第13話

(どうしよう……)

と私が悩んでいると彼は再び言った。

『頼む!カミル!』

(仕方がないか……)と私は諦めて答えることにしたのである。

「分かりましたよ……」

『本当かい!?やったー!!』

彼は大喜びしていたようだ。

「それでどこに行くんですか?」

私が尋ねると彼は答えた。

『遊園地だよ!』

「え?遊園地?」と私は思わず聞き返してしまった。だってデートの場所が遊園地だなんて予想外だったからだ。しかも男2人で……なんか変な目で見られそうだなぁと思ったのである……。しかし今更断るわけにもいかず渋々承諾する事にしたのだった……。

「分かったよ……」

『ありがとう!カミル!』

ケインはとても嬉しそうにしている様子だった。そして電話を切ると私は大きなため息をついたのだった……。

そして同時に心臓が何故かバクバクしていた。

(どうして)

「なんで」

「こんなに」

(緊張しているんだろう?)

私は自問自答する。しかし答えが出る事はなかった……。

「よし、寝よう!」と自分に言い聞かせるように言うと布団に潜り込んだ。そして目を瞑るがなかなか寝付くことができなかった……。

(どうしてだろう?)と私は再び考えるがやはり答えは出なかったのである……。


ーーーーーー


翌朝、ケインは待ち合わせ場所である駅前の広場で待っていたようだ。彼は笑顔で手を振っていたのである……。

「カミル!こっちだよー!」

「あ、ケイン!ごめん!待った?」

「全然待ってないよ。それよりも早く行こう!」

そう言って私の手を取ると彼は歩き出したのである。そして暫く歩いて行くと遊園地が見えてきた。その入口には『カップル割』と書かれた看板があった……。

(え?カップル?)

と私が困惑している内にもケインはどんどん進んでいく……。

そして受付の人に話しかけた後、私達2人の分のチケットを購入してくれていたのだ……。

「はい!これがチケットだよ!」

「え?あ、ありがとうございます」

私は戸惑いながらも受け取った。すると彼は笑顔で言う。

「じゃあ早速行こうか?」と……。そしてそのまま手を繋いで歩き始めたのである……。

(え?何これ?)

と困惑しながらも私は彼に引っ張られる形で中に入って行ったのである……。

遊園地の中は沢山の人で賑わっていた。家族連れやカップルの姿が多く見られたが私達2人はその中でも目立っていたと思う……。何故ならケインの容姿はかなり目立つからだ。

「ねえ、ケインさんや」

「なんだい?カミルさんや」

「私達って周りからどう見られていると思う?」

「それは勿論カップルだと思われているだろうね!」と自信満々に答える彼。

私は頭が痛くなったが敢えてスルーする事に決めたのである……。すると彼は嬉しそうに続けた。

「いやあ!カミルと一緒にデートできるなんて夢みたいだよ!」

「……はあ、そうですか……」と私は呆れながら答えた。

「カミルは楽しくないかい?」

「いえ、別に……」と私は答える。すると彼は少し残念そうな表情を浮かべた後、言ったのだ。

「そっか……なら良かったよ!」

「え?何が?」と私が聞き返すと彼は笑顔で答えたのである。

「実はさ!昨日から楽しみで眠れなかったんだよね!」

「……そ、そうなんだ」

(いや、遠足の前日かよ!)と思いながら私は苦笑いを浮かべるしかなかったのである……。

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