第187話 3年生の部 優勝は?

 何故だかリーフィアがブルーを連れ戻しに来ないこともあって、ブルーと共に白黒モノクロモールを見て回ることに。

 案の定、周りの人たちに視線が痛い。それでもブルーは平常運転で俺の腕の中でプルプルしてる。

 まあブルーが楽しそうにしてるし、それでいいかな。

 それよりもどの店に入るかだな。どういう系統の物にするかとかそういうのをある程度でも決めておかないと選ぶのは無理だな。

 消え物って言ってもたくさんある。どうしような。うーん、ん?


 プル、プル!プル、プルプル!


 え、あっちに行きたいの?まあ、まだ行き先とか決まってないからいいけど。

 少しは大人しくしといてよね。


 プルプルプル


 うん、ブルーが大人しくするのは無理かな。もう諦めよう。


 ブルーの行きたいと主張しているであろう場所に行くと白黒モノクロモールの直営店でちょっとお高いスイーツとかお菓子を取り扱っている店に辿り着いた。

 琴音先輩への卒業祝いにスイーツやお菓子か。これはありかも。


 プルプル、プルプルプルプルプル!


 …まてよ。そういえば、琴音先輩って白黒モノクロアイスを好き好んで食べる人だよな。

 普通の人と美味しいの感覚がずれてる可能性が。あ、でもギルドバトルの打ち上げではみんなと同じ料理を美味しいって食べてたな。うん、ここら辺も明日くらいに薫先輩に確認しておくか。今日は疲れてるだろうし。


 たぶん琴音先輩は何でも美味しく食べられる人だと思うから早速、俺の中での候補だけ見て決めておくか。

 うーん、マカロンとか美味しそうだな。←お値段からは目を背けています。

 あとはアソートのクッキーとかいいかも。かなりいろんな味があるからどれから食べるか選ぶ楽しみもあるし。

 甘いお菓子ならチョコレートもありだな。あとはケーキとかオシャレな焼き菓子とか。

 その後もいろいろと見て回ってこれが第一候補かなっていう物が決まった。

 いろいろと迷ってたらブルーがね。何故だか、あれにだけ興味を示したのかプルプルとこれがいい的なアピールをするんだよね。最後は決めあぐねていたし、もうこれにしよう!って感じだった。

 ただ、琴音先輩の好みと合わない可能性もあるから薫先輩に確認してから買うことにする。


 その後、白黒モノクロの1Fに降りるとここではARフィールドが展開されていないので、ブルーが姿を消す。何だかすごく満足したって感じが漂ってたな。

 ここ最近、バトル以外でブルーと一緒に何かすること無かったし、いい息抜きになったかな。



 翌日、白黒モノクロ学園学年別個人トーナメント3年生の部が開幕。

 この日、薫先輩に琴音先輩の好みを聞いてみた。

 すると、基本的に何でも美味しく食べる人らしい。薫先輩が言うには琴音先輩は嫌いな食べ物が恐らく存在しないとか。もしかしたら嫌いな食べ物が何かしらあるかもしれないけど、スイーツとかお菓子なら大丈夫みたい。

 それを聞いて一安心。一応、食べ物だから賞味期限の関係もあるし、卒業式前日に購入することになった。


 昨日、琴音先輩と女子会をやったらしい莉菜とオリヴィアの方は完璧だとか。

 あとは服とか諸々選んで買うだけみたい。

 2人は明日、白黒モノクロモールで買う予定らしい。

 何やらラッピングを自分たちで丁寧に仕上げたいとか。

 コーデを一式揃えてラッピングするとか。何か服とかだけじゃなく、鞄とかまで買うみたい。

 そこら辺も既に昨日の女子会でリサーチ済みだとか。これにはさすがの薫先輩も少し顔を引き攣ってたよ。


 そして郁斗は何やら1人で画策しているみたいで卒業式の日には戻ると連絡があった。

 今、どこで何をしているのか全くの不明。

 これは相変わらずというべきかな。何で琴音先輩だけじゃなくて俺たちにも内緒にするかな。

 これで碌でもない物を用意したらわかってるよね。うちのギルドの女性陣を怒らすときっと怖いよ。

 今もちょっと莉菜があれだしね。

 ていうか、何かみんなで何か一つ琴音先輩へ卒業祝いを用意する筈だったのに、各々一つずつ用意するみたいになってる。



 白黒モノクロ学園学年別個人トーナメント3年生の部は今日、1回戦が。そして明日には2回戦と準々決勝、明後日に準決勝、決勝が行われる。

 3年生の部は3対3のバトルだからとにかく長い。

 2日目なんて終わったのが夜の9時とか。1、2年生の部では遅くても7時くらいには終わってたのに。

 琴音先輩は順調に勝ち進み、去年の学年別個人トーナメント2年生の部で開幕神技で今年の神技禁止ルールに絡んでいる先輩とトーナメント的には準決勝で当たる筈だったけど、琴音先輩と当たる前に2回戦であっさりと敗北していた。

 薫先輩が口だけの先輩って言ってたけど、まさか打倒琴音先輩を掲げておいて当たる前に負けるとは。

 まあ琴音先輩は2回戦で打倒琴音先輩を掲げていた先輩に勝って準々決勝に進んだ先輩に圧勝してたけど。もうこれで力の差は歴然だよな。よく打倒琴音先輩を掲げられたな。


 3年生の部、準決勝で琴音先輩はあおい紋葉あやは先輩と当たる。

 この葵紋葉先輩はなんと同学年の葵美夏萌さんのお姉さんらしい。姉妹揃って白黒モノクロ学園に入学。しかも学年別個人トーナメントの本戦に勝ち進む実力者とはすごいな。

 このバトルで初めて琴音先輩は3体のモンスターを使用した。葵先輩もかなり強かったけど、やっぱり琴音先輩の方が強いかった。最後は琴音先輩が勝ったし、まだ余力を残していそうな感じもした。


 決勝戦はやっぱりこの2人かっていう組み合わせ。

 琴音先輩とたちばな勇気ゆうき先輩。1年生の頃の新入生代表トーナメントから決勝戦はずっとこの2人のバトルだったらしい。俺はそこまで詳しく知らないけど、薫先輩が教えてくれた。

 因みに戦績は琴音先輩が全勝しているらしい。

 橘先輩も最後くらいはとかなり気持ちが入っていたらしいけど、結果は琴音先輩が優勝。

 もうとにかくすごいバトルだった。

 後学の為にとブルーたちを召喚して一緒に決勝戦の配信を家で見てたんだけど、ピナがピヨ~って目を輝かせている。それを見たブルーが何やら慌てた様子でピナにプルプルって話しかけていた?けど、内容まではわからない。リーフィアもブルーなりに頑張っていますとしか教えてくれなかったしね。

 まあすぐにいつものピナに戻ってブルーにピヨピヨ甘えてたけど。


 本当なら琴音先輩の決勝戦は学園でしっかりと見たかったけど、今日は白黒モノクロモールに行って卒業祝いのお菓子を買いにいかないといけない。

 てなわけでピナとじゃれてるブルーはリーフィアとラグニアに任せて俺は買い物に行くか。



「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」


 よし、ちゃんと買えたし、これでオッケーだな。

 莉菜とオリヴィアの方もさっき準備万端の連絡があったけど、郁斗だけまだ何も無い。

 マジで今、どこで何してるのさ!



 時は数日ほど遡る。

 郁斗は日本ではなく、フランスにいた。

 その目的は、


「お久しぶりです。急にすみませんでした」


「いいよ。琴音の卒業祝いでしょ?私も用意する!あ、渡すのはお願い」


 フランスに帰っていたロザリアに会う為だ。

 ロザリア以外のリベリオンメンバーは1年生の部が終わるとそれぞれ日本を離れていたが、ロザリアだけは残っていた。しかし、わけあって2年生の部1日目が終わるとすぐに帰国していた。

 2人が仲良いとギルドバトルの打ち上げの時に知って、いろいろとアドバイスをもらおうと思ったら既に帰国していたので、郁斗はこうしてフランスまでやって来た。


「一つ聞いていいですか?何で琴音先輩のバトルを見ずに帰国したんですか?」


「…準備で忙しいから。近いうちに世界最難関ダンジョンに挑戦するつもりだから」


「マジですか!?え、どこのダンジョンに挑戦するんですか?」


「それも秘密。君が知るには早い」


「ああ、なるほど。あの場所にあるダンジョンですか。確かに早いですね」


「それはそうと琴音の卒業祝い。オススメのお店あるけど、行く?」


「行きます!」


 こうして郁斗はロザリアと共にフランスで琴音への卒業祝いを購入する。

 そして卒業式当日に今度はギルドバトルの時みたいに遅刻することなく、時間通りにみんなとの待ち合わせ場所に到着する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る