とあるドラゴン王の物語

私はドラゴン王…名前はミラージュ


女である私が王になれたのは王の娘として産まれた事とホーリードラゴンだった事


この国では法力の強い王族が法王になる事が決められているからだ


母となり次世代に命を繋ぐ事も出来た


思い残す事は無い…と思っていたが予想外の事が起こった


「え?私がサウザントドラゴンに?」


「そうだ…お前の力が新たに産まれる伝説の勇者の役に立つであろう」


「だからずっと若い姿だったのね…変だなぁとは思っていたのよね」


ドラゴン山に入ってそんな会話をしていると地下に向かう事を促された


言われるままに地下に向かうとそこには巨大なドラゴンの像が数体立っていて圧巻の景色だった 


「これは…」


「それがサウザントドラゴン現在の姿…封印されて眠った姿だ」


「これが私の今後の姿なのね…」


ミラージュは封印されたドラゴン王を見つめて何を思ったのだろうか…


「それが世界の為に必要ならば受け入れるしか無いでしょう…」


覚悟を決めたミラージュはそう呟くと目を閉じた


ドラゴンの姿になり石化していくのが目を閉じていてもわかった…


私はこのまま眠り続けて何年後に目を覚ますのだろうか…


勇者である双子の王子と王女は一体どの種族なのか…


突きつけられた現実に自然と涙が頬を伝った


何年経っただろうか…話しかけてくる者が居た


「古のドラゴン王様…どうか私の願いを聞き入れて下さい…」


初めは聞こえないフリをしていたが熱心に話しかけてくる声に思わず返事をしてしまった


『どうしたのです?詳しい話を聞かせてくれませんか?』


「やった!祈りが通じたのね!」


『何があったの?』


優しく話しかけるミラージュに声の主はこう答えた


「私の住む村が魔物に襲われたの…子供はそのまま攫われて村の半分は居なくなったわ」


『魔物ですか?手を貸したいのですが見ての通り私はこの場から動けないのです』


「それならば私に戦う力を下さい!村を護りたいのです!」


『それならば出来ますが私の力を受け入れると言う事は姿が変貌するかもしれないのですよ?』


「それでも構いません!例えどんな姿になろうとも村を護れるのならば…」


強い覚悟を決めている声の主に最早かける言葉が無い…よほど切羽詰まっているのだろう


ミラージュは自分の力の一部を与える事にした


『では行きますよ?』


その場が眩く光り輝くと声の主の姿は背中にドラゴンの翼が備わった形になった


「ありがとうございます!これで村を護れます!」


お礼を言うとその若者は急いでその場を立ち去った


その後…ミラージュの元を訪れた若者は村を護ったがその場で命を落としたと言う


村には若者の銅像が建てられて守護神として崇められたのだった


その知らせはミラージュの元へも届いた


果たして彼女の行動は正しかったのか間違いだったのか…


ミラージュはその事をずっと思い悩む事になったのだった


再び彼女が目を覚ますのは魔王が復活して世界が未曾有の危機を迎えた時になるのはまだ誰も知らない事だった

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アナザーストーリー みゅうた @tomrina

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