第180話 シグレVSカーラ
「君臨せよ、カーラ!」
アルマを倒すのに全力を尽くしたソレイユにできるのは悪魔の祝福、悪魔の囁き、ナイトメアの必殺コンボを使わせること。悪魔の祝福は召喚直後しか使えないが、残る二つは違う。
これらがクールタイムに入っている状態でエースを召喚できるのは理想的状況。
オリヴィアはソレイユの全スキルがクールタイムことを知らない為、必殺コンボを使う。
『ソレイユ DOWN』
(ふう、何とかなった。あの必殺コンボを使わずに温存してソレイユに時間を掛けられる方が嫌だったからこれは助かる。とりあえず、これでナイトメアと悪魔の囁きはクールタイムに入った)
「出でよ、シグレ!」
蓮と決勝戦でバトルするのはどちらか。このエース対決で全てが決まる。
「カーラ、ダークウェーブ、ダークボール!」
先に仕掛けたのはカーラ。範囲攻撃でシグレの選択肢を狭めつつ、死角となるダークウェーブの背後にはダークボールを放っている。
カーラを相手にエルナ戦みたいな受けに回るとデバフ・状態異常でどんどん弱体化していく一方。
シグレの取った対応は
「シグレ、天嵐の破滅!!」
ダークウェーブと同じ範囲攻撃で全てを薙ぎ払う。
それだけに留まらず、天嵐の破滅はカーラにも牙を剥く。
「カーラ、闇刺突!」
オリヴィアは勘違いをしている。天嵐の破滅は物理攻撃。範囲攻撃だからか魔法攻撃と思い込んでいる故に魔法斬りで防ごうとしている。
だが、魔法攻撃ではなく、物理攻撃なので当然、魔法斬りはできない。
それでもダークウェーブとダークボールで威力が削がれていた天嵐の破滅を闇刺突で相殺することには成功。
しかし、すぐそこまでシグレが迫っていることに気づいていない。
「シグレ、天嵐の一閃!」
横一文字。正にエルナを倒したときと全く同じ光景。
予期せぬ所からシグレが風に乗って現われ、すれ違いざまに斬られる。
もっとエルナ戦みたいに防御的に来ると考えていた分、反応が遅れる。
「シグレ、天嵐落とし!!」
「カーラ、躱して霞連槍!」
ここでカーラは目測を誤る。
エルナとシグレのバトルをモニター越しにはなるが、しっかりと見ている。だから天嵐落としがどういう攻撃スキルかも把握している。もちろん、攻撃範囲も。
だが、モニター越しで見ていたからかカーラの想像よりも遙かに攻撃範囲は広かった。
躱してから霞連槍で一気にHPを削り切る算段だったが、その前に天嵐落としによって地面に叩きつけられる。
そしてシグレがこのチャンスを見逃す筈ない。
「シグレ、
天嵐の破滅が比較にならないほど強力な嵐がカーラへと迫る。
先ほど背中から地面に叩きつけられてまだ体勢を立て直せていない。
回避も防御も不可能。この攻撃は通る。誰もがそう確信していたが、カーラはあっと驚く方法で乗り切る。
「カーラ、闇宵月!」
体勢を立て直し、立ち上がるのが間に合わないのであれば、そのままの体勢で空を飛べばいい。
仰向けのまま地面から数センチほど体を浮かび上がらせて、天叢雲を闇宵月で迎え撃つ。
天叢雲と闇宵月が衝突したことで衝撃波が生まれる。それによってカーラは意図せずにシグレと距離を置き、仕切り直すことに成功する。
シグレは衝撃波をものともせずにいるが、カーラへの追撃はしない。
闇宵月は天叢雲と相殺する形になり、シグレはノーダメージだが、下手をしたらあれでデバフ・状態異常が付与されていた可能性すらある。
できる限り、ナイトメアを使わせたくないシグレとしてはデバフ・状態異常の付与を避けたい。
ここは無理をすべき局面じゃない。それがわかっているから様子を見ている。
「カーラ、メガダーク!」
「シグレ、躱して疾風突き!」
「っ!」
カーラには苦しい展開が続く。
バトル開始当初、積極的に攻めてくるかと思われたシグレだが、かなり慎重な攻め方をしている。
デバフ・状態異常の付与ができていない以上、ナイトメアは使えない。
今まであまり相手に攻撃を当てることが大変だと考えたことが無かった分、打開策が見つからない。
カーラへのダメージだけが蓄積していく状況。
(エルナは攻撃の密度でシグレの処理能力を上回ってダメージを与えていました。カーラでもそれに近いことができれば…。エルナの時とは違って、受け流すではなく、躱すことに徹しているので、幾分かハードルは低い筈!)
「カーラ、ダークウェーブ!」
「シグレ、天嵐の破滅!」
「カーラ、ダークボール!」
「シグレ、躱して天嵐の一閃!」
青天目朔夜はこの時、まだ気づいていない。
物理攻撃をオリヴィアが待っていることを。
「カーラ、メガダーク!」
「躱して突き進んで!」
ギリギリまで引きつけてからのメガダークですらシグレには当たらない。
これはオリヴィアの予想通りの結果。ここまで攻撃が一度も当たっていない相手。これくらい躱せるだろう。
そして、天嵐の一閃がカーラを捉える。その時、反撃開始の狼煙が上がる。
そもそもカーラはこの一撃を回避するつもりがない。直撃してもHPが0になるほどのダメージは受けない。既に一度、天嵐の一閃で斬られているのでわかる。
だが、タダでは斬らせない。
「カーラ、深淵への誘い!!」
「!?回避は…間に合わない」
最初から被弾前提のカウンター。発想がぶっ飛んでいるが、オリヴィアはこれにしてやられた経験がある。
先月、行われたリベリオンとのギルドバトル第1試合、ウィリアムのタロスとバトルした時。
あれはリリースカウンターを発動しただけだが、今回カーラがやったことはちゃんとした攻撃。
似て非なるものだが、今そこは関係ない。
過去の敗北からくる経験がこの状況を打開する一手となる。
見事に深淵への誘いが決まり、シグレにはデバフ・状態異常が付与される。
こうなればやることは一つ。
「カーラ、悪魔の囁き、ナイトメア!!」
「くうっ!こんな手があるなんて」
今の攻防でシグレのHPは一気に5割を下回る。カーラもかなりHPが減っていたが、深淵への誘いで7割近くまで回復する。
このままだとナイトメアは受けられてもあと一回。二日目はシグレが倒される可能性が高い。
ここに来てシグレはバトルの決着を急がなくてはいけない理由ができた。
「シグレ、疾風突き、疾風斬り、天嵐落とし!」
「カーラ、霞連槍!」
「シグレ、天叢雲!!」
決着を急がないといけない理由ができた為、先ほどまでの慎重な攻めとは打って変わって激しい攻めをするシグレ。攻撃に移りたかくても防御に専念せざるを得ないカーラ。
だが、後先考えずに攻勢に出た為、シグレの攻撃スキルは全てクールタイムに入る。
その間、カーラの攻撃を疾風の誘い、水流の誘い、天嵐の誘いで受け流すが、デバフ・状態異常は悪化する一方。
このままだと状態異常によるスリップダメージからして次に悪魔の囁き、ナイトメアのコンボが放たれたらシグレのHPは0になるだろう。
その時は刻一刻と迫っている。青天目朔夜の焦りもまた積もる一方。
「これで最後。シグレ、天嵐の破滅、天嵐の一閃!!!」
「カーラ、ダークウェーブ、ダークボール、メガダーク、闇刺突!!」
オリヴィアもわかっていた。これを凌げば勝ちがほぼ決まると。
天嵐の破滅はダークウェーブ、ダークボール、メガダークといった魔法で相殺。
天嵐の一閃は闇刺突で威力を軽減して受ける。
結果、カーラのHPは5割ほど残る。
そして、勝負が決する時がきた。
「カーラ、悪魔の囁き、ナイトメア!!」
『シグレ DOWN』
最後まで決して諦めることなく、足掻いたがシグレの刃は届かなかった。
これで決勝戦を戦う2人が決まった。
鬼姫同士の対決となる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます