第221話 再編成
「じゃあ、パーティーを幾つに分けるかを決めましょ」
「そうだな。最低でも四つ、できれば五つくらいは欲しいが、この人数で五つは厳しいか」
「四つが現実的」
「問題はどう振り分けるかだな」
「どのモンスターで挑戦するかも大事だよね!」
えっと、パーティー編成を変えるとは聞いていたし、納得もしてたけど、今まで通りに三パーティー構成で挑戦するんじゃないの?
「あ、やっぱりパーティー数を増やすんですね。モンスターが5体を下回ったタイミング、残りが4体になってから急激にステータスが低下してたからですよね?」
「え?そうなの?」
「あれ、ウィリアムくんも気づいてなかった?俺も郁斗の話を聞いて初めて知った」
「あ、俺だけじゃないのか。ちょっと安心」
「私も」
なんか意外だな。ウィリアムくんってこういうの真っ先に気づきそうなのに。それにルーカスくんとシャーロットさんも。
「ああ、最後まで踏ん張っていた4人はたぶん少しでも多くの情報を引き出そうと頑張るので必死でそれどころじゃなかったのね」
「そのおかげで俺たちは情報収集に励めたがな」
そういえば、輝夜さんの言う通り、気づいてなかったの俺を含めて最後まで粘ってたな。
謎の回避能力を発揮して最後まで残ったブルー。
チャージカウンターを使ってチャージした分をリリースヒーリングに回して脅威の粘りを見せていたタロス。
危うい時は迷わず神技を使ったりしつつ、回復魔法を駆使して残り続けたアルテミス。
空中を駆け続け、アテナが倒されてブルー、タロス、アルテミス、ファムの4体が残ったタイミングで攻撃からサポートに回って延命に尽力したファム。
今、改めて考えるとあのモンスターたちの中でブルーが一番最後まで残ったのが不思議だ。
プル!プルン!って感じでありとあらゆる攻撃を回避していたからな。
あれがあったからエリアボスのスキルなど一部だけ丸裸になった。
「パーティー編成を決める前にレイドを半壊させたあのスキルについてだな。あれは闇属性の広範囲攻撃スキルだが、ちょっと特殊なスキルだ。ブルーの八雷神と同系統のスキルと言えばわかりやすか」
「ってことはBランクにならないと情報を公開してもらえないやつね」
「ごめんね。でも、これだけは秘匿義務があって話せないの」
なるほど。あれ、昇華スキルなのか。だとするならそれを初見で防いだウィリアムくんて相当すごいよな。
「それを踏まえた上でパーティー編成を考えるわけだけど、序盤は少数精鋭でステータスがそこまで上昇していない内に削れるだけ削りたい。この条件下ならコンビでいけないかな。ジャスパーはどう?」
「そうだな。こちらも少数精鋭となるならライズが使える。それにセレーネがいるならあのスキルを使わなくても戦える。いけると思うぞ」
「じゃあ、決まり!第1パーティーは少数精鋭であのスキルを使わせずに一気にロイヤルナイトのHPを削る!だから私のセレーネとジャスパーのライズの2体!」
え?輝夜さんとジャスパーさんは最後まで温存だと思ってたけど、いきなり!?しかも今回のエリアボス戦は第1パーティーから第3パーティーまでは全滅想定で第4パーティーで決める感じの流れ。
それくらいしないと勝てないってことか。
あの昇華スキルを防ぐ術も模索しないとだしな。
「そうなると私は第2パーティーかな。ユンの神技・エンヴィーならあのスキルも対処可能だし!」
「それなら琴音と連携が取れる私も第2パーティーに入る」
「あ、なら俺も。その方がバランスいいな」
「あ、じゃあさ、第2パーティーは大罪種3体でいこう!」
何だかんだで第2パーティーは琴音先輩、ロザリアさん、薫先輩となった。
しかも大罪種3体の構成で嫉妬のお姫様 ユン、憤怒の狂戦士 ミザリー、怠惰の悪魔 アルバスが組む。
「なんかとんでもないことなってるね。残ってるメンバー的にリベリオンと鬼姫の残りでパーティーを組む感じかな」
「なら俺らが第3パーティーだな。戦力的に鬼姫が第4パーティーだろ?」
ウィリアムくんの発言から残るパーティーはそれぞれリベリオンと鬼姫のギルドメンバーってことになり、ルーカスくんの発言から鬼姫が第4パーティーに。
しかもユリアさん、シャーロットさんと納得してる感じ!
