして秋絵のお願いを受け入れってしまったのだが、これも重大な問題に繋がるなんて夢にも思わなかった。





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