現れるプリンスナイト
プリンセスナイトとイベント開始
【カレイドブラッド】の襲撃を受けて一週間が経ち、イベント当日がやってきた。
ちなみにあの後、遅れてやってきたリサとユカは申し訳なく思っており、シロウは別に気にしなくていいと言っておいた。
しばらく噴水広場で待っていると参加者が続々と集まってきた。
広場にシロウが現れると注目を集めた。
上位に入っているため注目されていたが、シロウと【カレイドブラッド】の戦いが『アストラル』専用動画にアップされていてさらに注目を集めていた。
「動画のおかげでさらに有名人になったわね」
「動画見たけど、ものすごい勢いで再生数が上がってたよ。コメントも次々と……」
「あはは、そうですねー」
シロウは思わず苦笑いになる。
『アストラル』専用の掲示板をよく見るのでシロウは自分が注目されていることを知っていた。
イベント会場の空中には巨大スクリーンが映し出されていた。あれで順位の高いプレイヤーや戦闘を中継するのだ。
それは生産職や参加しなかった人が見ることになる。
「騎士君、ヒナタちゃん、セレナさん頑張ってね!」
「私達は観戦しながら応援してるわね」
「三人共がんばれー」
「三人共頑張れよ!」
参加しなかったユキ、リサ、ユカの三人とナビゲーションピクシーのレメは空中にある巨体なスクリーンで観戦するようだ。
「それでは、第一三回イベント! バトルロイヤルを開始するティナ!!」
あっちこっちからうおおおおといった怒号が響く。
アナウンスをしているのはアストラルのマスコットキャラクターのティナナだ。
愛くるしい姿をしていて、妖精をモチーフにしたマスコットキャラなのだ。
特に女子と子供には大人気でグッズが出ていたりもする。
「それでは、改めてルールを説明するティナ! 制限時間は五時間。ステージは新たに作られたイベント専用マップだティナ! 倒したプレイヤーの数と倒された回数、それに被ダメージと与ダメージ。この四つの項目からポイントを算出し、順位を出すティナ! プレイヤーの皆、上位を目指して頑張るティナ!」
そう言い終わるとスクリーンに転移までのカウントダウンが表示され、ゼロになった瞬間、シロウ達と参加者のプレイヤー全員が光に包まれて転移した。
「ん……ここはどこだろう?」
シロウは眩しくなくなったことに気付き目を開ける。
周りを見て見ると辺りは森と廃墟に覆われていた。
ヒナタとセレナは別の場所に転送されて、姿は見えなかった。
シロウは他のプレイヤーを探すために移動をすることにした。
周りを警戒しつつ森の中を歩いていると二人で構成された剣使いと槍使いのパーティーを見つけた。ちょうど二人も周りを警戒していたようで、シロウの接近に気づく。
パーティーを組むことは反則ではない。パーティーメンバーの一人でも上位十位以内に入れようと結束しているのもある。
「やるぞ!」
「ああ!」
剣使いは盾を装備しており、盾を構えつつじりじりと距離を詰める。
「【乱れ突き】!」
「【スラッシュ】」
槍使いは連続の突きを出してくる。シロウはスキルを発動して剣で払いのける。
力ではシロウの方が上で払い退けられた槍使いはバランスを崩す。
バランスを崩した槍使いは隙だらけでシロウは迫る。
「【クロススラッシュ】」
「うっ……」
赤いエフェクトが飛び散るが、槍使いは何とか生き残る。
「【ソニックブレイド】!」
背後から素早い縦切りが迫ってくる。
剣使いはいけるとそう思った。
「【カウンターブレイド】」
「くっ……」
シロウは振り返ると『プリンセスソード』と『変幻自在』で受け止めて、カウンターを決める。
「【ファントムラッシュ】」
シロウは二人纏めて斬りつけて、倒した。
「さて、どんどん行こう」
シロウは次のプレイヤーを求めて歩き出した。
進んでいくとプレイヤーと遭遇してはどんどん倒していく。
気配を消して、奇襲を仕掛けてくるプレイヤーもいるが、【気配察知】のスキルが働いているのでシロウには意味がなかった。
廃墟とした建物が見えてくるのでシロウは向かって行く。すると、【気配察知】が働いて大勢のプレイヤーの気配を察知する。
警戒して進むと廃墟とした建物に百人くらいのプレイヤーがいた。
