第217話 VS虚無の虚像
7月の初旬、遂に『天上庭園』第三層のエリアボス
ここまで二回ほど偵察戦として挑戦している。それでわかったことが幾つかある。
まず、エリアボスは虚無の虚像という2メートルくらいのゴーレムで、時折、姿を消す。
姿が消えている間はブルー以外のモンスターは居場所を特定できず、攻撃力が大幅に上昇する。第二層のエリアボス、天岩の巨神戦と同じだけバフを付与したアテナとドレイクですら一撃で倒されてしまった。
その後、アテナをセレーネで代えて更に防御を厚くしたが、効果は無かった。
ただ、姿を消している時は防御力が大幅に下がるみたいで、攻撃が当たれば大ダメージが期待できる。
偵察戦で判明したのはブルーとの円滑なコミュニケーションが攻略には必須。
ブルーはリーフィア曰く「動きのキレで言葉を表現している」だからブルーの言葉を理解するには直接ブルーを見る必要があるけど、毎回そんな余裕は無い。
そこで今回はそこまで攻撃力が必要じゃないからセレーネをブルーの傍らに配置し、虚無の虚像が消えたらセレーネがブルーを見て居場所をみんなに共有という流れになった。
その為、いろいろと今回はモンスターの編成を変えている。
第1パーティー
セレーネ、ブルー、ヴェル、ファム
第2パーティー
ドレイク、コン、セーレ、アルテミス
第3パーティー
ノワール、アルバス、ユン、エルナ、カーラ
虚無の虚像は空を飛べるけど、その飛行速度は遅いと思われるし、攻撃力をそこまで重視しなくて大丈夫そうなので、飛べるモンスターか飛べなくても機動力がより高いモンスターが採用されている。
ただ、飛べるモンスターばかりで固めると飛べない地上組が狙われて肝心要のブルーが倒されてしまう可能性もあるので、傍らにいるセレーネだけでなく、影分身に稲荷の境界線が使えるコン、神足通による瞬間移動ができるセーレ、そして琴音先輩2体目のモンスター、ユンが地上で応戦する。
ユンに関しては完全に琴音先輩の切り札というか隠し玉でホントは使いたくないみたい。今回、厳重な口止めをされた。それでもユンを使うのは琴音先輩も絶対に『天上庭園』を攻略したいと思ってるから。
まあ、ユンがどういうモンスターなのかって聞いたら琴音先輩が切り札として隠している理由もわかったよ。見た目はただのお姫様だけど。
「セレーネ、神技・博愛の聖女、聖女の祝福!」
「ドレイク、ドラゴンフォース、火炎竜王の誇り!」
「ノワール、ドラゴンフォース!」
「ファム、ドラゴンフォース!」
「コン、稲荷狐の祈り、稲荷狐の祟り、影分身、陽炎、蜃気楼、降臨・稲荷神社、参の型、壱の型!」
「稲荷流狐剣術、参の型 夜桜、壱の型 迦具土!」
「アルバス、神技・スロース!」
「ユン、プリンセスヴェール!」
まずはバフ・デバフの付与。
セレーネの神技は自分の全ステータス、回復スキルの効果を2倍にし、味方全員に継続回復、デバフ・状態異常無効を付与する。
聖女の祝福は味方全員の全ステータスにバフを付与する。自分でバフが付与できないブルーみたいなモンスターからするとありがたい。
ドレイク、ノワール、ファムはドラゴンフォースで全ステータス2倍だが、そのに火炎竜王の誇りが加わり、ドレイクのみ全ステータス3倍になっている。
最後にユンが使ったプリンセスヴェールは味方全員に一度だけ食い縛りを付与するスキルで必ず一度だけHPが1で耐えることができる。
「ドレイク、ルミナスフレイム!」
「ノワール、ブラックラグナロク!」
「ファム、ヘブンズクラッシュ!」
「ヴェル、ウインドカッター、ウインドボール!」
「アルテミス、メガシャイン、メガウインド!」
「エルナ、シャインブレイク!」
「カーラ、ダークボール、ダークウェーブ!」
「アルバス、ダークネスストーム!」
バフ・デバフの付与が終わっても今回はまだ消えていない。
前回、二回目の偵察戦ではバフ・デバフの付与が終わると同時に姿を消した。
今回もその可能性を考慮していきなり攻撃を仕掛けるってことはしない方針に定めていた。
もちろん、消えていない場合も考えてあり、その時は飛んでいるモンスターのみ攻撃に参加する。
地上組はいつ消えても対処できるように待機。
それと姿を現している時はナイトメアなどの必中攻撃は使わないことにしてる。
姿が消えていようと必中攻撃は当たるし、どこにいるのか攻撃が当たった場所でわかる。
エルナのロックオンも同様の理由から使うタイミングが決められている。
そして虚無の虚像が消える。
プル!プルプル!
