第203話 作戦会議
他の子たち?狙ってる?
それってもしかして、
「他の12神の方たちが狙ってるってことですか?」
「そう。『竜峰』は個人的も興味あるけど、ソフィアがギルドメンバーを引き連れて近いうちに挑戦するって聞いてる。他は知らない。聞いても教えてくれないから」
ソフィアさん。ギルド、ソフィア海賊団のギルドマスターで12神序列8位。
ソフィア海賊団の実力は世界トップレベルだし、さすがに『竜峰』は攻略できるかな。
「ソフィアもダメ元の挑戦って言ってたから攻略はたぶん無理ね。少しでも情報を持ち帰って欲しいわね」
「……」
「まあ、私たちはダメ元じゃないからね。ちゃんと攻略するよ」
『天上庭園』攻略メンバーが全員揃ったのは、5月24日土曜日。
この日に俺たちは揃ってダンジョン島へと飛行機で向かう。
ダンジョン島に到着して最初にホテルのチェックインを済ませて、荷物を部屋に置いたら輝夜さんが予め借りている会議室で作戦会議。
まずは『天上庭園』がどういうダンジョンなのか情報と認識のすり合わせを輝夜さんから。
「『天上庭園』はタワー型ダンジョンだけど、何階層あるのかは不明。当然だけど、最奥のボスモンスターに関しても一切が不明。手探りで情報を集めてその都度、対応するしかない」
正直、そこからなのかって感じだけど、改めて言われると納得だ。
そもそも最奥のボスモンスターの情報がないってことはそこまで辿り着いたプレイヤーがいない、もしくはいるけど、情報を秘匿している。
今回の場合、たぶん前者だろう。
そしてこれがもう一つ大事なことを意味している。
最奥ボスモンスターの前に立ち塞がるエリアボスを突破したプレイヤーも恐らくいない。
今までみたいに調べたら情報が何処かしかにあるわけじゃない。
思ってたりよりも大変そうだ。
するとここでジャスパーさんがARフィールドを展開する。
「これから出現するモンスターの情報をわかっている範囲で共有する。各モンスターにも情報を共有しておきたいから召喚して欲しい」
ジャスパーさんは話終えると直ぐにエースモンスターのドレイクを、輝夜さんはアテナを召喚する。
その後、みんなもエースモンスターを召喚している。
俺、どうしような。覚醒したリーフィアでいくべきか。それともブルーでいくべきか。
悩んでいたら元気にプル!と勝手に出てくる子が。
プル!プル!プル!プル!プル!と徐々に俺に近づいてくる。無駄に迫力がある。
うん、わかった。やる気は伝わったよ。
仕方ないから最初はブルーでいくか。
無理そうならリーフィアにチェンジだからね。
俺が根負けしたのに気づいた瞬間、プルと俺の腕の中に収まる。
いつの間にかブルーの特等席みたいな扱いになってるけど、違うからね。
とか思ってたら輝夜さんのアテナに颯爽と連れて行かれた。
輝夜さんはやれやれという感じだ。
アテナっていつもこんな感じなのかな。
「よし、では第一層からだ。ここには
飛べない天使ってことは回復魔法も使えるよな。
かなり厄介だな。これ複数同時出現かどうかで話は変わるな。
「質問があれば、思い浮かんだ時にお願いね。じゃないと質問するタイミング無くて流れるなんてこともあるから」
「あ、じゃあ質問いいですか?」
「一番手は蓮くんか。どうぞ」
「えっと、その神子というモンスターは一度に複数体同時に出現するんですか?」
「確認している限りでは一度に出現する数は3体までだ」
なるほど。3体か。ここには13人いるから4人パーティーが二つ、5人パーティーが一つ作れる。
手分けすれば、各パーティーが1体の神子を相手にできる。
これ以上、増えなければ何とかなるかな。
「忘れているかもしれないが、今回はレイドでの挑戦になる。つまり、普段ではありえない乱入がある」
あ、そっか。レイド組むこと自体が今まで無かったからすっかり忘れてた。
