第224話 決着、ロイヤルナイト!
残りHPがちょうど2割くらいで、闇属性はセレーネが、光属性はユンが封じている。
この状態のロイヤルナイトと戦うのはリベリオンのルーカスくん、ウィリアムくん、ユリアさん、シャーロットさんの4人パーティー。
ユンが倒されるとほぼ同時に地上へと降りる。タロス以外は。
タロスは重すぎて空中に滞在し続けるのも一苦労でもうこれでもかと雑な扱いを受けてる。
空中でポイッとアルテミスに捨てられた。
まあ、これはウィリアムくんやタロスも了承済みらしいけど。
「タロス、一応挑発!」
「ファム、シャイニングブレス!」
「ユニ、ユニストーム!」
「アルテミス、シャインストーム!」
あ、タロスを落とした理由ってこれか。他の3体は空を飛べるから真っ先にタロスを落としてロイヤルナイトの視界にタロス以外のモンスターが入らないようにしたのか。
そしてファム、ユニ、アルテミスは上空からロイヤルナイトの視界に入らないよう攻撃。しかも3体掛かりの合技!
ルーカスくんが話してた試したいことってこれのことかな。
だけど、何でバフとかを付与しないのかな?
ユニもフィールドを展開していないし。何か考えでもあるのか?
「よし!ファム、ヘブンズゲート!これでステータス上昇も封じさせてもらう!」
「じゃあ、もういいよね?タロス、重戦車、鉄壁、装甲復活、チャージカウンター、リリースヒーリング!」
「ユニ、ユニワールド!」
あ、そっか。ヘブンズゲートは本来あるべき姿に戻して、戻ったやつを封じるスキル。
神技じゃないからセレーネとユンの神技によって封じられた闇属性と光属性は恐らく封印されたまま。
今回の目的はタロスたちがスキルを使ったことによって再び上昇したステータスを元に戻し、ステータス上昇を封じること。
これがルーカスくんの試したかったことか!
でも、これってファムが倒されると解除されるよね?
第4パーティーとして待機している4人は同様のことを考えていた。
それもこれも事前に行われた作戦会議がかなりアバウトだったからだ。
第1パーティー「上手くやってロイヤルナイトを弱らせるから後はよろしく」
第2パーティー「ユンの神技でいい感じに弱らせると思う!あ、でも失敗したらごめん!」
第3パーティー「成功するといいな。失敗してもできる限りダメージ与えて繋ぐよ」
第1〜第3パーティーのリーダーがそれぞれこんな感じのコメントを後に控えているパーティーに残していた。
これで一体、何をどう理解しろと!そう思わずにはいられない。
そもそもこれは各パーティーがどう立ち回るのかなどの作戦をパーティーリーダー間で共有しようという場だ。
もちろんだが、この情報を後々、共有された第1〜第3パーティーの残ったメンバーたちはリーダー人選を間違えたと悔やむことになる。
この時のコメントの意味を鬼姫の4人はようやく理解できた。あ、こういうことか!と。
「ファム、タロスにヒール!」
「アルテミス、ストームアロー、ストームジャベリン!」
「ユニ、ユニプラズマ、ユニサイクロン!」
「そこ右!重鋼破砕!」
ロイヤルナイトのステータス上昇が無くても『天上庭園』のステータス制限は変わらず残っている為、未だにステータス差は大きい。
第1、第2パーティーともにそれを圧倒的なバフでどうにかしていたが、その差を埋められない現状では大したダメージも期待できない。
「ヤバっ!タロス、回復!」
「クソっ、回復が追いつかない!」
タロスのリリースカウンターでの一発狙いだが、リリースヒーリングの方にチャージ分を回さざるを得ない。それをしていなかったら既にタロスは倒されている。
「シャーロット、ユリア、ルーカス!このままだと長くは持たない!」
「わかった。想定より早いけど、仕方ない。ここで仕掛ける!」
「OK!!アルテミス、神技・ホワイトセイバー、神技・ストームセイバー!」
「今だファム、聖竜の心眼、ヘブンズクラッシュ!」
「止まった!タロス、左側面から破滅の
「ユニ、ユニブレイク、ユニブラスト、ユニバーナー!」
最初に直撃したのはここまで一度も使っていないタロスの破滅の怨嗟。
このスキルはタロスが取得している攻撃スキルの中では最も強力だが、デメリットが大きい。
攻撃後は一定時間、防御力が半分になる。
今までタロスが盾役をやることが多かったから使うことの無かったスキル。
そして破滅の怨嗟が直撃したロイヤルナイトはその効果で一定時間、防御力が半分になる。
そこにアルテミスの神技、ファム、ユニの攻撃が直撃する。ようやく第3パーティーが目に見える形でロイヤルナイトのHPを削ったが、その直後にアルテミスは神技・イージスを使う間も無く、カウンターで落ちる。
