第5話 11/18

 経過は良くない。

 先週にかけては完全復活し、この胸のつっかえ感や、重ねて襲い来る不安感からは縁のない本来の自分を取り戻したが、土曜の夜から不安定になってしまい、絶賛鬱よりになっている。かなり良くなってはいるが、何の拍子で藪を突いて蛇を出すか分かったもんじゃない。

 不安定になる要因もない。途端に違和感が胸に来て、そのままずるずると分けの分からない落ち込み方をする。気分の落ち込みと言うが、この落ち込みは想像を絶する。辛いことこの上ない。

 一日でこんなに上下することはなかったし、ましてや十分おきぐらいでこの気分の悪さが変わっていく。山の天気どころじゃない。なんなら数行前と比べて、今少し良くなっているぐらいなのだ。ほんとにわけが分からない。

 何か重いものをプールに落としたように、水の波紋の揺れが如くに浮沈する。おかげで安定した、とは言いづらく、しかし全体から見て治りかけているのは間違いない。本来の自分に戻れる、その時間が一日あるだけでも十分だったのに、一週間もたせたのだからまだ救いようはあるのだ。おかげでTとはそれなりに楽しく遊戯王が出来たわけで。

 肝心なのは出来る限り、不快なものを遠ざけることだと思われる。

 何をするにしても、少しでも嫌だなと感じたらそれがむくむくと膨れて暗雲にならないうちに、蓋をしめてやり過ごすのだ。嵐は終わった。天気雨のような心を向き合っていくしかない。

 喜ばしいことは、創作意欲を取り戻してものが書けること。あとは、目先のアニメを最後まで見ることが出来て、通学を大人しく乗れるようになったことか。そして今また悪くなっていきそうな雰囲気を感じていることを伝える。

 自分じゃどうにもならない。みんなにもこの辛さを味わってほしい。

 己がいつも通りであることがどれだけ幸福で、恵まれているか理解してほしい。

 勝手に涙腺がひくひくしている。泣きたいわけではないが、残尿感のような泣きたい欲がある。何を悲しむことがあるのか俺が知りたい。首筋の異様な硬直も嫌だ。心臓のバクバクで頭が痛くなるよりはマシになったが、これはほんの軽度の焦りだろうか。

 薬は効くときは効いている感じはする。心が穏やかにあれるのは薬のおかげだが、悪くなった時に戻そうと出来るのは自分の心だけだ。棹のように流れを止めに有用だが、完全ではない。できれば自分で治したいが、なかなかどうして難しい。

またふと良くなった心境だ。数秒前の自分とは大違いになっている。スイッチを高速でオンオフされているのだ。自分ではない何者かに。だから諦めている。自分の感情が文字通りに制御できていない。

 先週に戻りたい。完璧だった。怖いことなどなくて、とても幸せだった。

 夜驚が減ったのも良かった。今はまた、夜が怖い。

 どうしてか怖いのだ。理由など無い。

 ツイッターは見るべきで無い。後は情報量の多いものは特に。

 おそらく頭の中で整理できずにざわざわする。蓋に情報を被せていくと、重みで潰えて、蓋が開いてしまう。余震みたいなものが続いているのだ。本当に先週は完璧だった。治ったと思い込んでいた。

 無理はできない。もう下手な好奇心は起こさない。

 普段の自分であることが出来ることの、なんと恵まれていて、喜ばしいことか。

 みんなもつくづく自分を大切にしてくれ。こんな目にあったら、二度と無理しようとは思うまい。こんな恐ろしいことが自分の中に眠っていて、ある時に寝首を掻いてくるなんて。

 また眠れぬ夜が来る。思考がわーッとなって、どんちゃん騒ぎになる。

 クソが。本当にクソだ。

 あと、この散文は定期便にするのを止める。

 少しばかりは物書きの矜持として期間を空けていたが、医者にかかるときの自分の生活の客観視として、書きたいと思ったら書くことにする。いずれ更新が止まったら、寛解したのだと思ってほしい。

 ついでに書いているものは三話整えたら上げることにする。

 今また悪くなった。なんでか。ほんとにひたすらわけのわからない。

 自分の中の何奴が、何を好いていて、何が嫌いかを探らなくてはならない。

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