パーティーやチームを組んだ時はモンスターと遭遇して、バトルが始まったら終わるまで他のモンスターと遭遇することはない。
だけど、レイドは違う。数による暴力を防ぐ為にバトル中であっても他のモンスターと遭遇し、更なるバトルへと突入することがある。
一概にレイドを組めば、攻略しやすいわけじゃないけど、大人数でボスに挑戦できるメリットがある。
今回はレイドじゃないと輝夜さんたちが攻略無理と判断した結果だろうけど。
「先に言っておくけど、乱入だって毎回起きるわけじゃないのよ。確率としては確か20%」
20%ってことは5回に1回のペースで起きる。
常に警戒は怠れないな。
「じゃあ、次は僕から質問いいですか?」
「二番手はウィリアムくんね。どうぞ」
「神子は神技を使えますか?」
ウィリアムくんの質問を聞いて俺の考えがどれだけ甘かったか痛感した。
『天上庭園』はAランクダンジョン、今までよく挑戦していたランク変動型ダンジョンとは違う。
遥か格上のダンジョン。当然、Aランクともなれば、通常モンスターでも神技は使えると思う。
「使える」
普通に出現するモンスターですら神技が使える。
そんな魔境とも言えるダンジョンに挑戦するのか。
対策をしっかりと用意しないと神技で壊滅し兼ねない。
「対策は?」
ジャスパーの発言を受けて重い空気が漂っている所に突っ込んでいけるとは!さすがロザリアさん。
「対策はあるけど、できれば使いたくない。それをすれば、アテナが戦えなくなる」
「アテナの火力が全て防御にいくからね。火力不足に陥ってバトルが長引く」
その頃、肝心のアテナは
プルプルプル、プルプル
「ほへ〜、ブルーちゃんのその肌艶の秘訣はそこにあるのか。勉強になる。あ、それと…」
美容について
美意識の高いアテナとしては自分の上を歩むモンスターがいれば、その秘訣や普段のお手入れの仕方など聞かずにはいられない。
「つまり、アテナの火力を取るか、セレーネの防御を取るかの二択ですか?」
「そう。セレーネは美徳種、博愛の聖女だから回復も完璧!ただ、回復はできる子が他にいるからね。そこにセレーネを加えると過剰回復にしかならない。ただ、防御だけだとちょっとね。役不足なの」
回復ができるモンスターって鬼姫にはブルー、エルナ、リベリオンにはアルテミス、ファム、それにウィリアムくんもたぶん『白猫』のドロップアイテムを合成してるだろうからいる。
4、5体は回復魔法が使える。コンとカーラは与えたダメージ次第だけど、自己回復ができる。
確かに過剰回復になるのかな。でも、Aランクダンジョンのモンスター相手だし、意外とちょうどよかったりして。
「なら最初から薫のアルバスと私のミザリーを起用する?」
「それはサブプランだ。最初から使いたくは無い」
「これ話が出た以上、話さないとだね。薫くんのアルバスによるデバフで徹底的に弱体化、ロザリアさんのミザリーがバフで強化した攻撃で敵モンスターを各個撃破。それが可能ならセレーネの起用もできるけど、モンスターの出現頻度とかがわからないからサブプランとして用意されてるの」
なるほど。確かに大罪種2体のバフ・デバフで強行突破するのは有りだと思う。
各個撃破となると撃破予定対象以外のモンスターを誰かが相手する必要がある。この場合はそれが俺たちかな。
問題はスキルのクールタイムが明けるか、モンスターの出現頻度とどちらの方がが早いかが問題だ。
それにミザリーの攻撃でどれくらいダメージが入るか、それも大事になる。
こればかりは実際に挑戦しないとわからないな。
「最後に第一層のエリアボス、
闇属性の攻撃によるデバフか。
やっぱり、ブルーじゃなくてリーフィアの方がいいかな。
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