第48話 潜入! イブセブン!
早朝――三国
俺たち4人はほぼ
もうあと少しで門が開く。
「キョウ、
「はい、バッチリです。ここの騎士さんたちのおかげですっかり良くなりました」
「小枝のアヤメちゃんのほうは?」
「そちらも。一緒に行くって聞かなかったから、なだめるのに苦労しました」
今回の
正体や目的がバレてしまった場合、
「みんなも体調のほうは万全か?」
「僕は大丈夫です。あの後ビールとスルメをキメて、即
「わしも。すぐに風呂入って寝たからのう」
「あたしも。何があっても大丈夫なように体調は万全に仕上げといたわ」
「よし、それじゃあそれぞれ用意した
全員に衣装を渡し――10分後、
「着替えた……けど、どうかな?」
「めちゃめちゃ似合うよ。すっげえかわいい」
「そ、そう? えへへへ……♪」
俺の答えにミーナが笑顔になった。
ミーナの衣装はこの世界における一般的なメイド服――をちょっと改造したもの。
本物のメイド服はロングスカートなのだが、今回は戦闘も
両想い中の女子のミニスカメイドとか、
ふとももに装備したナイフベルトと、大きく開いた
「カイトもその恰好似合ってるわよ」
「お前にそう言われるのは嬉しいけど……なんか複雑」
俺の衣装は何というか……
変装のコンセプト的にこう派手な感じにせざるを得なかったのだが、こういう恰好は好きじゃない。
どっからどう見ても成金のボンボンかバカ
似合っていると言われると色々と複雑だ。
「の、のうカイトや、これ……」
「お、ロリマスの衣装サイズピッタリじゃん。いやあ、大体の
「そんなこと言われても嬉しくないわい! ねえこれどういうこと!? 何でミーナはメイドで、わしら3人は
「違うぞ偽ロリ。ミーナはただのメイドじゃない。ご主人様の愛人と
「どうでもいいわい! ミーナがメイドでわしらが奴隷って
「キャスティング考えたらこうなるのはしょうがねーだろ」
ロリマスにエロメイド――犯罪。
ピートにエロメイド――変態。
キョウにエロメイド――ボーイッシュ女子に見えるのでアリ
俺にエロメイド――
「こうするのが一番自然なんだよ。今の説明でわかっただろ?」
「むぅ、仕方ないのう。そういうことなら
「う……」
なるべく以前と変わらないようにしてきたつもりだけど、やっぱりそうするのは難しいか。
告白したし、婚約もしたし、ディープな大人のキスまでしちゃった仲だから、やっぱり平等は難しいと見える。
「そう見えちゃうか……悪い。言ってくれてありがとうロリマス。今後は気を付ける」
「うむ。わかったらわしをもっと
「いや、それはちょっと……」
「何でじゃい」
だって構うと調子乗るじゃん。
「俺たちの演じる役割は奴隷商人
「お主の趣味じゃろ」
「違ぇよロリババア。ぶっ飛ばすぞ」
現場までは一緒に行動できるけれども、そこから先は完全に別行動だ。
俺とミーナは商人側だから、現場内を
ロリマスとピートは奴隷側だからキョウの護衛をしつつ、
タイミングを見計らって
ピートは死んだネズミや虫などを
「領主を辞めた俺はともかく、ロリマスはマトファミア王国の冒険者ギルドマスターだ。伝説の魔法使いとか言われているくらいだから、ローソニア帝国内でもかなり有名だと思う。だから絶対正体バレるんじゃねーぞ? バレたらマジで戦争の
「わーっとる、わーっとるって。ちょっとからかってみただけじゃのに」
「本当かよ?
「何じゃもう、
僻んでるじゃん。
思いっきり
「あの、領主辞めたってどういうことですか?」
「ああ、樹族救うのに領主って立場だと問題あるから、昨日付で
だからもう別に敬語とか別にいいぞ。
俺も普通にしゃべるから。
「そんな、オレのせいで……」
「あー、いいっていいって。別に貴族の身分に
「そうそう。この人は本当に貴族とかどうでもいいって思っているから、
「カイトぉ~わしぃ、この作戦が終わったらお主の子どもが欲しいなぁ~」
「お前に言ってんじゃねえよ偽ロリ」
「カイトさん、僕もこの作戦が終わったら
「あんたにも言ってないけど、それくらいなら許可してあげる」
「やったぜ! 僕頑張ります!」
ビールはまだ一人一杯の貴重品だけど、量産の
でも、何となくだけどピートがこの味に出会った結果、どんどん酒クズになってきているような気がするんだけど気のせい? 気のせいだといいな。
「本当に行くのね、カイト」
イメリアが見送りに現れ念を押した。
「ああ、もちろんだ。領主辞めたから例え救出がバレても、俺から戦争の火種になることはない」
その可能性があるとすればロリババアからだが、空間跳躍できるし可能性は極めて低いだろう。
「領主の立場に未練はないの? 私は、私は王族の身分を捨て騎士になる時
「ないよ。俺の本質は料理人なんだ。たくさんの人に俺の飯を食ってもらって、美味いって言ってもらうことが俺の何よりの幸せなんだよ」
領主の立場は、その欲望を満たすために利用していただけ。
必要がなくなればいつだって簡単に切り捨てられる。
「樹族
「……わかった。あなたの決心がとても固いってことが」
呆れたような声でため息をつくと、イメリアは次に笑顔になる。
「行ってらっしゃい。でも、必ず無事に帰ってくるのよ。あなたの料理、まだ食べ足りないんだから」
「任せておけ。俺もまだ、お前さんを含めた騎士や兵士たちに食わせ足りていないからな」
イメリアに見送られ馬車の中へ。
日が
門が開く――。
「行こう、イブセブンへ」
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《あとがき》
いよいよイブセブン連邦に潜入します。
他国での冒険はどうなるのでしょうか?
第6回ドラゴンノベルス小説コンテストにエントリー中です!
読み終わった後、できれば評価をいただけたらと。
作者のやる気に繋がりますので。
応援よろしくお願いします!
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