ステラ&シグマの実況・解説④

「ノアさんの1体目は人類種、喧嘩番長のカイザー!対するアンジェラさんの1体目は幻想種、天空竜のシエル!まずはお互いにバフを付与する。おおっと!いきなり番長の挑発が決まった!!!!これでカイザーとシエルは一定以上、距離が取れない!」


「今の感じ、わざと受けたな。下手に策を講じて躱すのは意味が無いと判断したか。そうなると番長鉄拳の対策はちゃんと用意してそうだな」


「ん?それは一体どういうことでしょうか?」


「要は遅かれ早かれ番長の挑発は決められる。一度目を外してもクールタイムが明けたら二度目、三度目と使ってくる。バトル開始早々に使ってくるだろうとは予め予想できるが、その後はわからん。不意を突かれ、決められるのがオチだ。それなら最初から躱さず、この状況で戦う前提の策に絞って考えた方が良いと考えたんだろう。この後にはもっと厄介なリヴァイアが控えているからアンジェラ自身はカイザー対策にそこまで時間は掛けられてないと思う。それこそ考えてあるのは、最も厄介な番長鉄拳の対策だけじゃないか」


「間合いの外に弾き返すことで強引に失敗ファンブルさせていますね」


「ノアも分の悪さを理解しているな。このままコンボを繋げても神技やブレイク系スキルで破壊されるだけ。番長鉄拳は使えないものとして神技を使った速攻狙いか。でも、ちょっと攻め急ぎ過ぎの気がするな」


「私の記憶が正しければ、4連撃の物理攻撃スキルだったと思います。それをアンジェラさんも把握している様子ですね。シエルは回避に徹しています!」


「ここで欲が出るか。4連撃という思い込みから視野が狭くなって、進化して神技の効果が強化されている可能性を見落としていたな」


「うーん、難しいところですね。神技を一つ不発に終わらせるだけでも大きいですが、その直後に生まれる隙を突こうする気持ちはすっごく!わかります。私もバトルとなるとついつい欲が出て――」


「これノアは大助かりだな。今のでアンジェラがエルたちから何かしらの秘策を授かっている可能性は消えたな」


「え?」


「エルなら確実に進化してスキルが強化されている可能性を示唆する。12神祭で見せていないスキルなら尚更だ。まあ、今のが意図的に行った作戦の可能性も否定できないが、さすがにやり過ぎだ。ノアの想定外の策にしろ他にやりようはある」


「あ、ここでノアさんは一気に攻勢に出ます!番長鉄拳によるコンボを繋げ、一気に必中攻撃の無間で決めるつもりか!?――ああっと!無間が放たれる直前になんとシエルの放ったゲイルブレイクが狙い澄ましたかのように破壊した!!!!」


「あれはただの偶然だな。咄嗟にブレイク系スキルを使ったらタイミング良く番長鉄拳・無間を破壊しただけだ」


「しかし、これでバトルの流れはシエルに――」


「いや、そこまで甘くない。さすがにさっきの番長鉄拳のコンボで受けたダメージが大きい。先に力尽きる」


「…シグマさん、予言者か何かですか?」


「外から見てからわかるだけで、これがバトルステージに立ち、実際にバトルするとなるとわからないことだらけだ。ここまで先を見ることはできない」


「なるほど。気を取り直してバトルに戻ります!先に2体目のモンスターを召喚するのはアンジェラさん。エースモンスターのレアが召喚直後に神技を放ち、カイザーを瞬殺!」


「神技を三つ全てシエル戦で使い、間合い無視の必中攻撃である番長鉄拳・無間はクールタイムに入っている。足掻きようが無いな。寧ろ、レアの神技を一つ使わせた。戦局は確実にノアが有利だな」


「ノアさんのエースモンスター、リヴァイアは召喚されるやフィールドを海に沈めます!」


「大荒れ状態の海で戦えないモンスターでは、リヴァイアと戦えないが、レアは大した影響を受けていないな」


「速い!リヴァイアが上を取り、ブレスが決まったと思いましたが、素早く小回りのきく動きで躱し、状態異常の付与に成功します!」


「竜はデバフ・状態異常無効のスキルを持っているが、一部のモンスターはそういった無効スキルを貫通し、デバフ・状態異常を付与できる。今回は状態異常のみの付与だが、レアが付与する状態異常はかなり凶悪だ。リヴァイアとはいえ、長くは持たない」


「ここで両モンスターの神技が正面から激突!!しかし、攻撃力の差か?徐々にリヴァイアの神技が押し始め、レアに直撃!!」


「お、意外と爆煙から早く飛び出したな。もう少し、立て直すのに時間を使っても良さそうだけどな。状態異常のスリップダメージのことも考えたら時間は1秒でも長く稼ぎたいだろ」


「ん?あ、今のはもしや分身!?まさかこのタイミングで!?」


「レアの霞分身はかなり有名だから警戒していたと思うが、そこまで考慮に入れ、範囲攻撃のマリンスノーを使うとは恐れ入る」


「ポイズンウェーブが直撃すると四方にそれぞれ散るレア。どれが本体でどれが分身なのか全く見分けがつきません!」


「的を絞らせないつもりだろう。全体攻撃はブレイク系スキルで破壊すればいい。ノアも本来なら時間を掛けて1体ずつ各個撃破という選択だろうが、状態異常によるスリップダメージがある。あまり悠長なことを言っている時間は無い」


「――そろそろリヴァイアのHPが状態異常によるスリップダメージで半分を下回ります!っ!ここでノアさんが動く!リヴァイアが神技を使って4体いるレアの内、1体に攻撃を仕掛ける!!」


「お、もしかしてどれが本体か見抜いたのか?もし、そうなら凄いぞ。私もレアの動きには注視していたが、全く見分けができなかった」


「いや、違います!リヴァイアが攻撃したレアは分身です!!霞のように消え去りました!そしてリヴァイアの背後に陣取っていたレアが神技を発動!」


「今、神技を使ったレアが本体だ。神技発動直後の隙を見逃さない良い一手だが、ちょっと気になるな。ノアの取った行動はリスクが大きい。まだそこまで追い詰められているわけじゃないだろ?」


「この絶好の大チャンスに神技・毒蛇王キングコブラがリヴァイアに襲いかか、え――!!!自分に真上から攻撃を当て、強制的に動きの軌道を変えた!?」


「神技・マリンドライバーの影響で前方に進む力が強く働いており、神技・毒蛇王キングコブラの攻撃範囲外への回避はタイミング的にも不可能と思われたが、フィールド上ならどこからでも攻撃できるリヴァイアならではの芸当だな」


「回避に成功し、体の向きを変え、神技・海神竜リヴァイアサンが放たれる!」


「神技・毒蛇王キングコブラを放った直後で隙だらけ。これは決まるな」


「ここで決着!!!第4試合は12神 序列9位、ノア・スミスの勝利!!!!!!」


「いやあ、アンジェラも惜しかったな」

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