第14話

「カミル!次はあれに乗ろうよ!」

「え?あ、うん……」

ケインは私の手を引きながら次々とアトラクションを回って行った。そしてその度に彼は楽しそうに笑っていたのである……。

(本当に子供みたい……)

と私は思ったが口にはしなかった。何故なら機嫌を損ねると面倒臭そうだからである……。しかしそんな私の思いとは裏腹に彼は終始上機嫌だった。そして最後に観覧車に乗る事になったのだがここで問題が起きたのだ……。


それは私が乗りたくないと言った時である……。


「え?どうしてだい?」

「いや、だって……(キスされたら困る)」

「何か理由でもあるのかい?」

とケインは詰め寄ってくる。私は冷や汗を流しつつ必死に言い訳を考える。すると彼は突然閃いたかのように手を叩いたのだ。そして私に言ったのである……。

「もしかして怖いのかい?」と……。図星を突かれた私は驚きの表情を浮かべる事しかできなかったのである……。しかしそれを悟られないように平静を装って答えたのだ。

「いえ、全然平気ですよ」

「そう、あ!カミル見てみて!動いたよ」

「そ、そうだね」

「ほら、もっと近くで見ようよ!」

「あ、ちょ!」

隣同士に座り始める。

(終わったはこれ)

キスとかされたくない。なるべく2人きりになりたくない。

それが遊園地での観覧車が1番好都合な場所である。なんせ周り終わるまで2人きりになる。

恋人達の絶好のキスとイチャイチャタイムが楽しめるわけだからである。


「カミル、ほら見てごらんよ!綺麗だね」

「う、うん……」

(いや、綺麗とかどうでもいいから早く終わってくれ)

と私は心の中で叫ぶ。しかしそんな願いも虚しくケインはどんどん近づいてくる……。そしてついには肩を抱き寄せられたのである……。

(終わった)

と私は覚悟した。しかしその時である!ケインが予想外の行動に出たのだ!それは私の頬にキスをしたのだ!!

「……え?」

「あ……」

く、唇でなくてよかった。

そっちにもしされたら私理性飛んじゃんから。

「ケイン?な、何を?」

「あ!いや!これは違うんだ!!」

「何が違うのさ!?」

「いや、その……つい」とケインは顔を赤くしながら答えたのである。そして私は思った。

(こいつ……)と。しかしそれを口には出さずに心の中に留める事にしたのである……。


ーーーーーー


観覧車を降りる頃にはすっかり日が落ちており辺りは暗くなっていた。


遊園地の終わりに遊園地内の食事施設で食事とお土産を買うことにした私達。

「ねえ、ケイン!このぬいぐるみ可愛いと思わない?」

「本当だね!買おうか!」と彼は笑顔で言った。

(あ……)

私は彼の笑顔を見た瞬間に心臓が高鳴るのを感じてしまったのだ。そして同時に顔が熱くなる感覚に襲われたのである……。

(なんだこれ?)と疑問に思いつつも彼に悟られないように平静を装う事にしたのである……。その後も私達は買い物を続けたのだがその間中ずっと心臓がドキドキしていたのであった……。


ーーーーーー

帰り際、

「今日は楽しかったね!カミル!」

「うん……そうだね」

と私は答える。しかし心の中では複雑な感情を抱いていた。

(なんでだろう?)

と私は考えるが答えは出なかったのである……。すると彼は言ったのだ。

「また一緒に来ようね!」と笑顔で言う彼に私は戸惑いながらも答えたのである……。

「……うん、また来ようか……」と……。


ーーーーーー


遊園地に行った日から数日が経過したある日の事だった……。

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