プロローグ②
「ヒ……ッ、あ……があッ……」
数分後、男たちは全員血だらけで地面に転がされていた。
「口ほどにもない。もっと楽しめると思ったのに残念です」
アロハシャツの男の前へしゃがんで
「しょうがないので記念
スマホを
「
「おやおや、先ほどまでの
「ヒ……ッ、あ……があッ……。何が一般市民だ……スジモンなら初めからそう言いや、がれ……」
「私は、一般市民かもしれないと申し上げただけですよ? それで、カタギさんを
輪廻が男の顎を持ち上げて顔を近づけると、男はガタガタ
「ただの売人叩きだよ!
アロハシャツの男は
「お金目当てですか? なんと浅ましい」
「ちげえよ! アイツら、一鶴組のシマで売人やってっから、どこが
輪廻は素早く考えをめぐらせる。一鶴組。弱小の三次組織で、
要するに、シマで密売を行っている
「……はあ。興が
立ち上がり、男の頭を思いっきりつま先で蹴飛ばす。
そのまま立ち去ろうとすると、
「待ってください!」
と、声をかけられる。
立ち止まり、うざったいと思いつつ振り向くと、男たちに脅されていた気弱そうな青年が
「何か
「助けてくださって、ありがとうございます!」
青年が輪廻の手を取り、
ともかく、カタギと関わるのは
「礼には
愛想笑いを
「やっぱり【先生】の言うとおりだったんですね。
青年は目を
【先生】とやらが何者なのか知らないが、頭がお花畑すぎて胸やけがしそうだ。そもそもドラッグの密売に手を染めておいて、真面目も何もあったもんじゃない。
しかしカタギ相手に
「これ、お礼です。ぜひ受け取ってください」
青年はニコニコと笑い、そのまま走り去った。
「……お礼なんてもらったのは、初めてですね」
一応中身を確かめようと紙袋を開けると、ウサギの形のクッキーが出てきた。
「これはなんと可愛らしいウサちゃん!」
輪廻の顔がパッと
ミルクのような甘ったるい
「ウサちゃんにはふさわしくない香りですねぇ……ですがご厚意ありがたく
クッキーが入った紙袋を
「さて、見回りを続けましょうか。玉繭地区
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