1-6
「さて」
私は庭の
この魔道具は私の四代前のご先祖様が制作したものだ。おそらく〈開発〉とかそういった〈祝福持ち〉だったのだろう。その才によって
「最初っから危険物?」
ビー玉が赤く変わるのは「
「もう
「何が嫌なんだ?」
顔を上げると軍服の上着を
テーブルの上の手紙に目を落とし、私をチラリと見る。私が右手でどうぞとジェスチャーすると、ランス様は一通摑んで
「……伯爵家の分際で公爵家と婚約とは、なんと身のほど知らずな、か。こんな嫌がらせを受けていたとは。
「ランス様、火に油を注ぐことになりますのでほっといてください。皆様ランス様が好きだから、やっかまれるのは仕方ないことです」
いわゆる有名税というやつだ。大人しく話題が下火になるのを待つしかないと思う。
「エム、前にも言ったが私は女性から
「それにしてはこの
私としてはちょっと
「俺は全くモテないし、今後万が一粉をかけられることがあっても、エムがいるのに不誠実なことはしない。俺はエム一筋だ。この剣に
「え? そんな簡単に誓っちゃだめですよ」
軍を束ねる将軍が騎士の誓いをするのは国王だけでは? それにしても、ランス様は随分と真面目な性格のようだ。
「ランス様は本当は
私がビー玉を使って危険物をよりわけながらそう言うと、ランス様はため息をついた。
「
「はい!」
いくら
「……ところで、早めに仕事が終わったから一緒に出かけようと思って来たんだ。差し出し人が書いてないものは全て燃やしてしまえ」
確かに、これまでのところまともな手紙には全て名前が書いてあった。
「でも、呪いのアイテムなどが入っているかもしれません」
「俺に呪いは効かない」
「は?」
何度も戦いに出るうちに気がついたそうだ。これはランス様の例の〈祝福〉に関連するの? ただの慣れ? 誰にもわからない。
結局ランス様は我が家の庭の
「ランス様! すごいー!」
私は初めて見た、ザ・魔法に両手を握りしめて感動した! 屋敷で軟禁状態だったために、ここまで
前世と違ってこの世界には魔法や呪いが存在する。しかし文明の進化によってそれらはゆっくりと
ちなみに使える魔法は〈祝福〉と何かしら
ランス様の手のひらを
「なんでこの手から火が出るんでしょう……大きくて厚いからかしら」
などとあれこれ検証していると、不意に〈ホンキミ〉の記憶が蘇った。
私の魔法の存在は、まだ王家にも誰にもバレていない。いずれどこかで慎重に
そんなことを考えていると、ランス様の大きな手のひらが、そっと私の頭を撫でた。ハーフアップに
「怒りに任せてまあまあの
火はもちろん怖いけれど、ランス様が
「本当に怖いことを知っているからでしょうか?」
つい、ここではない遠い、記憶の
「たとえば?」
「……子どもをアザができるほど
「……なるほど」
それから私はランス様にエスコートされ、公園に連れていってもらった。私たちはまだ探り探りで会話が
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