第6話

「そうか……それで何故私に求婚を?」

「それは勿論貴方を愛しているからです!」

そう言って再び抱き着こうとする彼女を何とか躱すと私は言った。

「いきなり愛していると言っても信じれない」

「そうですよね」

「ああ、そうだ」

私がそう言うと彼女は少し悩んだ様子を見せた後に何かを思いついたらしい。そして突然服を脱ぎ捨て始めたのだ。私は慌てて止めるように言ったのだが……。

「待ってくれ!君は一体何をしようとしているんだ!?」

「決まっているじゃないですか?子作りですよ?」

「は?」

「さぁ、私を抱いてくださいまし!」

「いやいやいやいや……ちょっと待て!」

「待ちませんわ!観念なさいませ!」

そう言って彼女は私を押し倒してくる。そしてそのまま唇を重ねられてしまった。しかも舌を絡ませるような濃厚なキスをしてきたのだ。暫くするとようやく解放されたのだが……今度は首筋を舐め始めたのだ!これには流石に危機感を覚えた私は必死になって抵抗したが結局無駄に終わったのだった……。その後の事はあまり覚えていないが、どうやら失神してしまったようだ。次に目を覚ました時にはベッドの上に寝かされていたからだ。

「あら?お目覚めですか?」

「ああ……」

「ふふ……可愛い寝顔でしたよ?」

そう言って微笑む彼女の姿に不覚にもドキッとしてしまった。しかし私は心を鬼にして言った。

「すまないが帰らせてもらうぞ」

そう言うとベッドから降りて立ち上がったのだが……。

「まだ無理はなさらずに……」

彼女はそう言って私を支えようとしてくれたのだが、その拍子にバランスを崩してしまったようで倒れ込んでしまったのだ!しかも運が悪い事に私の上に乗ってしまった状態で……。

とんだラブコメ主人公に成り下がってしまったなこれは。

と私は思ってしまう。

「大丈夫か?」

「ええ……何とか……」

彼女は起き上がろうとするのだが何故か動き出そうとしない。私は不思議に思って声をかけた。すると彼女は頰を赤らめながら言ったのだ。

「あの……もう少しこのままでいてもいいですか?」

(何言ってんだこいつ?)

と思いながらも私は了承したのだった……。

まあ、害はないからいいか。

「あの……もう少しこのままでいてもいいですか?」

「何言ってんだこいつ?まあ、害はないからいいけど」

私は承諾した。すると彼女は嬉しそうに微笑んでくれたのだ。そんな彼女を見ていると何だか私も嬉しくなってきたような気がする。

(いや、待て!何を考えてるんだ私は!?)

冷静になると自分がとんでもない事を言っている事に気付くが今更撤回は出来そうもなかった。結局この日はそのまま彼女と一夜を過ごす事になったのだった……。翌日、目が覚めると隣には裸の彼女が眠っていた。

「おい、起きろ」

「んぅ……おはようございます旦那様」

「ああ、おはよう」

「昨日はとても楽しかったですね……」

「そうか?まあ、私も悪くはなかったかな……」

私は素直に感想を述べた。すると彼女は嬉しそうな表情を浮かべると言った。

「また一緒に遊びましょうね!」

そう言って抱き着いてくる彼女を受け止めながら私は思ったのだ……。

(これは一体いつまで続くのだろうか?)と……。しかし考えても仕方がないと思い考えるのをやめたのだった……。

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