第182話 ブルーVSカーラ
(ううっ、まさかディバインシールドをコピーしていたとは。これなら1体目にカーラの方が…。蓮はこれまでリーフィアを1体目に起用していたので、てっきりリーフィアだと。リーフィアなら悪魔の囁きからのナイトメアも耐えられてしまうので、先にアルマを出しましたが。…なるほど。全てを読み切ってのラグニアですか。さすが蓮ですね!)
普通の相手ならカーラを1体目に選出し、悪魔の祝福、悪魔の囁き、ナイトメアの必殺コンボで倒せるが、倒せないモンスターも一定数いる。
特に人類種のモンスターが当てはまる。
悪魔の囁きは武器、防具という判定のリヴィングウェポンには適用されない。
つまり、リヴィングウェポンで上乗せされている魔法防御力は一切低下しない。
しっかりと育成されたリヴィングウェポンのステータスはとんでもなく高い。
それに武器と防具とで割り切って特化型育成するプレイヤーは珍しくない。
それを考えるとリヴィングウェポンの上乗せ分だけで最低でも50、多いとCランクでも100はあると考えられる。
素の防御力を半分にしても一撃で倒せるダメージは入らない。
ここまでカーラがこの必殺コンボで相手モンスターを瞬殺してこれたのは運が良かった。
準々決勝では雪だるまのクレアが相手。武器や防具をそもそも装備できない。
準決勝のソレイユはまだリヴィングウェポンを入手したばかりでレベルが低かった。
「君臨せよ、カーラ!」
リーフィアならともかく、ラグニアでは耐えないのは明白。ここでブルー戦を見据えて温存も考えられるが、オリヴィアにそこまでの余裕はない。
「悪魔の祝福、悪魔の囁き、ナイトメア!」
『ラグニア DOWN』
うーん、やっぱり回避は無理か。
1体目にカーラだとヤバかったな。
お祈りプレイが成功してよかった。
「出でよ、ブルー!」
プル!
うん、気合い十分だね。頼むよ!
「ブルー、鳴神、スカーレットアロー!」
「カーラ、連続突き(闇)」
「ブルー、電光迅雷、雷霆!」
上手い!誰もがそう絶賛する技術が炸裂。
魔法斬りは的確に魔法を闇属性が付与された物理攻撃スキルで攻撃する必要がある。
物理攻撃をする上で大事になるのは体勢を崩さず、保つこと。
なら相手の体勢を崩せば容易に防げるのだが、言うは易しだ。
誰もがそれを理解している。故においそれと体勢を崩させたりしない。
それをいとも簡単にブルーはプル!っとやって見せた。
カーラの視界に入ったり、出たりすることで煩わしさマックス。そこに電光迅雷の高速移動が加わる。
そこに更に雷霆が追加される。
そこで雷霆に一瞬だが、意識がいったタイミングを逃さずに背後からカーラの膝に突撃。
空を飛べるカーラでも突如として背後から崩されたら倒れる他ない。
体が小さく、背の低いブルーだからこそできる芸当。
「カーラ、闇刺突!」
プル!?
電光迅雷で体勢を崩され、雷霆に被弾したカーラだが、その状態のまま空中で体を一回転させ、その勢いを利用してブルーを貫く。
上から槍に貫かれたことで地面と挟まれ、プルンと弾むブルー。
これでブルーにデバフ・状態異常が付与されたが、まだナイトメアはクールタイムから明けていない。
「カーラ、霞連槍!」
「さすがにそれは…。ブルー、ディバインシールド!」
霞連槍は使い手の能力次第で無限に連撃を放てる。
下手をすると霞連槍一発で嵌め倒されかねない。
守るべき時はしっかり守らないと。一瞬たりとも油断はできない。
ここは一度、距離を置きたいけど、何でだろう。
それじゃダメな気がする。
ここはディバインシールドを割られる前に敢えて攻めるか!
「カーラ、メガダーク、ダークボール!」
「ブルー、メガサンダー、プロミネンス、プロミネンスアタック!」
「深淵への誘い!!」
霞連槍に加えてメガダークとダークボールでようやくディバインシールドを割り、深淵への誘いで更なる追撃を試みた結果、ブルーに返り討ちにされるが、
「カーラ、ナイトメア!」
「ブルー、プチヒール!」
悪魔の囁きはクールタイムが長い為、まだ明けていないが、ナイトメアだけなら今しがたクールタイムから明けた。
状態異常によるスリップダメージでじわじわとHPが削られている。長期戦はブルーの方が不利。
だが、攻め急ぐようなことがあれば、間違いなくカーラには勝てない。
どのタイミングで切り札を切るかも大事だが、悪魔の囁き、ナイトメアのコンボをブルーが耐えられるのかどうか。
次にナイトメアがクールタイムから明ける頃には悪魔の囁きもクールタイムから明けている。
決着の時はそう遠くない。
たぶん、カーラはほとんどのスキルがクールタイムに入ってるんじゃないかな。
あと、使えるのさダークウェーブと闇宵月くらいか。
どちらもブルーを倒せる可能性があるのは闇宵月くらい。
あまり余裕もないし、出し惜しみ無しだ。一気にいく!
