第16話

その姿はまるで舞を踊るかの如く美しく華麗な動きで敵を斬り捨てていく姿はまさに勇者と呼ぶに相応しい姿であった。

「凄い……」と私は思わず呟いた。

私が見とれていると背後から忍び寄る影があったのだ……。

「カミル危ない!」と叫ぶアベルくんの声が耳に入った時にはもう遅かった……。私は魔物の攻撃を避ける事が出来なかったのだ……。しかしその時である!ケインが私の前に現れて魔物を斬り捨てたのだ。

「大丈夫かい?カミル?」

「う、うん……」

彼は私に手を差し伸べると立ち上がらせてくれたのである。

立てれたけどふらっとしてしまいそのままケインに抱きつく形となってしまう。

「……!!」

ぼぼっと顔が真っ赤になるのがわかる。

アベルから

「お二人さんそろそろいいかな?」

慌てて離れる私達。


「す、すみません」

「いや、いいんだ。それよりも怪我はしていないかい?」

「はい!大丈夫です!」と私は答えたのだが……。

ケインが突然私の腕を引っ張るとそのまま抱きしめたのだ。そして耳元で囁くようにこう言ったのである……。

「カミル、本当に大丈夫?」

ドキッとしたがすぐに冷静になる。

(あぶない!あぶない!)と自分に言い聞かせる私。しかし心臓はバクバクしており顔は熱かった……。


「だ、大丈夫だから!!」

「そう?ならよかったよ!」

と言いながら彼は私から離れた。そして私達はそのまま先へ進む事になったのである……。

(ドキドキ)と心臓の鼓動は鳴り止まず私は暫くの間上の空状態になってしまったのである……。

「俺の気持ちも知らないであの二人」

ぼそりとアベルが言っていたが二人は気づかなかった。


ーーーーーー


スベール要塞のダンジョンの奥深くまでやってきた私達。


「そろそろボス部屋ですかね?」と私は言った。

「うん、そうかもしれないね!」とケインは答える。

アベルくんは何も言わずに周囲を警戒していた。

そして遂に私達はスベール要塞のダンジョンの最深部までやってきたのである……。

そこには巨大な扉があり、その中には大きな魔物が待ち構えているのが目に見えたのだ……。

(これがボス戦か)と思っていると不意にケインが言ったのである……。

「カミル!僕が前衛をやるから君は援護をお願いできるかい?」

「え?うん、分かったよ」と私は答えた。そしてアベルくんも口を開く。

「なら俺は中衛でサポートに回るよ」

「ありがとうございます!じゃあ行きましょう!」

私はケインの援護をするべく魔法を放ったのである……。


ーーーーーー


ボス戦が始まり、私達は必死に戦った。しかしボスは強く私達の攻撃は全て防がれてしまうのだ……。

「くそっ!強いぞ!!」とアベルくんは叫ぶ。

(確かに強いな……)

なので眼鏡を外し

魔力全開にして

本当の力のほんのだが一部を出し

援護する。

「カミル!?」

「え!?君眼鏡を外したのか?」

と2人の驚きの声が木霊した。そして私はケインに目配せをした。

(いけるよね?)と心の中で思いながら……。すると彼は力強く頷いてくれたのだ……。

そして私達は最後の力を振り絞り攻撃を放ったのである……。その結果、見事ボスを倒す事に成功したのだった。


ーーーーーー


ボスを倒した私達の前には宝箱が存在していた。

「これは?」とアベルくん。

「開けてみないと分からないね」と私は答える。

そして私達は宝箱を開けたのだ……。すると中には1つの指輪が入っていたのである……。

「これは……」とケインが呟くと、アベルくんが言った。

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