ステラ&シグマの実況・解説③

「ミアさんの1体目は天使のルルシエラ。対する生保内さんは大罪種、悪魔のアルバス!いきなり神技・スロースの効果により、特大のデバフを付与される!更に必中攻撃の怠惰への誘いでアルバスのHPは上限を超えて回復する!!相手が天使であることを考えるとかなりの持久戦になるか!」


「いや、逆だな。アルバスの付与したデバフが解除できない以上、悪化する前に勝負を決めにいくべきだ。私なら少なくともアルバス相手に持久戦は選ばない」


「あ、神技・スロースの効果でデバフ・状態異常が付与されている以上、通常スキルのキュアヒールでは解除できません!!確かにこれはかなりの早期決着となるのか!?」


「でも神技ならワンチャン解除できると考え、神技・スカイリゾートを使ったが、解除できなかったな。やはり、干渉不可の効果を持っているか。神技の消滅させることすらできる神技・スカイリゾートでもどうにもならんな」


「しかし、一切動じていません!攻防一体の神技・熾天炎舞でアルバスの攻撃を弾きながら接近を試みます!」


「上手いな。挑戦者側の強力なモンスターの対策はしっかり用意してあるということか。だが、今戦っているアルバスは二つ、この後に出てくるであろうドランバードは一つしか神技が明らかになっていない。少なくともあと二つ神技を隠し持っている。それが刺さるかどうかが勝敗を分けそうだな」


「ん?えっとそれは純粋にまだLv90に至っていない可能性もあるのでは?」


「いや、Lv90に至って進化しているのは間違いない。イベント期間中のAランクプレイヤーとのバトルで未確認の通常スキルを多数使用している。といっても終始アルバスでバトルしていたからドランバードに関しては一切情報が無い」


「…え?まさかAランクプレイヤー相手に神技を隠して勝ち続けたと!?しかもエースモンスター温存!?これもしかして大番狂わせもあります?」


「私はあると思うぞ。現に今も上手く神技・熾天炎舞を失敗ファンブルさせている」


「ああっと!!なんと瞬間移動からの奇襲!舞い続けることでその効果を発揮する神技・熾天炎舞は予想外の奇襲に弱い!そこを的確に突いた痛烈な攻撃!」


「あの瞬間移動スキルは私も知らないな。初めて見た。初見スキルの使いどこをよくわかっているな」


「凄まじい攻撃の応酬!最後は空中で闇の斧にルルシエラが叩きつけられる」


「小声でもモンスターに指示は伝わる。時にはこういう小技も必要だ。まあ、そう何度も通用しないが」


「ここで両モンスター、神技を発動!!ルルシエラを纏う炎がまるで一つの生き物のようにうねりを上げます!!そしてフィールド全体に漂う闇に飲み込まれること無く、抗い進み続け、一直線にアルバスを貫いた!!!!」


「共に攻撃系の神技。これは純粋にスキルLvの差だな」


「そして、神技・熾天明星がアルバスを襲う!!しかし、些か防御が疎かになっていたようにも見えましたが、」


「誘っているな。神技・アポロンを」


「ですが、神技・熾天明星が直撃した以上、神技・アポロンには必中効果が付与されています!この状況下で誘うというのは考えにくい…」


「ああ、ここでアルバスが三つ目の神技を発動!!!!神技・怠惰の教義、その効果でもしやプチヒールと神技・アポロンが封じたのか?」


「プチヒールは怠惰の呪いで封じたんだろ。神技・アポロンに関しては状況的に神技・怠惰の教義の効果だろうな。それに気づき、攻撃圏内まで退避しようとしたのはさすがだが、間に合わないな」


「ここでルルシエラがDOWNです!先に1体目を失ったのはなんと12神ミアさんだ~!!!!!」


「ミアの2体目はやはりエースモンスターのナタリーか。一気にバフで全ステータス9倍までもっていくな」


「お?シグマさん、これはなんでしょうか?」


「アルバスのスキルか何か、いや、通常スキルにしては強すぎるな。神技か。そうなるとまだ見せていない神技の可能性もあるが、これは恐らく神技・スロースの効果だろう。新たに召喚されたモンスターにもデバフ・状態異常を付与するとは、さすが大罪種の神技だな」


「それでもまだバフが上回っています。まだ全ステータス2倍くらいはありそうです!!」


「ナタリーのデバフが悪化するとドランバード相手にまず勝てない。神技を使って早期決着狙い。当然、薫くんもわかっている。アルバスはここで倒されるにしてもナタリーに一つでも多くの神技を使わせ、更にデバフの悪化も狙いたいとこだが、欲張って両取り狙いでいくか割り切って片方に絞るか。さあ、どちらを選ぶか」


「―――結果、両取りどころの話ではありません!ナタリーに神技を二つも使わせ、デバフも若干ではありますが、悪化。そしてHPを半分近く削る。なんとなんと更に欲張って三つも大仕事を成してドランバードへとバトンを繋ぎます!!」


「怠惰という名に似つかわしい仕事ぶりだな」


「そして満を持して登場するのは生保内さんのエースモンスター、ドランバード!!召喚直後、ドラゴンフォースと仙竜解放でいきなり全ステータス4倍!デバフで大きく弱体化しているナタリーはステータス面でもかなり劣っています!それにHPも残り半分。状況はかなり悪いと言っても過言では無いでしょう」


「当然、ミアだって勝つのを諦めたわけじゃない。徹底して距離を詰めさせないように立ち回り、チャンスが来たら一撃で仕留める。ナタリーの神技・風神ノ矢ならそれができる」


「確か相手モンスターがナタリーのステータスを上回っているとその差に応じて威力を上げるでしたっけ?バフ・デバフ込みならドランバードのステータスはナタリーの倍近くあると思われるので、確かにドランバードを一撃で倒すこともできそうですね」




「しかし、長いな。さっきからずっと同じ展開だな。そろそろどちらかの集中力が切れるぞ」


「ここでナタリーが動く!!先ほどまで終始、逃げに徹していたナタリーがドランバードへ接近を試みます!これにはどういった思惑が…!」


「単純に考えるなら距離を詰めて確実に神技・風神ノ矢が当たる状況を作りたいってとこだろ?薫くんは明らかに集中力が切れている。それも踏まえた判断――――。いや、これはもしや狙って誘ったのか?」


「ここで神技・水仙天陣!!接近を試みていたナタリーが水の結界に閉じ込められた!!そして神技・水仙滅殺により、結界内部に突如として流れ始めた激流がナタリーを襲う!」


「……これは二つで一つと言っても過言では無い神技だな。神技・水仙天陣で相手モンスターの動きを封じ込め、神技・水仙滅殺で攻撃する。一度、封じ込められたら神技を使い、早々に脱出するしか無さそうだな」


「ん?これは!ギリギリの所で耐えています!!そして反撃の神技・風神ノ矢が、決まる!!!!これは勝負あったか!」


「…いや、まだDOWN表示が出ていない」


「決着、ここで決着!!!!」


「近づいて確実に神技・風神ノ矢を当てる。この作戦の根幹を担っていたのは一撃必殺。倒せなかった場合はもう打つ手無しだ。あの状況、恐らくドランバードが咄嗟に何かしらのスキルを発動したことでミアの計算が狂ったんだろう。防御スキルだけなら大きく計算が狂うことは無い。何かしら更なるバフを付与したってとこか。それも神技・風神ノ矢が放たれた直後の僅かな時間で。放たれた直後に付与されたバフにより生じたステータス差は神技・風神ノ矢の威力に反映されない。それを知ってかはわからないが、これしか無いという完璧な方法で防いだ。これは薫くんのプレイングが一枚上手だった」


「しかし、更なるバフを付与したと仰りましたが、それを神技。水仙滅殺を放つ直前にはできなかったのでしょうか?そうすれば、そこでナタリーを倒しきれていたのでは?」


「いや、それはなんとも言えないな。あの時、更にバフを付与しても倒しきれない可能性がある。薫くんはそう判断したから温存したんだろ。結果的にナタリーの残りHPからしてバフを付与していたらもっと早く倒せていたが、それは結果がわかっている今だから言えることだ。もしも耐えられたら神技・風神ノ矢を耐える秘策が無くなる。そしたら結果は逆転している」


「なるほど。確かにシグマさんの仰る通りでした。――これで1日目も半分の3試合が終了し、12神が1勝、挑戦者がハンデ込みの3勝と挑戦者側が一歩リードしました!この状況で12神は次の第4試合に誰が登場するの注目が集まります!」

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