え、リベリオンが最後の方がよくない?絶対にそっちの方がバランス良いよ!
「あはは、蓮たちは不服そうだね。まあ、第4パーティーは責任重大だからね。でも、これしか選択肢が無い。先のバトルでロイヤルナイトの攻撃パターンは視界に入ったモンスターを優先していることがわかった。だから第2パーティーが全滅した直後にタロスがタゲを奪う。後に鬼姫が控えてると安心して戦えるから最後は任せるよ」
「それにこっちはギルドバトルで負けてるしね」
「総合力は鬼姫の方が今は上」
「そういうことだ。それにちょっと試したいこともあるしな。最後、託すぞ」
ウィリアムくん、シャーロットさん、ユリアさん、それにルーカスくんとそんなこと言われたら断れないじゃんか。
「うん、わかったよ。最後は任せて!」
「そうこなくっちゃ!」
「頑張らないとね!」
「はい、やりましょう!」
郁斗、莉菜、オリヴィアと反対意見は無いみたい。
これで第3パーティーと第4パーティーも決まった。
あとはどのモンスターで挑戦するか。
プルプル!プルプルプル!!
ここに我こそはとプルプル訴えかけてくる子がいるんだよな。
うん、リベンジしたいんだよね。
でも、個人的には空を自由に飛べて機動力の高いリーフィアの方が相性良い気がするな。
「その前に一つ聞いていいですか?輝夜さんとジャスパーさんはセレーネとライズでどれくらい削れると考えてますか?(まあ3割、できれば4割くらいは削ってくれると嬉しいな)」
「んー、最低でも半分かな」
「そうだな、セレーネとライズのコンビなら半分は固いだろう。ただ、それ以上は期待されてもわからん」
「……」
半分?え、最低でも半分?
セレーネがすごいのは第二層の時に把握してるけど、クールタイムが長いからエリアボス戦には不向きとか言ってましたよね?
それでも半分は削れる!?
「なら、俺たちは3割ですかね?」
「りょ」
「うん、大丈夫!」
「そうなるとリベリオンと鬼姫には残り1割ずつお願いするね」
え、なんか思ってたのと違う。
それならブルーでも……じゃないな。
絶対にリーフィアが神技・血の誓約を使ってブラッドレインとかをクールタイム無視して使い続けた方が可能性あるよな。
プルプル!
よしよし、なでなで。
今日はこれで機嫌直して明日はリーフィアに任せようね。
プル〜、プルプル!
う、今日のブルーは手強いな。
いつもならこれでいけるのに。
「俺はコンだな、やっぱ」
「郁斗がコンなら私はエルナかな。フィールド展開の兼ね合いもあるし」
「私はカーラでいきます!」
「蓮はやっぱブルーか?」
「うーん、悩み中。リーフィアの方が相性良いかなっと思ってるけど、ブルーがこの調子だから」
プルプル!
「ブルーでいいんじゃない?覚醒したリーフィアとはまだ郁斗くんたちエリアボス戦以外では一緒に戦ってないし。連携が取れない可能性が高いと思うけど」
「うん、輝夜さんの言う通りね。エルナとカーラは空中でも上手く連携取れるけど、リーフィアとは無理じゃないかな」
「あ、そっか。じゃあ、ブルーもやる気みたいだし、ブルーでいくよ」
プル〜、プルプル
あ、決まった瞬間、甘えん坊に戻った。
とりあえず、編成は決まった。
あとは明日の本番までゆっくり休むだけ。
第1パーティー
セレーネ(博愛の聖女)、ライズ(正義のヒーロー)
第2パーティー
ユン(嫉妬のお姫様)、ミザリー(憤怒の狂戦士)、アルバス(怠惰の悪魔)
第3パーティー
ファム(聖竜)、タロス(重鋼戦士)、アルテミス(力天使)、ユニ(ユニコーン)
第4パーティー
ブルー(○○ー○スライム)、コン(稲荷の刀狐)、エルナ(力天使)、カーラ(悪魔公爵)
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