ダンジョン『前』配信 〜『この配信で、人を笑顔に』をモットーに配信する男が、過去のトラウマと決別し、全てを超越する話〜

如月ちょこ

大きな翼で翔べ、天才よ

第1話 ダンジョン『前』

「はい、今日もツバサのダンジョン『前』配信やって行くぞー」


『待ってましたっ!!』

『今日はどこのダンジョン?』

『配信初めて30秒とかなのにもう同接500人。やっぱツバサってすげぇのな』


「うんうん、みんな今日も見に来てくれてありがとなー! えーっと、今日は日本第二の都市、大阪の府営ダンジョンに来てまーす!」


『お、何気に行ったことなかったとこだ』

『ここは初心者向け、だよな』

『けど最下層は上級者向けでもあるらしい』

『まぁ報酬が美味いんだとよ』


「みなさん、解説ありがとう! 今コメント欄でみんなが言ってくれてるように、ここは初心者向けですね! さぁ、今日も話を聞いていきましょう! 『この配信で、人を笑顔に』これがモットーですからね!」


『おお』

『今日はどんな名場面が撮れるのか』

『初心者さんだから、ダンジョンについてわかっていない人も多いかも?』


「初心者さんには俺が、ちょっと入れ知恵をしようかなって思います!」


『これもいつも通り』

『偉いぞツバサ』

『イケメン、頼んだぞ』


「じゃあ早速話聞いて行きましょうか……! あ、そこのお姉さん! ちょっと話聞かせてください!」


『これまた美人な』

『なんや、ツバサの趣味か』

『くっっっそかわい』

『お前ら、外見の話はそこまでだぞ。このお姉さんの爆弾に目を向けろ』

『お前も外見の話してる定期』


「はい、いいですけど」

「ありがとうございます!」


『えっ声まで可愛くて笑う』

『なんやねんこれ』

『声優、ですか?』


「まず、どうして今日はこのダンジョンに?」

「……私、新人なんですよね。なので今日はここに腕試しに今から潜ろうかなって」


『やっぱり新人か!』

『よく来たねぇ……グヘヘ』

『上の人のコメントからニチャアっていう声が聞こえた気がする』

『わかる。……ニチャア』

『……ニチャア』

『……ニチャァ』

『……ニヤァ』

『裏切り者、登場か……笑』


「なるほどなるほど……! じゃあ、このダンジョンにまつわる怪談、ご存知ですか?」

「怪談……ですか?」


『うわっ』

『それ言っちゃダメなやつ……!』

『やめてあげてくれよほんとに』

『え、俺そんなん聞いた事ねぇ』

『あら、あなたもまだまだお若いね』


「そうなんです、ここに1人で潜入した女性の方は……」

「……ゴクリ」


『おいおい、ほんとに言うのか!?』

『マジで! 人に言うにはちょっと重いって!』

『俺知らねぇわ』

『俺、その怪談聞いたことねぇんだよな』


「――80年以内に亡くなるらしいですよ?」

「……消えろ」


『えぇ!? それは怖すぎる!!()』

『なんという恐怖!?()』

『怖すぎるだろっ!!()』

『みんな女性の方には反応しないの草』

『お前ら、今のご褒美聞いてたか?』


「……ありがとうございます」

「消えろにありがとうございますっていう人初めて会いました消えろ」


『あぁ、耳が浄化されていく』

『なんというご褒美』

『なんやこれ、課金物のASMRよりいいな』

『……ここには変態しかいねぇの!? ……ハァハァ』

『おいお前ら――――ここは任せて先に行く』

『先に逝くなよかすが』

『いや、この場合はイク、か?』

『どっちにしてもいやだろ』

『……ごちそうさまでしたあぁぁ』


「いいですね、どんどん感謝の気持ちが大きくなっていく」

「……もういいです」


『やべ、ちょっと遊びすぎた』

『これはやばい気配がする』

『ごめんなさい炎上はさせないで』

『俺たちのツバサを……!』


「――私も、大感謝してるので」

「……へ?」


『あれ、流れ変わったぞ?』

『なんか助かった?』

『……逆にヤバい説』

『流れ変わったのなら! やることはひとつ!』

『そうだ! ――ありがとうございます』

『おいお前――ありがとうございます』


「あなたのようなイケメンに話しかけられて、目も耳も、そして心も、どんどん綺麗になっていきます」

「ねぇちょっと? 目が虚ろになってますよ?」


『あれ、俺たちの同類?』

『この人、なかなかやばくね?』

『……ハァハァ』

『相変わらずやばいひともいますと』

『――ありがとう、録音完了した』


「あぁ、耳が妊娠する。神様、私をこの世に産ましてくださりありがとうございます」

「あの、え? 俺がやばいやつだったよね!?」


『……ツバサ、負け』

『お前ってもしかしたら健常なのでは?』

『――ハァハァ』

『あれ、ハァハァがまともに見えてきた』

『ハァハァニキ、本物の前には勝てない説』


「いえ、あなた様は私の耳を妊娠させた初めての男であります。心まで堕ちました。――責任、とってくださいね?」

「――よしみんな! 場所を変えよう!」


『草』

『偽物はホンモノに勝てねぇよ』

『“格”の違いを見た』

『なるほど、ホンモノはすごいな』




『――ハァハァ』







―――――――






お久しぶりです!! 如月です!!

今日から新連載やっていきます!!

ストックなんかないですけど星やフォローが増えると毎日更新の期間が伸びる気がするのでお願いします!!

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