「セーレ、右斜め40度、前方3メートル!」
「妖気解放、神足通、猫クロー、神足通!」
おお!すごい!セレーネの指示した場所にちゃんと虚無の虚像がいて攻撃も効いてる。
今回、セーレは妖気解放でスキルを封印していないというかできなかった。
偵察戦でも妖気解放であの姿を消すスキルを封印できなかった。そこらか推察できるのは、あの姿を消すスキルは神技によるものじゃないかってこと。
ただ、神技にしては発動頻度が多いから予測される神技の効果は任意のタイミングで姿を消したり、現したりできる。
気配に関してはゴーレム系のモンスターはそもそも気配が無いに等しいらしいからスキルの効果ではないと思われる。
「カーラ、悪魔の囁き、ナイトメア!」
「アルバス、怠惰の祝福、怠惰の囁き、怠惰な悪夢!」
「エルナ、ロックオン、スターバースト、スターブレイク!」
「ドレイク、神技・ルミナスデストラクション!」
「ノワール、神技・ビッグバンノヴァ!」
「アルテミス、シャインブレイク、ウインドブレイク!」
「ヴェル、ストームアロー、ウインドランス!」
セーレが神足通による瞬間移動で撤退すると同時にエルナの神技が炸裂。
すかさず、ドレイクとノワールが神技を、アルテミスとヴェルはスキルによる魔法を放つ。
ブルーの通訳をしてるセレーネの雰囲気からして直撃してるかな。
てか、ブルーここまで攻撃とか何もしてないな。いつもならそろそろ痺れを切らしてプルプルプル、プル!って感じで攻撃するのに。
「よーし、姿を現した!私たちもいくよ!ユン、神技・エンヴィー!」
神技・エンヴィー、ミザリーの神技・ラースやアルバスの神技・スロースと同じ大罪種の神技。
ユンは大罪種、嫉妬のお姫様で神技・エンヴィーには二種類の効果がある。
一つ目の効果は相手モンスターのスキルを一つだけ封印できる。
2つ目の効果は封印している相手モンスターのスキルが使える。
これには神技も例外じゃない。
「よし、成功!これで虚無の虚像は消えることができないと思うよ!早速、使うよユン!神技・ヴォイド!おお!ユンがホントに消えた!!すごーぃ!」
※封印したスキルは自動的に発動します。
スキル名を声に出して指示する必要はありません。
これでブルーのお仕事は終わったかな。
あとはひたすら攻撃あるのみ。
空を飛んでいるモンスターが虚無の虚像のタゲを取る。
地上組はそれを奪わないように攻撃を続けて最後は我慢の限界を迎えたブルーの八雷神で虚無の虚像のHPを削り切った。
割とあっさり勝てたように思えるけど、過去二回の偵察戦で全滅し掛けたこともあったし、第三層自体ブルーがいなければ敵モンスターの居場所が掴めなかった。
この前、輝夜さんの発案で試しにブルー抜きで挑戦したら数分で全滅した。
世界最強ギルド、ディアボロスが攻略を断念する理由もわかった気がするよ。
第三層を攻略し、俺たちには第四層へ挑戦するかどうかの選択肢が表示される。
まだ先はある。第三層を突破できたことは嬉しいけど、第四層以降は完全な未知。
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