こう見えてわしは『魔法の大家』と呼ばれる大陸一の魔術師じゃ
「ふむ……」
ルーヴェンディウスがリリムの像に触れ、精神を集中させてからちょうど二分後にルーヴェンディウスは目を開いた。
「内部構造はだいたいわかった。これでリリムたんを元に戻すことが――」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
魔法を詠唱しようとしたルーヴェンディウスをイリスが止める。
「今ここでリリムを戻すのか?」
「そうじゃが?」
「あんたが?」
「むろんじゃ」
そう言うルーヴェンディウスにイリスは頭をぶんぶん振った。
「いやいやいやいや。人の命がかかってるんだぞ? もうちょっと慎重に……そう、専門家のところに持って行ってだな――」
とイリスは言ったが、ルーヴェンディウスは心底何を言ってるのかわからないと言った風に、
「専門家などここにおるではないか。わし以上の適任者はおらぬ」
そう言うとルーヴェンディウスはイリスを無視して精神の集中に入った。しばらくして付け加えた。
「安心せい。こう見えてわしは『魔法の大家』と呼ばれる大陸一の魔術師じゃ」
すでに魔法の構築は完了している。魔法とは大気に広く存在するマナを吸収し、体内に存在する魔力と混ぜ合わせ、イマジネーションの力で発動する技術だ。マナの効率的な吸収力、魔力の豊富さと密度、そしてイマジネーションの素となる知識において千年この世界に通じているルーヴェンディウスの右に出るものはいないと自負していた。
それゆえの『適任者』である。
「お、おい! 待――」
イリスが静止する間もなく術が効果を現し始めた。柔らかな緑の光が像の肩に触れた右手から像全体に広がっていく。
「うわっ――!」
光は徐々に強まっていき、イリスがその光に怯んだとき、その効果は最大化した。
島全体を包み込むかと思えるほどの光が像に集まる。
そして――
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