第9話

「眼鏡どこだっけ?」

「これですか?」

猫が眼鏡を差し出す。

「あっ……これは私の……」と言いかけた所で気づく。この猫、『アマリア』だ。だって私について来てるんだもんね……。仕方がないので受け取ると装着する事にした。すると猫は満足そうに頷いていたのだった……。

(まあ、いいか)

私は考えるのをやめて先へ進む事にした。暫く歩くと開けた場所に出たのでそこで休憩を取る事にする。

「ふう……疲れたな……」

「お疲れ様です」と猫が言う。

私は苦笑いしながら言う。

「ありがと」

私がそう返すと猫は嬉しそうな表情を浮かべていたのだった……。それから暫く休憩した後、再び歩き出す事にしたのだが今度は途中で雨が降ってきてしまったようだ。なので急いで近くにあった洞窟へと避難する事にした。するとそこには先客がいたようで、その2人が私に話しかけてきた。

「おや?奇遇だね!」と少女が言った。

「こんにちは〜」


「こんにちは」と私も返す。すると少女が言った。

「雨が止むまでここにいるのかい?」

私が頷くと少女は言った。

「じゃあ一緒に雨宿りさせて貰うよ!」と言うと彼女は隣に座り、少女もそれに続いて私の隣へ座ったのである……。

暫く沈黙が続いた後、少女が口を開くと言ったのだ。

「そういえば自己紹介がまだだったね!僕はアルと言います!宜しくね!」と元気よく挨拶をしてきたので私も返す事にしたのである……。

「私はカミルです。宜しく」

私が名乗ると彼女は笑顔で言う。

「カミルさんか……良い名前だね!」

「ありがとうございます」

「敬語じゃなくてもいいよ?」

私は少し考えた後、彼女の提案を受け入れる事にした。すると少女は嬉しそうに笑ったのである……。それから私達は色々な話をしたのだが、その中で特に印象に残った話があった。それは彼女が冒険者になったばかりの頃の話である。彼女はある村で生まれ育ったのだが、ある日突然魔物の群れに襲われて村は壊滅してしまったらしいのだ。

「その時、私は冒険者の人に助けて貰って何とか助かったんだけど……村はめちゃくちゃになってしまって、生き残った人達も散り散りになってしまったんだ……」

少女は悲しげな表情を浮かべながら続ける。

「それから私はずっと1人で生きてきたのさ……」

「大変だったんですね……」と私が言うと彼女は少し照れた様子で笑うのだった……。その後暫くして雨は止み、私達は出発する事にしたのだが……その時に少女が言った言葉が印象的であった。「また会えるといいね!」

「はい!」と私は返事をする。

こうして私達は別れたのだった……。

ーーーーーー

次の目的地へと向かう途中、私は森の中で道に迷ってしまったようだ。

(参ったな……)と途方に暮れていると前方から誰かがやって来た。

「あれ?珍しいね!こんな所で人に会うなんてさ」

話しかけて来たのは若い男だった。金髪碧眼のイケメンである。年齢は私より少し上といったところだろうか?身長は180センチくらいはあるだろう。服装は軽装で動きやすい格好をしているという感じだ。

「そうですか。私はカミルと言います」

「カミルか。僕はケインだよ宜しくね!」と爽やかな笑顔を浮かべるイケメンである。私は彼に道を尋ねようかと思ったがその前に確認しておきたいことがあったので質問してみた。

「ところで貴方は冒険者ですか?」

「うん、そうだよ」

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