第218話 とあるモンスターニュースでお祭り騒ぎ!その中心は鬼灯蓮!?
第三層を突破し、第四層がどんな感じなのか覗いてみた。
第四層だけ何故かリアルに階段を登った。第一層から第三層は建物の1F部分にARフィールドが展開されてたからちょっと不思議に思った。
その上、あれを見た時はここがダンジョンの中なのか本気で疑ったけど、輝夜さんやジャスパーさんといった経験豊富な人がいたからいろいろと教えてもらえた。
第四層はこれまでの三層よりも遥かに時間が掛かることが予想される。
それもこれも第四層にあるのは城だからだ。
最初は意味がわからないけど、ちゃんと教えてもらったから今は問題ない。
輝夜さんとジャスパーさんが言うには他にも城が存在するダンジョンがあるみたいで、攻略方法は城の最深部まで到達すること。
そこがエリアボスのいるボス部屋で、輝夜さんたちが知っているダンジョンだと玉座の間にエリアボスがいたらしい。
そして一番の問題が、城にある階段とかは実際に登れるから迷路のような構造をしていると思われる城の中を上がったり、下ったりして探索する必要がある。
なんでもダンジョン島にある建物の大半はダンジョンを用意する為に作られているから一部、超が付くほど攻略が面倒なダンジョンもあるとか。
城の探索は絶対に時間が掛かるし、時間的にもキリが良かったので、今日は解散した。
ホテルの部屋に戻ってモンスターファームを投影している時にある光景を見てふと思ったことがある。
部屋の隅に設置されているブルー専用と言っても過言じゃない小さなお風呂。
ブルーの大きさなら十分広いんだろうな。リーフィアやラグニアからすると小さすぎるだろうけど。
あ、ピナも丁度いいのかな。入ってるとこ見た覚えが無いけど。
いや、それは置いといて、ブルーって五感が無いんだよな。リーフィアが全て気配を感じて判断してる的なこと言ってたし。
それだとお風呂入っても何も感じてないんじゃと思ってリーフィアに聞いてみた。
最初こそ不思議がられたけど、直ぐに納得したようで細かく教えてくれた。
「モンスター界隈では常識ですが、スライムについて詳しくない主たちプレイヤーからすると疑問に思うのも無理ありませんね。確かにブルーには五感がありませんが、だからと言って劣っているわけではありません。気配を感じることによって私たち五感で物事を感じ取っているモンスターよりも鋭敏にいろんな情報を一瞬にして把握しています」
「うーんと、それって他のモンスターよりも感覚は敏感というか鋭いってこと?そうなると五感が無いブルーでも熱とかは気配で感じてるわけ?」
「はい、その認識で間違いありません」
「なるほど、勉強になる。ありがとう、リーフィア」
「いえ、私にわかることでしたら基本的に何でもお答えします」
頼りになるな、リーフィアはとか思った瞬間、俺の足下でその存在を忘れられないようにプルプルする子が。
さっきまでお風呂に入ってたよね。いつの間に、
「ブルー、ピナが武勇伝の続きを今か今かと楽しみに待ってますよ」
プル!プルプル!!
反応早!ピナの名前が出た瞬間、電光迅雷を使ってピナの下まで駆けつける。
それとは別に今、気になるワードがあったな。
何かな
いろいろと話を盛ったりしてないよね。
リーフィアにそこのところを確認すると意外とちゃんとしてた。
話を盛ったりしないどころか他のモンスターを持ち上げてるみたい。
そしてそんなすごいモンスターと一緒に頑張って戦ってるってところを強調してる。うん、ちゃんとしてると思ったのは俺の気のせいだった。
いつの日か、ブルーがちゃんと成長しますように。そう願わずにはいられなかった。
夕食を食べ終え、モンスターニュースを見るととんでもない記事が掲載されていた。
『さすがの大活躍!!鬼姫ギルドマスター鬼灯蓮、あのディアボロスですら解明できなかった第三層の謎を解き明かした上にエリアボス攻略戦ではMVP!!!!!』
え、何でこうなったの?
ネット掲示板がお祭り騒ぎだよ。
あいつはやる男だと思ってた!
それな!去年の
あ、それ、わかる!絶対にすごいことを達成すると思ってた!
去年は生保内世代や柊世代が注目されてたけど、やっぱ鬼灯蓮だよな!絶対に鬼灯蓮が先に台頭すると思ってたよ、俺は!
・
・
・
うん、もう見るの辞めよう。
精神衛生的によくない。
あと、シグマさんに抗議文だけ送っておこう。
第三層を攻略できたのはディアボロスのギルドマスターが態々ここまで来て、情報を提供してくれたから。
エリアボス戦だってブルーはセレーネが傍らで通訳してくれなかったらプルプル指示出しする意味も薄かったし、最後に痺れを切らして八雷神でいい所取りしたしで周りに助けられた。
俺やブルーの力だけでどうにかできたわけじゃない。
そうメッセージを送ったら
蓮くん、君は1人で戦っているのか?違うだろ?
