序章 特別な夜に出会い④
──二百人で、広い東の辺境を守れというのか。
王は密かにエルランドを怖れている。一人の戦士としても、指揮官としてもすぐれた器量をもつ彼のことを。だから張りぼての
──だが、王よ。
エルランドはぐっと背筋を
そこには光を背に立つ小さな
王に「入るがよい」と言われ、びくりと
ヴェールをかけられているので、その表情は見えない。しかし、足が震えていることがここからでもわかる。彼女は非常に怯えているのだ。
あの王の様子から見て、ろくな
ようやくエルランドの手前までやってきた娘は、彼の胸ほどまでしか背丈がない。
──やれやれ。どこの衣装
エルランドは苦く笑った。
「リザ、よくきた。こちらがお前の
得意そうな王の声に、娘の頭は小さく動いた。
「ヴァン・キーフェル。この娘が余の末の妹、リザである。大人しく
エルランドも娘に
「これが
すぐに
リザ──と、それだけ。
しかし王は満足そうだった。
「ここに二人の婚姻を
言われてエルランドは、初めて娘と正面から向き合った。
「……
手を差し伸べ、そっとヴェールを上げて、エルランドは王女の顔を
エルランドはわずかの間、少女に
「……リザ姫?」
エルランドがその名を呼んだ
「はい」
こうして騎士エルランドと、ミッドラーン国第四王女リザは夫婦となったのである。
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