プリンセスナイトとオフ会4
「流華さん、優しくてかっこいい人だね」
「そうでしょう。流華さんは正義感が強くて頼りになる人なんだ」
流華のことを褒めると由紀は嬉しそうで慕っていることがわかる。
気を取り直して真白達はショッピングモールで色々と見て回った。
楽しい時間はあっという間に過ぎた。夕方になり帰る時間となった。
「二人とも送っていくよ」
「え……それは悪いよ。流石に」
「私は大丈夫だから、由紀を送っていってあげて」
「昼間の件もあるし、心配なんだ。それにさすがに、夕方に二人で女の子を帰らせるわけにはいかないよ。セレナ、いいよね?」
「そうですね。昼間のこともありますし送っていきましょう」
昼間の件もあるので二人だけで帰るとか、真白は心配で気が気でなくなってしまう。だから一緒に行ったが良いのだ。
「……それじゃあ、お言葉に甘えて。お願いします」
「……わかった。お言葉に甘えて」
昼間のことを二人は思い出したのだか、少し不安そうに真白の提案を受け入れてくれた。
まずはひなたが家に近いそうなので家まで送り届ける。
道中は今日の楽しかったことの話から、次はどこで遊ぶかという話、とにかく話題には事欠かなかった。
だからあっという間にひなたの家まで辿り着いてしまう。名残惜しさはあるが、目的は達成したので良しとした。
ひなたの家の近く、彼女の家は目と鼻の先だ。家ならもう安全だろう。
「ひなた、じゃあまた明日ね」
「ひなたちゃん、また明日ね」
「ひなた様、失礼します」
『ひなた、またな!』
「うん、みんな……今日はありがとね。凄く楽しかった!」
「うん……僕も楽しかったよ」
「私も楽しかったよ」
「私わたくしも楽しかったです」
『オイラも楽しかったぜ!』
真白達は笑顔を交わして、ひなたとは家の前で別れた。
「次は由紀を家まで送っていくよ」
「よ、よろしくお願いします」
ひなたがいなくなったからか、真白達は口数が少なくなってきた。真白とセレナはあまり話すタイプではない。
とはいえ、気まずいということはなくてこの空気も悪くはなく、居心地がなんとなく良かった。
真白と由紀が楽しく喋るのをセレナとレメは後ろから見ていた。
『なぁ、あの二人雰囲気良くないか?』
「そうですね」
『セレナはどう思ってるんだ?』
「私は別になんとも思っていません。ただ……たまにドキッとさせられるところは心臓に悪いです」
『わかる。オイラもアイツにドキッとさせられるぞ』
雑談していると由紀の家に着いた。
「ここが由紀の家でいいのかな? 喫茶店を開いているって聞いてたけど」
「うん、そうだよ。よかったら今度来てみてよ。セレナちゃんと紗希先輩も連れきてさ。送ってくれてありがとう。今日は凄く楽しかった。また明日ね」
「うん……僕も……」
「どうして……神原がいるんだ……」
お互いに笑顔を交わして、真白も楽しかったと言おうとした直後に、横から光瑠の声が聞こえてきて振り向くと光瑠と潤に隆太がいた。
まるで浮気現場を目撃したような表情を光瑠はしている。
光瑠達もオフ会を終えて帰ってきたところだった。
二人の間に気まずい雰囲気が流れる。
「暗くなってきたから心配で家まで送ってきたんだ」
「そ、そうなの真白くんに家まで送ってもらったの」
「どういうことだ、神原っ! お前、由紀と何をしてたんだ!?」
胸倉を掴んできそうなくらいの形相で、光瑠は怒鳴る。
動揺しているのだろう。普段は余裕たっぷりでいるのだが今は戸惑いで顔が歪んでいる。
由紀のことになると光瑠は冷静さと余裕が欠ける。
「お、落ち着いて天草くん、由紀を家まで送ってきただけだから」
「光瑠、落ち着きなよ。由紀が誰かと一緒にいようがそれは由紀の勝手だろ?」
「そうだぜ、光瑠。一旦落ち着け」
潤と隆太が動揺する光瑠を落ち着くように宥める。