パーティーを組む者は何度か見かけたが、百人はさすがに見たことがなかった。
半分は魔法使いでもう半分は弓使いのようでシロウを視認してすぐに杖を掲げて魔法を放ち、弓使いは弓を放ってする。
おそらくこうやって建物からなんどもプレイヤーを狩ってきたのだろう。
その動きには淀みがなく慣れを感じられる。
「「【ファイアーボール】」」
「「【ストライクショット】」
「ふふっ、受ける立つよー【加速】】」
魔法と弓の雨がシロウに降りかかってくる。
シロウに向けて降りかかってきた。加速して魔法と弓を避けて避けきれないものは剣で弾き叩き切っていく。
相手の魔法と矢が尽きた時。シロウは剣を掲げる。
魔法と矢使いの周りの頭上に剣が出現する。
「【サークル・ソード】」
シロウはさっきのお返しとばかりに剣の雨が魔法使いと弓使いの集団に降りかかっていく。
魔法使いと弓使いの集団の他に巻き添えを食ったプレイヤーもおり、近くのプレイヤーはひっそりと吹き飛んでいた。
一方、セレナの方はというと。
森の中を歩き、行く先々でプレイヤーを倒していき、百を超えてからは数えることをやめていた。
周りを警戒しながら歩いていると大剣使いと槍使いの女性ニ人組を見つけた。ちょうど二人も周りを警戒していたようで、セレナの接近に気づく。
「やるぜー!」
「了解!」
大剣使いは構えてじりじりと距離を詰める。
「【スターアサルト】」
槍使いは高速で突撃してくる。
セレナは体を捻り槍をすれすれで回避し、前進する。短剣が隙だらけの槍使いに迫る。
「【クロススラッシュ】」
赤いエフェクトが飛び散るが、槍使いは何とか生き残った。
そして咄嗟に槍を引き戻して横薙に払う。
「なんで!?」
セレナはその槍を上体反らしで回避したのだ。反応速度が人間とは思えないその回避に、槍使いの思考が止まる。
「これで終わりです」
セレナの短剣は槍使いの首を切りHPがゼロになった。
「【サイクロン】!」
大剣を振り回して広範囲のスキルを発動してくる。
セレナは跳躍し、避けると大剣使いに踵落としをする。
大剣使いは踵落としを食い、一瞬ふらついた。
「【アクセル・ファング】」
「くっ……」
高速で大剣使いを斬りつけていく。
攻撃すればするほど自分の状況が不利になっていくことに大剣使いは気づいた。
「くそっ……どうすればいいんだ」
「【ファイアーボール】」
どうすれば攻撃が当たるのかを考えてセレナを睨んでいた大剣使いは、相手が魔法攻撃をしてくることは予想だにしてなかった。
相手が異常なだけに大剣使いは焦っていたのである。
「これで終わりです【アタックブレイド】」
素早い縦切りが大剣使いに当たり、HPがゼロになって消滅した。
「さてどんどんいきましょう」
一方ヒナタの方はというと。
他のプレイヤーと殴り合っていた。
相手はヒナタと同じ格闘家で年齢は同じくらいの女の子だ。
「オラァッ! 【ライトニング・ストレート】!」
「【ブレイジングインパクト】!」
相手は青く光った拳を纏わせて正拳突きを繰り出す。ヒナタも炎の拳を纏わせて迎えうった。
拳と拳がぶつかり合い、衝撃波が生まれる。周りで漁夫の利を得ようとしていたプレイヤーはその余波で吹き飛ばされる。
「へへっ、なかなかやるじゃん」
「アンタもね」
お互い笑い合い楽しそうにしている。
「いくよ! 【ブレイズキック】!」
「いくぜ! 【ライトニング・キック】!」
ヒナタは跳躍すると足に炎を纏わせて蹴りを繰り出し、相手は光を纏わせて蹴りを突き出す。
「うりゃあああっ!」
「うおおおおっ!」
蹴りがぶつかり合い、僅かの差だったが相手はヒナタに押し負けた。
「楽しかったぜ。またやろうな」
「うん! また会ったらやろう!」
勝負に勝ったのはヒナタで、ギリギリだったが勝つことができた。
勝ったとはいえヒナタの残りHPは僅かで、あと一撃でも食らえば終わりだ。
復活できるとはいえ、復活するのに時間がロスしてしまうのは惜しい。
「うへー、残りHPがやばいけどできるところまで頑張ろ!」
ヒナタはピンチだが、できるところまで頑張るつもりのようだった。
To be comtinued
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます