第204話 あ、やりすぎた
あの後、各自しっかりと休んで明日、5月25日の日曜日の朝から『天上庭園』に挑戦することとなった。
作戦会議が終わった後のブルーはプルプル!といつもよりテンション高いのが伝わってきた。
まあ会議室を出た瞬間にARフィールドが途切れてるわけだからそこで俺の腕の中にいたブルーは消えたけど、部屋に戻って直ぐにARフィールドを展開するとみんな揃って出てきた。
あ、でもピナはブルーにくっついてたらって感じだな。気づいたら見覚えのない場所にいたみたいなリアクションだった。ピヨ!?ピヨピヨ?と何かブルーに聞いているように見えた。
さすがにピナの出番は無いと思うけど、ラグニアとリーフィアはどういった形で出番が来るかわからないし、今わかっている情報を共有する。
全て一通り話終え、最初はブルーで挑戦するけど、状況に応じて選出は変わるからいつでもいける準備だけはしておいてもらう。
この時、意外だったのはリーフィアから何一つ反論が出なかった。まるで最初はブルーを選出して当然という雰囲気が。
覚醒する前ならともかく、今はリーフィアの方が強い気がするけどな。何でかリーフィアってずっとブルーの方が強いと思ってそうなんだよな。
そして遂にその時がやってくる。
俺たちはよくわからない建造物の前、『天上庭園』の入口の前にいる。
今日は各自、エースモンスターで挑戦することになっている。
俺の場合はブルーだな。
今朝、リーフィアには恐る恐るではあったが、俺のエースモンスターが変わらずブルーなのか確認している。何故、そんな当たり前のことを聞くのかと不思議がられたよ。
輝夜さんとジャスパーさんの後に続いて『天上庭園』の中に入ると辺り一帯、金色の草原が広かっていた。
樹などは一切無い。綺麗に生え揃った金色の草が風で
話には聞いていたけど、ホントに見渡しがいいな。
障害物が無いからバトルへの乱入に気づかず、手痛い奇襲を受ける可能性は低そうだな。
あ、先にパーティーメンバーの確認だけしとかないと。いつもと違うメンバーだし。
今回は5人パーティーが一つ、4人パーティーが二つで輝夜さんとジャスパーさんがそれぞれいるパーティーは4人になっている。
第1パーティー
新垣輝夜、鬼灯蓮、ウィリアム・キング、ルーカス・ガルシア
第2パーティー
ジャスパー・エバンズ、二階堂郁斗、シャーロット・グリーン、ユリア・ファン・デン・ベルク
第3パーティー
ロザリア・ブラン、生保内薫、柊琴音、姫島莉菜、オリヴィア・ブラウン
一応、それぞれのパーティーにはコンセプトがある。
第1パーティーはウィリアムくんのタロスが全面的に防御、攻撃は輝夜さんのアテナが担当。俺のブルーとルーカスくんのファムは回復と遊撃。
第2パーティーは郁斗のコンが影分身と陽炎、蜃気楼コンボで味方を守り、他は攻撃という脳筋パーティー。一応、回復要員としてシャーロットさんのアルテミスがいる。
第3パーティーはロザリアさんのノワール、オリヴィアのカーラで徹底的にデバフを付与して弱体化、琴音先輩のシルヴィーユが遠距離からフォローしつつ、薫先輩のドランバードが近接戦。莉菜のエルナは回復と全体のサポート。
一応、それっぽいパーティーはできたけど、一つ大きな問題があってフィールド展開スキルを誰が使うか。
輝夜さんとジャスパーさんは使わないみたいだから今のとこ関係するのは郁斗とユリアさんかな。
レイド組むとこういうとこ問題になるよな。
2人で話し合った結果、コンがフィールドを展開することになった。
ユニはフィールドを展開しなくてもある程度戦えるからユリアさんが譲ってくれたみたい。
レイドでの戦い方は二通りあるけど、今回はローテーションを採用する。
ローテーションは名前の通り、一つのパーティーが戦い、乱入があれば待機しているパーティーが戦う。
今回は第1パーティー→第2パーティー→第3パーティーの順にローテーションする。
そして今回は採用されなかったけど、もう一つは総当り。
これはシンプルでレイドメンバー全員で戦おうってやつ。
ただ、俺たちもエリアボス戦だけは総当りにシフトする。
即席のパーティーだし、輝夜さんやジャスパーさんは普段ソロでダンジョンに挑戦しているみたいでパーティー組むの久しぶりみたいだから今日は慣らし目的での挑戦。
ちなみに輝夜さんはここのマップを頭の中に入れて来てるから最短距離でエリアボスのいるボス部屋まで行けるらしいから後について行く。
そして『天上庭園』で初めてモンスターと遭遇する。
確かにジャスパーさんの言う通り、見た目は羽の無い天使だ。
今回、神子は2体。たった2体だけど、世界最難関ダンジョンで且つAランクダンジョンのモンスター。
集中しろ。たった一撃で倒される可能性だってある。
神子の攻撃は全て回避を前提に動け!