プレイヤーは1人では戦えない。だからモンスターと力を合わせて戦う。時にはそれでも勝てない敵がいる。その為にパーティーやチーム、レイドを組む。
自分とモンスターは時に主役であり、時に引き立て役だ。第三層のエリアボス、虚無の虚像戦のMVPは誰が何と言おうと君だ!
あと、記事の内容はギルマスが全て書いてるから私には修正する権限が無い。まあ、あれだ。諦めて受け入れてくれ!
ええ、シグマさんでも修正不可!?
絶対に話盛られて伝わってるよね。俺とブルーがMVP?いや、ないない。
はあ、とりあえずこの記事の内容がブルーに伝わることの無いようにしないと。ブルーがピナに武勇伝を語っている今のうちにリーフィアとラグニアに根回しだけ。
そしてリーフィアとラグニアからはブルーを調子に乗せない為に全面協力を取り付けた。もちろん、ピナの耳に入るなんて失態も犯さない。間違いなく、そこからブルーに伝わるから。
それにしてもさっき、シグマさんから送られてきたメッセージの前半部分。前にも似たような事を指摘された覚えがある。
確か去年、フランスにあるランク変動型ダンジョン『王家の墓』に挑戦してて息抜きも兼ねてLMBマーケットに参加した時だ。
今もラグニアが装備している漆黒のマントを売っていたお店の店主の言葉。あれにそっくり。
あ、でも、シグマさんに一度あの人について知りたかったから調べてもらったけど、わからずじまいだったな。
もしかしたらシグマさんの知り合いかなって思ったけど、さすがに違うか。調べてもわからなかったみたいだし。
うーん、あ!輝夜さんやジャスパーさんならもしかして何か知ってるかも。
急ぎで知りたいわけじゃないし、とりあえず輝夜さんにだけメッセージを送った。
そしたら何やら意味深な返事が。
うーん、ハンス・シュミット?ドイツ人?聞いたことないな。
まあ、でもその時が来たらその人の正体わかると思うよ。
だから今は深く気にしなくていいんじゃない?
これ絶対に正体が誰なのか知ってるでしょ。まあ、輝夜さんがそう言うならもう気にしないようにするけど。
その後、ブルーの武勇伝を一通り聞いたピナは興奮してはしゃいでいたのもあってお眠に。
それを察したブルーがプルプルとピナを乗せてベッド?に運び、プルと慎重に降ろし、そのままピナの横で添い寝する。
今日はいつもより早く寝るみたい。きっとピナが寝ちゃったからだろうな。
まだ夜の9時だし、寝るには早い。そこでリーフィアと一緒にブルーとラグニアの強化に繋がりそうなアイテムをショップで探すことにした。
『天上庭園』で大量の合成素材を入手したけど、あまり俺には使い道が無いと判断し、売却した結果、ポイントが500万を超えた。
とりあえず、リーフィアから一個200万だけど、覚醒の宝珠は買っておいて損は無いとアドバイスをもらったから二個購入。
これで残りは100万とちょっと。明日からも『天上庭園』攻略を続けるから合成素材が貯まっては売却するから自然とポイントは稼げる筈。
残り全て使い切っても問題無いかな。
途中でラグニアもアイテム選びに合流してくれたから捗った。
まあ、結論から言うとこれ良い!って思ったアイテムが全て1,000万オーバーで手が出ない金額だった。
リーフィアからは堅実にポイントを貯めて次の機会に購入を提案されたけど、ラグニアから一個100万のアイテムボックスを提案された。
アイテムボックスは中に最低でも一つ、多ければ天井知らずでいろんなアイテムが入っている魔法の箱。
そのお値段もいろいろあって、一個10ポイントで購入できるのもあれば、上は数億ポイントまである。
ちなみに一個100万のアイテムボックスなら運が良ければ、数千万ポイントクラスのアイテムがジャラジャラ出てくることもある。
ちなみにどんなに運が悪くてもアイテムボックスを購入するのに使ったポイント以上のアイテムが保障されている。
一個100万のアイテムボックスなら100万ポイント以上のアイテムが最低でも一つは出るからポイント的には損しない。だが、出てきた自分のモンスターとの相性が悪く、アイテムが使い道ゼロって可能性もある。
ラグニア、君って意外とギャンブラーだったりする?
リーフィアもちょっと悩んでる。まあ、使えないアイテムはトレードに回せばいいしね。
プル!
……さっきまでピナの横で添い寝していた筈の子がいつの間にか起きてプル!って俺とウインドウの間に割って入ってきた。
プル、プル、プル
そして何故かウインドウに表示されている一個100万のアイテムボックスをタッチする素振りを見せている。もちろん、俺しか購入できない設定になっているからブルーがどんなに頑張っても意味ないけど。
この感じからしてブルーは購入派かな。
リーフィアからも反対意見が出ないし、買うか。
果たして何が出るのか。てか、幾つアイテムが出てくるかだな。
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