光瑠は睨み敵意をむき出しにする。
彼が好意を持つ由紀が、嫌いな男と一緒にいたからだろう。
嫌いな男と二人きりなのだ。きっと、色々な感情が沸き起こっているに違いない。
好かれているとは思ってないとはいえ、こうも露骨な態度をされると真白は悲しい気持ちになる。
『なぁ、なんでアイツあんなに敵意むき出しにして焦ってるんだ?』
「ふむ、そうですね……。好きな人が他の人、しかも気に入らない相手と一緒にいるので焦ってるんだと思います」
身辺調査で真白の交流関係などを調べていたため光瑠がどういった人物なのかある程度わかっていた。
「ごめんなさい、真白くん」
「謝らないで大丈夫だよ。気にしてないから」
由紀が謝ることじゃないのに由紀は物凄く申し訳ない表情をしている。
今に始まったことじゃないので真白は気にしてない。
それよりも、光瑠のためにもここはさっさと帰ることにする。
「僕はもう帰るね。今日は楽しかったよ。またね」
「失礼します」
『由紀、またな』
「うん、またね」
近所迷惑になると思い、真白達はこの場から立ち去る。
光瑠は何か言いたそうな顔しているが潤と隆太に止められて何も言わなかったが、めちゃくちゃ睨みつけてくる。
『めっちゃくちゃ敵意むき出しだったみたいだけど、お前アイツに嫌われてるのか?』
「うんまあね」
『何か嫌われるようなことしたのか?』
「うん、まあ……そうだね。実は……」
ゲームにのめり過ぎて、ほぼ昼夜逆転の生活を行っていた。夜通しゲームをして、学校で寝る。今思い返してみれば不真面目極まりない状態ではあるが、教師も何度注意しても寝る真白に対し途中から諦めて何も言わなくなった。
ただそんな中でも真面目な人と言うのは居るもので、由紀と光瑠や潤はもうそれは毎日の様に注意してきてた。今となっては申し訳ない気持ちになる。
少しずつ改善はしていったが、それでも態度は変わることはなかった。
『うん、それは嫌われるな』
「真白様……学校に何しに行ってたんですか……」
真面目な性格をしているセレナがレメまでもがジト目で見てくる。
「はい、深く反省しております」
『今はどうなんだよ?』
「今は改善したよ。悪い印象が残ったまま現在こうなっています」
自分が蒔いた種とはいえ、こうも露骨な態度をされると悲しくなる。
真白は反省をしているが光瑠には悪い印象を残したままだった。
『自業自得だな。でも反省して改善したのは良いことだぞ』
「天草様にとって真白様は由紀様にまとわりつく邪魔な存在で疎ましいのでしょう」
「うん、まあ、そんな感じだね」
改善し謝罪はしたものの、光瑠にとっては印象は最悪なままだった。
「仲良くする努力はしたんだけど、印象が最悪過ぎて嫌われたままなんだ。関係修復は無理だと諦めた」
「それだと教室の空気悪くないか?」
「最初はそうだったけど、今は当たり前のように慣れてしまったんだよね」
教室の空気のおかしさには慣れてしまったのか今では何事もないようなことになっている。
「何かごめんね。僕のせいとはいえ二人に変な空気にして」
『まあ、お前が反省してるならいいんじゃないか? 光瑠もあんなに突っかかってくることはないだろうとは思ったけど」
「私は気にしてないので大丈夫です」
自分のせいで空気を悪くしてしまったことに申し訳ない気持ちになり真白は謝る。
「むしろ、真白様は明日のことを考えた方がいいと思います」
『どういうことだ?』
「もしかして明日学校で問い詰めてくるのかな?」
「その可能性があると思います」
光瑠のことだから由紀ことについて問い詰めてきそうではある。
真白はそうならないようにに願うのだった。
To be comtinued
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