回復役を担っていたアルテミスが倒されたことにより、回復魔法が使えるのはファムだけ。
アルテミスが健在でも回復が間に合わなかったことを考えると防御力が半分になっているタロスに残された時間は極僅か。
ならやることは一つ。
「タロス、リリースカウンター!」
倒される前にチャージ分をリリースするもその後すぐに反撃をくらい倒される。
「ふぅー、ルーカス、ユリア頼むよ!あと、蓮たちの出番はまだだから!」
「大丈夫、わかってる」
「そっか。それなら安心」
ウィリアムくんの言う通り、俺たちはまだ戦わない。
ファムのヘブンズゲートでロイヤルナイトのステータス上昇は無くなったから俺たちが加わってもステータスは上昇しないけど、このタイミングで入っても連携が取れない。
今、割って入るのはファムやユニの邪魔にしかならない。上で待機してるブルーたちもそれを理解してるから動きはない。
そして最後まで残って奮闘していたユニとファムはロイヤルナイトが放つ無数の飛ぶ斬撃を回避しきれず、倒される。
その瞬間、激しい雷をロイヤルナイトに降らし、満を持して強者感を出しながらプル!と着地する子が。
「コン、稲荷狐の祈り、稲荷狐の祟り、影分身、陽炎、蜃気楼、降臨・稲荷神社、参の型、壱の型、肆の型!」
「稲荷流狐剣術、参の型 夜桜、壱の型 迦具土、肆の型 色即是空!」
「カーラ、悪魔の囁き、ナイトメア、メガダーク!」
「エルナ、メガシャイン、シャインブレイク!」
「(今のって作戦通りなら雷霆かな?じゃあ)ブルー、天御雷!」
俺たちの作戦は割とシンプル。
コンが前衛でロイヤルナイトと打ち合う。その為にはロイヤルナイトのステータス上昇を消す必要がある。
だから開幕と同時にブルーが雷霆、その後にコンが肆の型 色即是空を使うことでステータス上昇を打ち消す。
その後、ブルーやエルナ、カーラがすかさず攻撃。
エルナの神技やブルーの八雷神を使えば1割くらいどうにかなるかなと思ってたけど、ロイヤルナイトのHPは残り1.2割くらい。
ルーカスくんたち4人が8%しか削れなかったわけだし、甘い考えは捨てよう。
郁斗たちから作戦・指揮を全て委ねられてるんだから!
「オリヴィア、作戦通りに!」
「はい!」
「郁斗には想定より踏ん張ってもらうよ!」
「オッケー!問題ない!」
「莉菜、作戦変更。空中から援護をお願い!」
「りょーかい!」
ここまでのみんなの戦いを見てロイヤルナイトの攻撃手段とかがいろいろと判明している。
地上にいるモンスターには剣による直接攻撃。
空中にいるモンスターには大ジャンプから剣による直接攻撃、もしくは飛ぶ斬撃。これは恐らくモンスターのいる高度によって使い分けている。
だからファムとユニがブルーたち待機組のいない方で高度を上げて戦っていた時に飛ぶ斬撃を使い始めた。
まずはカーラが作戦通りに上空から闇魔法を放ち続ける。本来ならエルナも魔法を放ち続ける予定だったけど、ロイヤルナイトのHPが想定よりも残っている。このイレギュラーに対応する為にエルナは援護に回ってもらう。
ステータス上昇が封じられているのもイレギュラーだけど、4体だけだとそこまで上昇しないから誤差の範囲と思って特に気にしてなかった。
まあ封じてくれたのはありがたいけど。
そしてコンは影分身を犠牲にする前提でバチバチに打ち合ってもらう。そのフォローにはブルーが入る予定。
「コン、玖の型!」
「稲荷流狐剣術、玖の型 流星火!」
「カーラ、ダークウェーブ!」
「エルナ、ロイヤルナイトの剣にスターフレイムショット!」
「ブルー、プロミネンスアタック!」
コンが玖の型 流星火で一瞬にして間合いに入るとすかさず、無属性のスキルを駆使して剣を振り下ろすが、エルナの的確な射撃によってスキルは
そこにカーラのダークウェーブが……。
ダークウェーブに乗ったブルーがロイヤルナイトにプロミネンスアタックを当ててる。
普通にコンと時間差で攻撃してもらうつもりで指示出したんだけどな。
「へぇ、やっぱりブルーって器用。ダークウェーブに上手く合わせてプロミネンスアタックを発動することで合技に仕上げる。言葉にするのは簡単だけど、即興で実践するとなるとかなり難しい。そこはさすがブルーってとこね」
なんか後ろで輝夜さんが語ってる。
いや、聞くとより理解できるな。あの状況だとロイヤルナイトの立て直しが予想よりも早かったコンとの時間差攻撃が成立せず、ブルーもまとめて倒されてた可能性すらある。
珍しくブルーのお手柄だな。後で褒めてあげよ。
プル!?プルプル!
