プリンスナイトと防衛戦4
「【零の太刀・絶影】
『グゴガギャァァァアアアァァァァァッ!』
ミヤビがスキルを放ち、とどめを刺した。
轟くような断末魔を残して東門を襲ってきたシルバードラゴンは光の粒子となって消滅した。
シロウ達が倒した西門のシルバードラゴンの時と同じように、それまで門を攻撃してきたモンスター達は我先にと逃げ出していく。
それを見て東門を守っていたプレイヤーやNPC達から歓声の声が湧き上がった。シロウ達と同じように西門から助けに入ったプレイヤー達もその輪に加わっている。
「あんまり活躍できなかったね」
「まあ、いいんじゃないかな。僕らは西門の方で頑張ったしね」
ため息混じりにそうこぼすヒナタに、慰めともつかない言葉を返す。彼女としてはまだまだやる気があったため、不満なのだろう。
「やあ、シロウ。 お疲れ様!」
「ハルカもお疲れ様。カオリとコウキにイオリくんも」
【人間族ヒューマン】のハルカが駆け寄ってきた。その後ろには【人間族】のカオリ達がいる。
「シロウのおかげで助かったよ!」
「シロウが助けに来なきゃ、俺達やられてたぜ」
「シロウ、ありがと助かったよ」
「いや、全然活躍できなかったと思うけど」
「でも、サポートしてくれたおかげで攻撃に専念できたんだよ」
ハルカにそう言ってもらえると少しは役に立てたのならよかったとシロウは思う。
「やっほー! シロウくんお疲れ様♪」
「あ、ミヤビさんお疲れ様です」
彼女はミヤビ、上位ランキング四位に入るトッププレイヤーだ。
明朗快活な人で、赤色の着物に青の袴、腰に二刀の刀を携えた女性剣士で侍を彷彿させる。
ギルドに所属してはいなく、ソロプレイヤーとして活動している。
シロウ的には自分より強いと感じており、なぜ毎回四位なのかと疑問に思うことがあった。
「シロウくんが来てくれたお陰で助かったよ。ありがとね♪」
「いえいえ、役に立てたならよかったです」
(ふふふ、シロウくんに会えるなんてラッキー♪ )
ミヤビは大の美少女、美少年好きだった。なのでミヤビにとってシロウは容貌、性格ともに好みだった。
「なんだか、私と同じにおいがするわ」
「お姉ちゃん、ミヤビさんから同類意識を感じたの?」
「ええ、なんとなくね」
リサはミヤビから自分と同じ美少女、美少年好きのにおいを感じとり、ミヤビの考えていることがなんとなくわかった。
シロウはメニューを開いて街の情報を整理している。
「西門と東門のドラゴンは倒しました。南門も倒したらしいです。あと残りは北門ですね」
「北門には私たち西門からの救援も行なっているはずだから、そろそろ……あ、ほら」
ミヤビがドラゴンを倒して少し経った頃。
「【光剣】!」
『グゴガギャァァァアアアァァァァァッ!』
轟くような断末魔を残して北門を襲ってきたシルバードラゴンは光の粒子となって消滅した。
シルバードラゴンがやられると、門を攻撃してきたモンスター達は我先にと逃げ出していく。
それを見て北門を守っていたプレイヤーやNPC達から歓声の声が湧き上がった。西門から助けに入ったプレイヤー達もその輪に加わっている。
「ヒカル、かっこよかったよ!」
「ヒカルくんかっこよかったです」
「ヒカルお兄ちゃんものすごくかっこよかったですー」
とどめを刺したヒカルのギルドである女性のプレイヤーは熱っぽい視線送り褒める。
「俺だけの力じゃない、みんながいてくれたから倒せたんだ。みんなありがとう」
離れたところで一部男性プレイヤー達は羨ましいそうに見ていた。
「いいよなぁ。俺達も頑張ったっていうのに女の子プレイヤー達に褒められない」
「仕方ないさ。ヒカルは顔良し性格良しで正義感の強い、主人公みたいな人間だからモテるのさ」
「俺も真似をすれば……」
「ただし、イケメンに限る」
「やめろそれは言うな」
男性プレイヤー達は羨ましそうにしつつも、男性プレイヤー達はこの場から去って行く。
「ヒカルくん、おつかれー。ジュンちゃんとリュウタくんも」
「ユキが来てくれて助かったよ」
「そんなことないよ。全然役に立ててなかったと思う。私たち救援に駆けつけるの遅かったし」
「そんなことないさ。ユキがいてくれるだけで俺は嬉しいさ」
イケメンで女の子なら誰もがキャーっと言いそうなものだが、ユキは赤面することも恥ずかしくなることもない。
「ヒカルさん、その方はどなたですか?」
「この子は俺の幼馴染、ユキだよ」
「は、初めましてユキです。よろしくお願いします」
「カナだよ。よろしくね♪」
「イチカです。よろしくお願いしますね」
「アカリです。よろしくお願いしますー」
ユキは緊張した面持ちで挨拶する。彼女達はヒカルに好意を抱いていることがすぐにわかった。
彼女達もまたヒカルがユキに対しては微妙に態度が違うことに気がつき、ヒカルがユキに好意を抱いていることに気がついた。
「ユキもお疲れ様。ユキの回復のおかげで助かったよ」
「ユキが来てくれなかったら、今頃やられてたぜ。サンキュー」
ジュンとリュウタがユキにお礼を言う、ユキも役に立てたならよかったと思った。
最後に北門のドラゴンを倒したことで、盛大なファンファーレが鳴り響き、公式アナウンスが流れてくる。
『おめでとうございます。【襲い来る銀のモンスター】を見事クリアいたしました。参加されたギルドとパーティには「カタログギフト」、プレイヤー全員には記念アイテム「シルバーシード」と【フレスベルクの守護者】の称号を送らせていただきます。なお、個人による獲得経験値、及び、ドロップアイテムは後日運営側から送らせていただきます。また総合貢献度が上位百名の方々には特典として「シルバーチケット」を送らせていただきます』
死に戻ったプレイヤーにも記念アイテムと称号を贈られることになっている。
メニューを開き、運営からのメールを開くと『シルバーシード』と【フレスベルクの守護者】が添付されてあった。
シロウにはもう一通運営からメールが来ていた。
「総合貢献度三位……。特別褒賞は……【雷天帝装らいてんたいそう】『ゴールドチケット』三枚」
「騎士君、十位入りしたの!? さすがだね!」
「やるじゃん!」
ちなみにシロウのギルドメンバーで百位入りしたのはセレナとヒナタでセレナが九位、ヒナタがギリギリ九十五位だった。
「一位はミヤビさんですか?」
「ん、そうだね。特別褒賞は……【武者の守護】と『ゴールドチケット』五枚」
さすがはミヤビさんだと思った。
「【武者の守護】は星三つスキルみたいで効果は鎧武者を召喚して攻守共にできるみたいね。」
「ミヤビさん、スキル能力を晒してますけど大丈夫ですか?」
「んふふ、私は別にそういうのは気にしないし、聞かれれば答えるよー」
どこか余裕そうでミヤビには圧倒的強者感があるのだった。
To be comtinued
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます