第193話 侏羅の大森林
グルグルグル、グルグル
「空を飛ばずに素早い動きが特徴のモンスターがいるダンジョンがあればそこに挑戦したいです」
空を飛ばずに素早い動きが特徴のモンスターか。
『白猫』以外のダンジョンがパッと思い浮かばない。
しかも近場で探さないといけないわけでしょ?
うーん、そんな都合のいいダンジョンなんてあったかな。わからないし、調べてみるか。
調べること数分、なんとあっさり見つかった。
『疾風の剛翼』と同じで
一体幾つダンジョンあるの?ってツッコミたくなるけど、これは気にしたら負けだ。
教職員ですらよくわからない場所があるほどに広大な面積を誇る
入学当初に市川先生からもとある場所から先へは行かないように。何があるのかよくわかっていないからと釘を刺された。
最早、学園内には知らない場所があって当然となっている。噂では学園長ですら把握してないとか。
早速、俺は
ダメ元で以前学園長とリベリオンとのギルドバトルについてやり取りしたアドレスにメールを送ってみる。
すると秒でOKと返事が。
何でかな、俺がメッセージとか送ると異様に返事が早い。まあ偶然、手が空いてたとかでしょ。
でも、学園長から許可をもらったことだし、ランク変動型ダンジョン『
『侏羅の大森林』は名前の通り、恐竜系のモンスターが多数出現するダンジョン。
1体1体のモンスターはかなりステータスが高いらしく、攻略には純粋な強さが求められるダンジョン。
ここではダンジョンギミックでバフ・デバフ・状態異常の付与ができないみたい。
デバフ・状態異常が付与できないとなるとリーフィアのスキルが幾つか使えない。
それに強化系スキルも効果を発揮しないらしい。だからラグニアの混沌属性による強化も効果を発揮しない。
今回、ピナはお留守番でブルー、リーフィア、ラグニアの3体で挑戦しよう。
ダンジョンまでの道中、休みの日でも
部活動とかは休みの日でもあるのか。
そこまで部活動に力を入れてないから実績のある部は無かったと思うけど、軽く運動がしたいとか遊びとして特定のスポーツが好きとかいう人には丁度良いのかな。
さてと、気持ちを切り替えて『侏羅の大森林』に挑戦するか!
ダンジョンの中にはよく恐竜がテーマのドラマや映画などで見る光景が広がっていた。
日本ではまず見られないような樹がたくさん生い茂ってる。
ブルーがプルプル!ってはしゃいでるけど、周りに落ち着いた雰囲気のリーフィアとラグニアしかいないからかすぐにプル…ってなった。
きっとここにピナがいたら永遠とはしゃいでるんだろうな。うん、ピナはお留守番で正解だったな。
ここにいたら永遠とピヨピヨはしゃいでるところが想像できる。
ちょっとだけ奥に進むとモンスターが3体出現する。
1、2メートルくらいの体躯。鉤爪のような形状の手足と細長い頭にワニのような口と鋭い牙。ヴェロキラプトルか。
近接戦に特化したモンスターに見えるけど、魔法も一応警戒しとかないと。
「リーフィア、挑発、騎士王の風刃閃、天空斬り!ラグニア、ライトクロー、ライトファング!ブルー、鳴神、雷霆!」
3体のヴェロキラプトルは挑発スキルによって真っ直ぐにリーフィアへと突っ込む。
正直、ホッとしてる。プライムバードみたいに挑戦スキルを掻い潜ってくるんじゃって不安だったから。
でも、真っ直ぐに突っ込んで来てくれるならブルーとラグニアの的でしかない。
リーフィアは極力被弾を避けることを意識しているので、真っ直ぐ突っ込んで来たヴェロキラプトルを嘲笑うように空駆で空中へと逃れている。しかもヴェロキラプトルの鉤爪が届くかどうかギリギリのラインで留まっている。
空へと逃れたリーフィアに意識が集中しているとブルー、ラグニアからの攻撃は回避できない。
よし!これは当たる。
相手が何体いようと意識を攻撃から逸らしつつ動きを止める。
これができれば、攻撃はまず当たるな。
この調子でリーフィアが惹きつけつつ、騎士王の風刃閃と天空斬りの合技で意識をブルーやラグニアに逸らさせない。
そのまま順調に進み、ヴェロキラプトル3体を撃破する。
さてと、これからどうしたらいいのやら。
このダンジョン、進むべき道がどこにも無い。
今までどんなダンジョンでもそれっぽい道はあった。もちろん、一本道じゃなく、迷路みたいになっていてマッピングに一苦労のダンジョンもあったけど。
とりあえず、何も考えずに真っ直ぐ進んでみるか。
俺はリーフィアを先頭にしてラグニア、ブルーと続く形で真っ直ぐ進む。
途中、ヴェロキラプトルが出現して倒したりとなかなか先に進めない。
ここは入口からさほど離れた場所じゃないけど、既にモンスターと4回も遭遇している。
モンスターとの遭遇率の高いダンジョンなのかな。
挑発スキル以外のリーフィアのスキルが軒並みクールタイムに入ってる時にヴェロキラプトル4体と遭遇してさっきは焦ったよ。
でも、そのおかげで前衛をリーフィアからブルーにスイッチしても戦えることが判明した。
リーフィアは盾で攻撃を受けたり、流したりするのがメインで回避はあくまで余裕があって攻撃に転じる時ってイメージがあるけど、ブルーは全てを躱そうとしている。まあ、わりと被弾して直ぐにプチヒールで回復って流れが多かったけど、ラグニアも回復魔法が使えるし、回復が追いつかないってことはなかった。
今は後衛で偶に俺の足下でプルプルしてるけど、元々は体当たりしかスキルが無くて、近接戦をメインにしてたわけだしな。
そしてブルーにできるならラグニアにもできるのではと思い、ポジションを変えて戦ってみたら割と良い感じ。慣れてないから連携とかがぎこちなかったけど、普通に戦えてる。
その後もマッピングを進めながら遭遇したモンスターとはポジションを変えながら戦ってリーフィアが前衛以外でも十分戦えるようになった。
ただ、問題はダンジョンが広すぎてエリアボスのいるボス部屋の場所がどこか検討もつかない。
1日歩き回ったけど、モンスターとの遭遇率の高さから満足にマッピングができていない。
唯一の救いはここまで遭遇したモンスターが全てヴェロキラプトルだったから後半はかなり楽に戦えたってことくらい。
今日は『侏羅の大森林』から切り上げて、リーフィア、ラグニアと一緒に明日どうするかを考える。
え?ブルーは一緒に考えないのかって?いや、ブルーは
プルプル、プルプルプルプル!
ピヨピヨ!ピヨ!ピヨピヨピヨ!
可愛い妹に今日の武勇伝を聞かせることで手が離せないみたい。
うん、こうなるのはなんとなくわかってたし、問題無いかな。
リーフィアとラグニアも完全にスルーして明日どうするかを考えてくれてる。
最終的に今日は真っ直ぐに進もうとしたから明日は横に逸れて進むことになった。
理由としては今日と同じように進んでも成果を得られないし、まずはマッピングの進捗状況を把握したい。このゲームはマップの踏破率とかが表示されないからこういう道が存在しないダンジョンだとどれくらい進めているのかがわからない。
明日どうするかが決まった頃にプルプルしながら満を持して登場する子が。その頭?の上にはピヨピヨ鳴いている子も。
「ピナ、話は既に終わっています。ブルーと遊んでて大丈夫ですよ」
ピヨ!ピヨピヨ
プル、プルプル
リーフィア、ブルーの扱いが上手い!
可愛い妹のピナに遊ぼと頼まれたらブルーはきっと断れない。それがわかっているから
ブルーも一瞬だけ迷いを見せたが、すぐにピナと遊ぶ選択をする。
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