お、更にやる気になってる。今の合技がそんなに手応えあったのかな。
「うぉ!莉菜、オリヴィア、蓮ナイス!今ので影分身どころかコン本体も消し飛ぶとこだったわ!でも、おかげでコン本体プラス影分身10体分の流星火が全て直撃した!」
「今のは蓮のおかげでしょ?」
「はい!」
「だな!サンキュー蓮!」
えっと、俺じゃなくてブルーのおかげだけど、まあ今はいいや。
その後も果敢に攻め立てるコンだったが、徐々に矢面に立たせていた影分身の数が減っていく。
そして影分身が全滅し、コン本体のみが残る。
「郁斗、プランBに移行!」
「コン、弍の型、捌の型!」
「稲荷流狐剣術、弍の型 忌火、捌の型 爆轟!」
プランAは影分身による波状攻撃で少しでもダメージを与える。そしてプランBはここから一気に畳み掛ける。あわよくば倒す!
捌の型 爆轟は目眩し。本命はその間にロイヤルナイトに近づくこと。もっと細かく言うならロイヤルナイト1メートル以内に入る。
「カーラ、闇宵月!」
「コン!」
プランBへ移行すると同時に地上に降りてきたカーラとコンが稲荷の境界線で居場所をチェンジする。
その瞬間、防御力を無視した一撃がロイヤルナイトに刺さる。闇宵月は固定ダメージじゃなく、カーラの攻撃力次第で与えるダメージは変動する。
ここまで『天上庭園』で戦ってきた感じからしてかなりのダメージが期待できる。
この一撃でロイヤルナイトのHPは残り1割を切り、5%くらいまで減る。
それと同時に返しの太刀でカーラが斬き裂かれ、倒される。
ごめん、オリヴィア。こんな役回りで。
でも、勝つ為にはこれしか思いつかなかった。
これだけ削れたら後はなんとかなる。
「コン、伍の型、陸の型!」
「稲荷流狐剣術、伍の型 紅炎・稲荷、陸の型 御神楽・稲荷突き!」
「ブルー、鳴神、プロミネンス!」
「エルナ、ロックオン、スターブレイク、スターバースト!」
時間さえあれば勝てる。準備を整える時間さえ稼げれば。
まだもうちょい。
「ブルー、スカーレットアロー、メガサンダー、ファイアボール!」
「エルナ、メガシャイン、シャインランス、メガファイア、ファイアボール、フレイムランス!」
「やっぱ時間が足りないよな。コン、次は俺たちの番だ!やるぞ!!」
「うん」
郁斗、もしかして時間を稼ぐ為に。
ごめん、
「蓮、莉菜、マジで後は頼むぞ!信じてるからな」
「わかった。任せて」
「コン、狐火、鬼火、紅蓮の誓い、稲荷の焔!」
最後まで果敢に正面から攻め続け、タゲがブルーもエルナに向かないように奮闘したが、金色の炎を纏った刀はあと少し僅かに届かず、倒れる。
だがしかし、コンの奮闘もあって当初の目的、準備は整った。
「ブルー、フレイムフォース、霹靂神、そんでもう一発、雷霆!」
「よし!エルナ、神技・スターダストブレイカー、神技・レッドプリンセス!」
「ブルー、八雷神!」
二度目の雷霆による追加効果でロイヤルナイトの動きを確実に止める。
これを外さずに当てる為だけにフレイムフォースと霹靂神は目潰し用に温存していた。
そして最後はエルナの神技とブルーの八雷神でフィニッシュ。これがロイヤルナイトの最後、削り切る為に用意した作戦。
だが、これでもまだ僅かに届かなかった。
ほんの1%もない。誤差の範囲と言いたいレベルでまだHPが残っている。
「うそ…もう使える攻撃スキル全部クールタイムに入ってる…」
「あとちょっとだ。あと一撃で倒せる!莉菜、お願い力を貸して!」
「…策はあるの?」
「もちろん。一瞬でいい。ロイヤルナイトのタゲをブルーからエルナに移して攻撃を誘導して!」
「りょーかい!じゃあ蓮を信じる!」
一度は諦めかけた莉菜だが、今は一番生き生きとしている。
蓮が、ギルマスが勝てる策があると断言した。それだけで十分。
蓮にはそれだけの実績も信頼も莉菜の中では存在する。
「エルナ、ブルーとロイヤルナイトの間に突っ込んで!ブルーをロイヤルナイトから隠して」
「はーい。ここは信じるよ」
プル、プルプル!
「莉菜…」
この指示が何を意味するのかエルナ、ブルー、蓮と気づいていた。
その身をブルーを守る盾とすること。
そしてほんの一瞬だけ、ロイヤルナイトの視界からブルーがエルナによって消える。
その後、すぐにエルナを二本の剣で斬り裂こうとするが、これは神技・スタースフィアによって防がれる。
「電光迅雷!」
それと同時に雷を纏ったブルーがロイヤルナイトの側面に回り込んで突っ込む。
剣を二本とも攻撃に使った直後だ。すぐに防御はできない。
防御よりも攻撃に重きを置いた戦い方からエルナを攻撃する際に必ず剣を二本とも使うと思ったよ。
ここまで繋いでもらえたからわかったロイヤルナイトの攻撃パターンだ。
これはみんなで掴んだ勝利。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます