第198話 君臨する王者
あ、今更だけど今年の新入生代表トーナメント見るの忘れてた。時間がある時に見逃し配信でも見よっと。
そうそう、モンスターファームだけど、なんかすごいことになってる。
何故か露天風呂みたいな場所が部屋の隅に用意されていた。いや、まあ誰が用意したかは容易に想像できるけどさ。
実際に赤くて丸い何かが浮かんでたことがあったし。
その近くには植木鉢が置いてあった。何を植えてるのかは不明というより、ちゃんと植えてるのかな?ただの置物になってる気が…。
他にも赤くて丸いぬいぐるみが増えてたりも。ぬいぐるみによる雪崩が起きて小さなヒヨコが埋もれることもあった。その時はすぐにリーフィアが助け出し、中からは幸せそうな雰囲気のヒヨコが出てきた。
今日は『侏羅の大森林』の最奥ボスに挑戦する。
ここはエリアが二つだけだから一応はアンドロサウルスを倒してるし、いつでも挑戦はできた。
5月に入ってようやく挑戦する。
当然だけど、アンドロサウルスに挑戦しながらボスの情報は集めていた。
まず名前はメカティラ。略称とかじゃなく、これが正式名称みたい。まあ名前から推察できる通り、メカメカしいティラノサウルスみたい。
物理攻撃のみで全体的にバランスの取れたステータスみたいだからどれかに特化してるわけじゃない。
ボスモンスターにしては戦いやすいって情報もあった。
ボス部屋の中に入るとちょっと予想していた外見とは違うモンスターがいた。
完全に機械だ。メカメカしいって言うから8割くらいが機械のティラノサウルスかと思ってた。
でも、機械なのにティラノサウルスの見た目を忠実に再現している。クオリティ高いな。
今回もラグニアには挑発スキルをコピーさせているし、上手く立ち回りますか。
「リーフィア、挑発、天空斬り!ラグニア、カオスオーガフレイム!ブルー、雷霆!」
お、意外と速いな。でも、アンドロサウルスで速い動きには目が慣れてる。今の俺たちなはこの程度の速さ問題ない。
物理攻撃のみしか使えないモンスターは挑発スキルを使うと真っ直ぐにリーフィアへと突っ込む傾向にあるから初手はある程度強力な遠距離攻撃スキルを使うことにした。
本当なら八雷神とか使いたいとこだけど、想定外の動きをされて当たらなかったら目も当てられない。
そんな無駄撃ちはできないから二回目以降の被弾で追加効果を発揮する雷霆を使うことにしている。
メカティラとの距離がもう少し離れていれば、追加で魔法を放つけど、初期位置的に一発が限界。
リーフィアは挑発スキルで自分に向けた意識をブルーやラグニアに向かないように天空斬りで攻撃をする。
俺たちはアンドロサウルスとの戦いで多くを学んだ。
物理攻撃のみの恐竜?と戦う時は尻尾による多角的な攻撃も警戒しないといけない。
まあメカティラの尻尾は一本しかないからリーフィアも容易に対処してる。
それから機械だからどこにどんな武装を隠してるかわからない。そこにも警戒は必須。
アンドロサウルスなんて機械の羽から追尾するミサイルが発射されたしね。
あと口の中に砲塔を仕込んでるモンスターもいたしね。
ブルーとラグニアは近接戦を避けて遠距離から魔法でチクチクと攻撃をしてもらってるけど、攻撃頻度はそこまで多くない。
幾つかスキルを温存しておけば、不確定要素が大きい隠し武装が出てきた時になんとかできるかもしれないから。
そしてまだバトル序盤にも関わらず、メカティラの背中がパカっと割れて砲塔が出現する。
向きからして狙いはリーフィア。
至近距離であんなの放たれたらリーフィアでも回避は不可能。防御しようにも今も絶賛メカティラの猛攻を受けている。それは盾を使って防げているが、これ以上は無理だ。
だからここは、
「ブルー、電光迅雷を使ってラグニアと合流して!ラグニアは挑発、メガダーク、メガシャイン!」