「ブルー、フレイムフォース!」
「カーラ、ダークウェーブ!」
「よし。ブルー、
「っ!カーラ、闇宵月!!」
やっぱりだ。物理攻撃でも魔法攻撃でもない闇宵月では魔法斬りはできない。
現に霹靂神の威力を削ってダメージを減らすことしかできていない。
ここは八雷神で…!?
違う、このタイミングじゃ決まらない。
今、放っても躱される。
「カーラ、メガダーク、ダークボール!」
「ブルー、鳴神、雷霆、電光迅雷!」
殆どのスキルがクールタイムに入っているカーラにとってまともにブルーと正面から戦う理由がない。
電光迅雷が如何に速かろうとブルーでは空を飛ぶカーラをどうにもできない。
くっ、空を飛ばれると厳しいな。このまま時間を稼がれて悪魔の囁き、ナイトメアのコンボを放たれると負ける。
一か八か八雷神を使うか。いや、今使っても当たらないし…。ん?当たらない?…!!そうだ、当たらないなら当てなきゃいいんだ!
オリヴィアはきっと八雷神を警戒している。そこを利用する。
「ブルー、八雷神!!」
「!!カーラ、躱して下さい!」
準決勝のコンとのバトルで見せたように八雷神を偽装し、天御雷を放っているわけではない。
正真正銘、本物の八雷神を
しかし、咄嗟のことでオリヴィアもカーラもそれに気づいていない。
ちょうど、ブルーの切り札を何とか凌げたと安堵しているところ。
この後、すぐに思い知ることとなる。まだ安堵するには早すぎたと。
突如として地上から約10メートルくらいの高さを飛んでいるカーラの目の前にブルーがプル!っと出現する。
お得意のプルンジャンプでここまで飛ぶ…はさすがに無理がある。
何をどうしたらこの安全地帯までブルーが飛んでこれるのかオリヴィア、カーラ共に見当も付かない。
それもその筈。ブルー自身、人生で初めての試み。そして
蓮の作戦は八雷神を躱したカーラを天御雷などで追撃し、倒すだった。かなり成功確率は低いけど、これしか打てる手がないと思っていたらブルーがいろいろとぶっ飛んだことをした。
ブルーはある日を境にいろいろと考えるようになった。
可愛い妹の為に、頼られる姉としてどうやったら飛べるようになるのかという疑問に答えるべく日夜考えていた。
可愛い妹が頑張って飛ぶ練習をしている。だけど、それに対してアドバイスできるのは空駆を使ったことのあるリーフィアとラグニアだけ。
ブルーだけ何一つアドバイスできていない。頼られる姉として由々しき事態。
そこでどうにかこうにか自分でも空を飛べないかといろいろと考えた結果、地上から約10メートルくらいの高さまでなら大ジャンプできるようになった。
これはこれで可愛い妹が目を輝かせていたとか。約2体ほど呆れ返っているモンスターがいたとか、いなかったとか。
「ブルー、天御雷、プロミネンス、スカーレットアロー、ファイアボール!!」
「カーラ!?」
予想外の事態に反応が遅れる。ブルーがゼロ距離で放った魔法は全て直撃し、カーラのHPを大きく削る。特に天御雷によるダメージが大きい。カーラの残りHPは3割ほど。
ここから先、悪魔の囁きとナイトメアのクールタイムが明ける方が早いかブルーがカーラのHPを削り切る方が早いかの勝負となる。
そして、最後は
「カーラ、悪魔の囁き、ナイト――――」
「ブルー、雷霆!!」
「メア!!」
悪魔の囁きとナイトメアのコンボが決まっていない。
雷霆は二回目から一時的に相手モンスターを麻痺させる追加効果がある。
既にこのバトルで雷霆を使うのは三回目。
僅かな差ではあったが、雷霆のクールタイムが明ける方が早かった。
これで少しだけ猶予ができたが、最後の最後で決定打に欠け、カーラのHPを削りきれなかった。
絶対的なステータスの差。それに阻まれる形となる。
『ブルー DOWN』
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