第7話 I can fly

カリーノさんの両親の前で笑顔を続けていたので俺は流石に人といることの限界で、そろそろ違う所に行きたいと言った。

「た、旅に出ようと考えているのですか?それでは、少しお待ちください。」

違う。帰りたいんだ。という言葉を言わずに全力で笑顔を保つ。

疲れた…。もう休ませてくれ!とりあえず笑って、頷くくらいしか出来ないんだよ俺は!ケツ顎さんが、本当に旅に出ると思ったのか、食料が入っていて服も何着か入っているリュックを渡してくれた。

言えない!俺は家に帰りたいだけだなんて…!

「娘も一緒に連れて行って欲しいのです。他の国にも、詳しいと思います!」

え。皆もう真剣そうな顔をしてるから旅に出るしかない…?

「わ、分かりました…。よろしくお願いします。」

体が震えるのを抑えながら笑顔でカリーノさんに挨拶をする。

「それでは、ゴーレムで向かいましょうか?」

俺は何を思ったのか『飛行』して進めば人と近づかないで済むよな!と思ってそれを試した。

すると髪がヘリコプターのようになって浮き始めた。

「女神様…飛べるんですね!」

見た目がとてもシュールなのかカリーノさんが反応に困っている。

「俺は髪の神なので、そんなに上手く飛べないんですよ。」

「あ。すみません。」

そういいながら飛行が安定し始める。

「結構シュールですね…ですけど私が道案内しますのでついてきてくださいね!」

ゴーレムさんに抱えられたカリーノさんが高速で走り出す。俺も慌ててついていくが普通についていけた。

「ここから近い国は暴食の国です!美味しい食事場所が沢山あるんですよ!」

飛んでいなかったら再び気絶していただろう。

カリーノさんが顔を真っ青にしながら教えてくれる。

「あ。門が見えてきました開けてもらいましょう!」

え。このまま行ったら…髪がブンブン回りながら高速で飛んでくる神と、ツインテールのムキムキのゴーレムに高速で運ばれている美少女という不審者として捕まりそうだけど大丈夫なのか…?

「おい。そこの不審者達止まれ。加護持ちは変人しかいないのか…。」

そして暫く職質された。

「加護持ちを知っているんですか?」

「ああ。昔話でだけどな。空を飛べるのも神様だけだと書いていたが…。

神と加護持ちならもう少し落ち着いて生きなさい。」

「「すみませんでした」」

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