KAC20248※100均でいい

夢未 太士

第1話 100均

歳を取るとだんだんと体の全部にガタが出る

それは仕方のない事なのか?

いいや別に何とかしたいと、切実に考えていたわけではない

最初は50代になる前に訪れた

あれだけ目が良かったはずなのに…

昔は夜でもサングラスをしていた、もちろん仕事を始めてからだ

どこかの芸能人のように恰好を良くしたいがため始めたサングラス

その頃から安物食いの性格は変わらず

壊れてもまた安物を買い続ける

だが…

今は夜にサングラスをかける行為そのものが無理になってきた

特に車やバイクの運転時、昼間でもサングラスをかけると見えづらくなっている

50代になっても最初は我慢していた

視力はどんどん落ちて行く、特に細かい字を読んだり書いたりするのがかなり難しくなる

ちなみに視力に合わせて眼鏡を作ろうとは思っていない

ドンドン落ちる視力、死ぬまでに幾つ眼鏡を買わなければいけなくなるのか…

周りを見ると結構眼鏡をちゃんと作っていたりする

俺は周りとはかなり違う考え方らしい

駅の近くへと訪れると必ず眼鏡屋さんが目に付く、ウインドウに飾られたおしゃれな眼鏡

それらは最低1万円はするものだ、だが視力を測ってレンズを加工するとさらに1万円が加算されるのだろう

それでも安い方だと言える

だが数年でさらに視力はおちていくはず、そうならないように努力はするが

殆どの場合その努力は報われないか、又は途中で挫折するのだろう

手元には薄給の残りわずか、いやいやここでそれを手に入れるとか無理

この状況を憐れむ自分、誰も慰めの声など掛けてはくれないだろう

それは皆が感じている事だ、まあ俺もせいぜい他人を見てドンマイとしか言えない

そしてたどり着いた答え

いや、今では答えではなく流れとなっている

駅前に行く銀行に訪れる、わずかな給与から生活費を下ろし100均へと足を運ぶ

いくつかのグッズを購入し、ふとあるコーナーを見渡せば

そこには老眼鏡が幾つか並んでいる

最近のレンズは全てプラスティック製であり、軽くて疲れにくい

度数も1.0から4もしくは5まであったりする

老眼の初期であれば1.5もあればしっかり文字も見えるのだが…

夜になるといつの間にか3.0以上無ければ目の前の本を読むのも一苦労

いつの間にか仕事用のデスクには1.5から3.5までの老眼鏡が段階別に5つも置いてあったりする

そしてさらに拡大鏡まで…

便利も度を越えると人の行いは普通の活動範囲をどんどん超えて行ってしまう

だが、それこそが人の行きつく先なのだろう

いやいやそこまで仕事をするのか?

いいや半分は趣味!100均巡りも趣味としておこう

歳を取ればいずれ100均の店にも行くことができなくなるのだから


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