「じゃあ、第1パーティーいくよ。アテナ、戦の乙女!」
ステータスはオール100で制限されているけど、強化できないわけじゃない。さすがにそれだけで勝てるほど甘くないけど。
「タロス、挑発、重戦車、鉄壁、装甲復活、チャージカウンター!」
ウィリアムくんのタロスは挑発スキルを新しく取得したのか。タンクするなら必須のスキルだから今まで取得していなかったことが逆に違和感あるな。
「ファム、ドラゴンフォース、聖竜の加護!」
ファムが新しく取得した聖竜の加護は味方モンスター1体の防御力を永続で2倍にするスキル。
これでタロスの防御はより堅牢になった。
最後はブルーの出番。
「ブルー、大人しく待機」
プル!?
だってブルーは強化スキルとか取得してないし、今はまだ攻撃する必要ないし。
下手に攻撃するとタロスが挑発スキルを使った意味が無くなるし。
2体の神子は想定通りにタロスへと突っ込む。
スキルを使っていない攻撃ではいくらAランクモンスターといえど、タロスは揺らがない。
だけど、スキルを使われると話は変わる。
それにしてもタロスのHPが一撃であんなに減るなんて。
とりあえず、回復しないと。
「ブルー、プチヒール!」
「そろそろいいかな。アテナ、裁きの剣!」
「ファム、シャイニングブレス!」
「ブルー、雷霆!」
予めタロス以外はスキルは小出しに使うと決めていた。バトルはかなり長引くからコツコツ辛抱強く戦う。
それとタロスの妨害をし兼ねない全体攻撃は基本的に禁止。だからブルーの場合、フレイムフォースと霹靂神が使えない。
「今だよ、重鋼破砕!」
うわ!さすがウィリアムくん!あの素早い動きにこうも早くカウンターを決めるなんて!!
まだ目が慣れない俺とは全然違う。
『天上庭園』ではこの速さが基準になると考えた方がいいし、早く慣れないと!
「やるわね。アテナちょっとペース上げる!蓮くんとルーカスくんは今まで通りで大丈夫!アテナ、聖なる乙女の剣!」
正直、ここでペースを上げなくても時間はこちらに味方すると思う。
タロスの防御がガチガチになって、リリースカウンターの威力が上がるし。
それでもペースを上げるのは先を見据えてのこと。
ブルーには邪魔しないように立ち回ってもらわないと。
「あ、」
「「「……」」」
ステータスとスキルLvが制限されているアテナの攻撃を受けた神子がめっちゃ吹っ飛んで、タロスからアテナにターゲットを移した。
これには言葉を失う者が多数だが、1人だけやれやれといった感じで首を横に振っている。
あ、ヤバい!驚いてる場合じゃない。
えっと、どうすれば。この場合、神子1体は輝夜さんとアテナに任せて俺はウィリアムくんとタロスのサポートかな。
うん、ここは…。
「ブルー!…」
あれ?さっきまでそこにいたブルーがいない。どこいった?
その時、ブルーはアテナに向かっている神子に電光迅雷を発動し、攻撃を仕掛けていた。
眼中に無かったブルーに側面から攻撃され、僅かに体勢を崩す。
(上手い!攻撃を仕掛けるタイミングが完璧。アテナ以外が神子の意識から消えて突進の最中、僅かに重心が傾き、体勢が不安定な所に攻撃。さすが蓮くんとブルーね。対応が早い!助かるわ)
ブルーがアテナのフォローに誰よりも早く走っているのを横目に確認し、落ち着きを取り戻したウィリアムとルーカスは自分たちの役割を認識する。
もう1体の神子を2人で相手する。
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