第3話

「なるほど……つまりは魔物の討伐と素材の回収ですね」

「はい。その通りです」

私がそう答えるとアベルさんは少し考える素振りを見せる。


「うーん……そうですねぇ……」

「何か問題でもありましたでしょうか?」

私は心配になって尋ねてみた。するとアベルさんは小さく微笑むと口を開く。

「いえ、実はあまりオススメ出来ない依頼なんですよ……」

「というと?」私は聞き返すとアベルさんは詳しく話してくれた。

なんでも最近この近辺の魔物達が活性化しており、その影響で素材の入手が困難になっているらしいのだ。その為に冒険者達への依頼が激減しているそうだ。

また、

「それに……この依頼は危険を伴う可能性があるので……」

アベルさんは申し訳なさそうに言った。しかし私はそれでも引き受けるつもりだった。何故なら、これは私の目的の為に必要な事なのだから……。

私は決意を新たにするとアベルさんに向かって力強く宣言した。

「それでも構いません!どうかお願い致します!」

「そうですか……わかりました。そこまで言うのでしたらお引き受けしましょう」

「ありがとうございます!」

こうして私は新たな依頼を受ける事ができたのだった。そして早速準備に取り掛かる事にした。

「では、早速準備に取り掛かりますので失礼します」

「はい。また何かありましたら遠慮なくお申し付けください」

「ありがとうございます。それでは……」

私はそう言って部屋を後にすると街の中央にある広場へと向かった。そこでは多くの人々が行き交っていた。私はそんな人混みの中を縫うように歩いて行く。すると、やがて大きな噴水がある広場へと辿り着いた。そして周囲を見渡して目的の人物を探す。すると、すぐに見つける事ができた。その人物とは冒険者組合の受付嬢である彼女だった。

前に自分の眼鏡は特注品だと言ったのを覚えているだろうか?

あれには魔力色素、魔素、ローダという金属を使っているのだ。

現在使っている眼鏡はそれを模して作ったものに過ぎないのだ。

「さて、ここからが勝負だな……」

私はそう呟くと冒険者組合の中へと足を踏み入れるのだった。

中に入ると大勢の人達で賑わっていた。皆それぞれの目的の為に行動しているようだ。私は受付の女性を見つけると彼女に話しかけた。

「すみません」

「はい!何でしょうか?」

女性は笑顔で対応してくれるので、少し安心できたのだが、これから話す内容を考えると緊張してしまうものだな……。

そんな事を考えつつも私は話を続ける事にした。

「実は……依頼を受けさせていただきたいのですが……」


「はい!かしこまりました!」

女性は快く承諾してくれたので私は依頼書を取り出した。

「この依頼を受けたいのですが……」

「はい!かしこまりました!」

女性はテキパキと手続きを進めてくれる。そして数分後、無事に手続きが完了したようだ。

「これで手続きは完了です!依頼頑張ってくださいね!」

「あぁ……感謝する」

私は女性にお礼を言うとその場から立ち去ろうとしたのだが、後ろから声をかけられた。振り向くとそこには先程冒険者組合で出会った眼鏡の受付嬢が立っていたのだ。

「おや?貴方は先程の……」

どうやら彼女は私を覚えてくれているようだ。私は少し嬉しく思いつつ返事をする。

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