サブオプションとして用意していたラグニアの挑発スキルを使う。それだけだとラグニアに意識が向かないかもしれないから使える魔法は全て使う。
するとメカティラはリーフィアからラグニアへとターゲットを移す。
その影響で自然とラグニアへと背中の砲塔も向き、発射される。
そのタイミングで電光迅雷を使ったブルーがラグニアと合流。
ラグニアには防御スキルが無いからこういうのを防ぐのはブルーの仕事。
「ブルー、ディバインシールド!」
無事に防いだらブルーの役目は終わり。直ぐにラグニアから離れてメカティラの攻撃に巻き込まれないようにする。そしてラグニアは万全の状態でメカティラを迎え撃つ。
「ラグニア、ライトクロー、ダーククロー!」
ラグニアの場合、リーフィアみたいに盾を持ってないからヒットアンドアウェイで立ち回る。
リーフィアは遠距離攻撃の手段が乏しいので、次の出番まで指定の場所で待機し、ブルーは遠距離から攻撃しつつ、ラグニアのHPがある程度減ったら回復魔法で回復する。
それからメカティラのHPが半分ほど減ったところで背中の砲塔が引っ込み、尻尾が二股に裂けてラグニアの左右から襲いかかる。
同時に正面からはメカティラの鉤爪が迫っている。
「リーフィア、騎士王の風刃閃、天空斬り!」
リーフィアが待機している指定の場所、それはメカティラの背後。と言ってもやや離れた場所に陣取ってもらってる。
メカティラに何かしらの変化があったら騎士王の風刃閃と天空斬りの合技で仕掛けると予め決めていたからリーフィアは俺の指示よりも幾分か早く動き出していた。
それにより、メカティラの尻尾は弾かれ、ラグニアには届かなかった。
「リーフィア、挑発!」
そしてここで挑発を使い、再びメカティラのターゲットをリーフィアに移す。
わざわざリーフィアから近づかなくてもメカティラがやって来る。
よし、ここを狙い撃とう!
「ブルー、八雷神!」
プル!プルプル!
待ってました!とばかりにプルプルしながらメカティラの動きをしっかり見て、攻撃を置くように放つブルー。
猛スピードで走っているメカティラに吸い込まれるように八雷神が直撃する。
この一撃でなんとメカティラのHPを3割近く削った。
残りHPが2割を切ったことでメカティラは狂乱モードに突入する。
そしてメカティラのターゲットはリーフィアでなく、ブルーに移る。
うん、これでよし!ブルー、迎え撃つよ。
「ブルー、霹靂神、雷霆、天御雷、鳴神、メガサンダー、電光迅雷!」
火属性のスキルは軒並みクールタイムに入ってるから今、使えるのは雷属性のスキルだけ。
全体攻撃の霹靂神で視界を遮り、何度目かわからない雷霆で痺れさせて狂乱モードのメカティラの動きを確実に止める。
そしたら天御雷などの遠距離攻撃をし、電光迅雷で思いっきり弾き飛ばす。
とはいえ、ブルーの力だとほんの1メートルくらい後退させられたら上出来だけど。
これでブルーはディバインシールドとプチヒール以外のスキルが全てクールタイムに入ったが、問題ない。
「ラグニア!!」
ブルーの総攻撃で残りHPは1割を切っている。
狂乱モードで防御力が下がっている今ならいける!
ラグニアが取得している全魔法攻撃スキルによる攻撃がメカティラに直撃する。
そうしてメカティラのHPは0になる。
一応、万が一の時に備えてリーフィアがブルーの所まで駆け付けてくれてる。
ラグニアが倒し切れなかったらリーフィアが倒す算段だった。
メカティラを倒した後、ボス部屋の中央には虹色に光輝く宝箱が鎮座している。
俺はこの時、この虹色宝箱を見てとても大事なことを思い出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます