痴漢アカン!
(あ〜、生き返る。最近、めっちゃ暑くてかなわんわ〜)
季節は夏。30度越えの気温が連日続いていた為、車内のクーラーが身体に染みる。今は人が少なくて良いけれど、次の駅でいつも大勢の人が雪崩れ込んでくるので、
(東京ってなんでこんなに人が多いんや。痴漢に間違われたら嫌やから、このまま吊り輪を両手で握りしめとこ……)
これが
そんなことを考えているうちに次の駅に到着した。扉が開いた瞬間、人がダーッと流れ込んでくる。幸いにも
(よっしゃ、俺の周りに女性客はおらんわ。化粧臭くないし、加齢臭もないし、汗臭くもない。汗ばんだ肌で押し競饅頭状態は嫌やけど、こればっかりはしゃーないよな)
夏だし、東京方面に向かっているのだし、満員電車やし、仕方ない……そう思っていた時だった。
突如、サワッ……とした謎の感触がしたのだ。
触れた部分は尻ではなく、股間。つまり男の大事な所。所謂、チ●コである。
気にしないようにしていたが、サワサワとした感触が一向に止まらなかった。むしろ指先で引っ掻くように触り始めてきたので、気持ち悪さで鳥肌が立ってきた。
(え……まさか、男が触ってきてんのか? そうやったらマジでキモいんやけど……)
顔見知りの男に真っ正面から堂々と触ってくるんだったら、百歩譲って許す。(それでも嫌だが)
けど、それが見知らぬ男だと思うと気持ち悪くて仕方がなかった。けれど、今は満員電車。手を振り払おうと思ってもできないのが辛い。
(くっそー。痴漢ってこんなしつこく触ってくるもんなん? ほんまに気持ち悪いんやけど)
「……は?」
突然の事に
しかし相手もプロなのか、
(しつこい奴やな!! なんでポケットに手を忍ばせてくんねんっ!! 俺の恋愛対象は女なんや!!)
次の駅で人がダーッと降りるはずだ。どこのどいつか知らんが、この後に及んで俺のチ●コを触ってくるのであれば容赦はせん……。必ず、警察に突き出してやる! 俺の貞操を守る為にな!
※念の為に言っておきますが、彼は身長180センチ、体重110キロの現役スポーツマンです。
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